お箸の持ち方 NGな持ち方 嫌い箸 その2

石田宙子

石田宙子

テーマ:日本料理(和食)のテーブルマナーの基本

嫌い箸とは・・・お箸を持った時に、やってはいけない使い方 
持ち方ではなく、動かし方や使い方の事を言います。また、嫌い箸 という言い方も、様々で ”箸の禁忌(きんい)” ”忌箸(いみばし)” とも言います

4. 返し箸 逆さ箸


大皿から受け皿(取り皿)に取る際に、お箸の持ち手の方で取ること・『取り箸』がない際に、手元箸(ご自身で食べる用の箸)を逆さにして取り分けること
さあ、大皿料理の際に、取り箸がないこともあるかと思います

逆さ箸

また、この 【返し箸 逆さ箸】も、よく見る光景かもしれません
どうして、取り箸がない際に、そうしてしまうのでしょうか?
それは、手元箸だと、ご自身の口に当たっているわけですから、その箸先で、他の方の食べるものを触るのは、不快になるのでは??と気遣いでされているのかと思います
ですが、どうして、ダメなのでしょうか?
それは、手 というものは、食事前に清めていても、洗っていても、御絞りで改めていたとしても、その後は器や他のものを触っていて、”取る時” には不衛生かもしれない という危険があり、他の方にも完全な安心感が備わっていないからなんです

では、どうすればより良いのでしょうか?
まずは、取り箸をお願いするのも一つの手
取る方のお箸を借りるのも一つの手
でも、相手の方が手元箸を使われているときに、中断させるのも気が引けますよね
また、そういったことが言い出しにくい場面もあるでしょう
例えば会食の場、目上の方ばかりの席
まだ、カジュアルに話すほど、御付き合いが深くない相手
取り箸をお願いしたくても、すぐに定員さんが捕まらない
また、個室で、すぐにお願いできない
様々な場面があるかと思います
そんな時は、目上の方から直箸で取っていただくのも有効的です

でも、そんな折は、何周も取ってしまっては、皆さんの直箸が当たったものを、またメインゲストの方に取ってもらうことになるのは、失礼になりますし、メインゲストの方が、手を付けていないものを目下のものが取るのはいけません
ですから、こんな時は目上のマナーとして、1周で取りきれるように、等分(すべての種類のものを)取るマナーも知っておきましょう
マナーは、目下のものだけが必要なものではなく 目上のマナーもあり、お互いが行合うからこそ、成り立つものです
片側通行のマナーではなく、こういった目上のマナーも教養として、気遣いとしてあるからこそ、上手くかみ合うものなんです

例えば、その中で目上の方が、苦手な食材があり、最後まで取らないのであれば
”○○は、苦手で、皆さんで頂戴してくださいね” とお声を掛けて、他の方がその食材を取れるようにされると良いでしょう
また、メインゲストの方が、5種類のうち2種類のみ取られたのなら
”直箸ですので、全種類お先にどうぞ” と促して差し上げるのも良いかと思います
相手との関係性 また、その店 場所の雰囲気 自分の立場によって 良いマナーの答えは違います
その時にどれだけ自分が柔軟に振る舞えるか また、その選択肢をいくつ持っているか
また、正しく選択できるか
沢山のものを短い時間で決定することが必要になります
テーブルマナーとは、自分が間違わないようにするためではなく、心地よい食事 また、その時の会話やムードを壊さずにスマートに進むためのものでもあります
これが、正しいのだ と、ひとつのやり方や振る舞い方にこだわり過ぎず、また これくらいでいいだろうと、安直に考えずに 遂行することが大切かと思います
お食事の席の、特に楽しい席では、不快感を持たれたとしても、場の雰囲気を壊さないように、嫌な顔をしたり、注意されにくいものです
目をつぶってくださってる方も、いるかもしれません
だからこそ、しっかり身に付けたいものですよね


5. 揃え箸


お箸の先を揃える時に 食器や御膳 折敷(おしき)テーブルなどでお箸を立てて、揃えること
お箸を持ってから、箸先が揃っていない事 あるかと思います
ついつい、お椀のように深さがあるものだと、見えないから と こつっと当てて、揃えられることがあります
この動作、実は 正しい使い方として、目にすることもあります
それは、菜箸を揃える際 使い方としては間違いではありません
でも、手元箸になると、よろしくありません
手元箸は、箸先でつまむもの 決して挟んだり 掬ったりしてはいけません
ですので、箸先は細くて繊細なもの その箸先を何かに当てるということは、痛む原因にもなりますし
音が立つ可能性もあります
また、器を傷つけますよね
器を置いて、両手でそろえる もしくは 
器と箸1 このしぐさの折に 揃えられると良いでしょう

ひとつひとつの動作に、意味もありますし、慈愛の心を持って、命を頂く 命を育む 
大切な所作の一つですね

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石田宙子
専門家

石田宙子(マナー講師)

北浜サロン

和の立ち居振る舞いから、国際社会で通用するプロトコールまで、大人の日本人として美しい所作と心のゆとりを身に着けるための稽古を基本から丁寧に、少人数制で行います。

石田宙子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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