大人のための住まい教育実践に向けて①
明けましておめでとうございます。本年も住まいに纏わるコラムを届けていきますので、宜しくお願い致します。
(セカンドオピニオンとは)
今年1回目のテーマは、私が目指す「住まいのセカンドオピニオン」についてです。よりよい決断をするために、当事者以外の専門的な知識を持った第三者に求める「意見」、または「意見を求める行為」のことをセカンドオピニオンと呼びます。
それは特に医療分野で用いられています。患者自身が納得のいく治療方法を選ぶために、主治医とは違う医療機関の医師に、病気の診断や治療方針について求める、「第2の意見」のことを指します。 セカンドオピニオンを聞くことで、それぞれの医師の意見をもとに、患者自身が病気や治療への理解を深め、最善の治療方法を選択できるのです。
(医療業界と不動産業界)
不動産業界でもセカンドオピニオンとして、第三者性を打ち出している事業者は既に存在しています。そこには医療と不動産の共通の問題点があるように思えます。
不動産の世界も医療の世界と同様に、一定レベル以上の専門的知識が必要なため、消費者にとっては、その真偽や是非の判断は難しいことが少なくありません。それでは不動産業者や医師がオールマイティかと言えば、そうではありません。得意不得意があります。
そして、医療が取り換えの効かない患者の命を預かるという立場に対して、不動産業者も簡単に差替えなどできない高額な資産を取り扱っています。やり直しやリセットは極めて難しく、業務の重大性と専門性という点が共通しています。
(利用するきっかけ)
消費者は、何がきっかけで不動産のセカンドオピニオンを利用したいと思うのでしょうか。
恐らくは次のような理由ではないでしょうか。
・他に選択肢がないか知りたい
・第三者の意見を聞きたい
・不動産会社等の説明に納得いかない部分がある
・不動産会社等の説明を別の角度から検証したい
・意思決定にあたり第三者のアドバイスが欲しい など
(メリット・デメリット)
セカンドオピニオンを利用すれば、消費者の選択肢が広がります。不動産会社の利益の源泉は、不動産取引に伴う手数料収入であり、売買や賃貸の契約が成立しなければ、原則、その収入は得られません。そのため取引を前提に話を進めようとするのは止むを得ないところがあります。
ところが、消費者の将来や家族構成といったライフプランを客観的に鑑みれば、今は売買等をするベストな時期ではない、という見方が望ましいことがあります。そうだとすれば、良い意味で選択肢が増え、後悔しない意思決定に繋がりやすくなります。
また、自宅の売却という点でセカンドオピニオンも同じ結論であれば、その選択に迷いがなくなり、納得感も増します。目先の損得に留まらない、将来のライフプランやリスクを踏まえた視点が加われば、正しい判断がしやすくなると思われます。
ただ一方で、コストというデメリットは伴います。依頼内容によって報酬は異なりますが、時間も手間も掛かります。メリットとデメリットをどう判断するかということになります。
(当研究所が行うセカンドオピニオン)
当研究所では現在、不動産会社とは一線を画し、消費者の伴走者ならびに代理人といった立場から、住まい選び、住み替え、住まいの終活などのコンサルティングを行っています。特定の不動産会社との利害関係はなく、紹介料などは頂かない方針です。
不動産会社と金銭をやり取りしない理由は、第三者性を貫く為です。紹介料等の授受を前提にすれば、真に消費者のためのコンサルタントと言えるか、どちらの利益を優先するのかが曖昧になることを避けるためです。消費者の味方に立つのであれば、消費者から報酬を頂戴するのが筋ではないかと考えています。
しかし、大半の消費者は、サービスに対価を払うことに躊躇し、寧ろサービスはタダという意識が強くあります。その意味では、不動産業者等と連携し、そこから紹介料等を頂く方が賢いと言えるでしょう。しかし、付加価値を高め、「このサービスなら負担して良い」と言って貰えるサービスを提供するのが、真のセカンドサービスではないでしょうか。
(今年の取組み)
当研究所では、「このサービスなら負担して良い」と消費者に思われる付加価値の高いサービスの創造に取り組んでいます。サービス内容の徹底したカスタマイズ化、特に消費者が見落としがちな不動産リスクの提供を中心に展開しています。それと同時に、ワンストップで双方向サービスに努めているところです。
そして、今年は自主企画セミナーに注力します。昨年は京都市内でリアルセミナーを展開してきましたが、今年は他地域への展開も進めていきます。併せてオンラインセミナーでもテーマを拡大しながら、顧客創造を図ります。
住まいの消費者教育研究所は、今年もセカンドオピニオンとして、1人でも多くの消費者の解決すべき課題を考え、伴走していきたいと思います。宜しくお願い致します。