空き家の発生予防への関心期から行動期へ移行する規定因について~住まいの終活シリーズ⑪~
空き家と住まいの終活を考えるシリーズの2回目です。
今回は、空き家・空き家率の推移と空き家にはどのような種類があるかを中心に見ていきます。
(増加する空き家と内訳)
住宅・土地統計調査(総務省)によると、2018年10月1日現在、日本の空き家数(住宅総数から世帯数を差し引いた戸数)約849万戸、空き家率約13.6%です。
全国の住宅総数が世帯数を上回ったのが1968年、そして1973年には全ての都道府県で全住宅総数が世帯数を逆転しました。その後も空き家数・空き家率は右肩上がりで増加を続けています。
出所:「平成30年住宅・土地統計調査」より筆者作成
本来の用途や空き家になった経緯等から、空き家は以下の四種類に分類されています。そのうちほぼ半数を賃貸用の空き家が占め、次にその他の住宅(以下、「その他空き家」)が多くなっています。
①賃貸用の住宅(空き家になっている賃貸住宅)
②売却用の住宅(空き家になっている売却用の住宅)
③二次的住宅(別荘などのように時々利用されている住宅)
④その他の住宅(①~③以外で人が住んでいない住宅。例えば、転勤・入院などで居住世帯が長期不在で利用予定がなかったり、建替えなどのために取り壊し予定の住宅など)
出所:「平成30年住宅・土地統計調査」より筆者作成
「その他空き家」の中には、適正に管理されておらず、管理不全で放置されている物件も少なくありません。なぜ適切に維持管理されないまま放置されるかについて、今回のシリーズでは消費者行動の知見から考えます。
(目立つその他空き家の増加)
下表の通り、他の種類に比べ「その他空き家」の増加が著しく、近い将来には、「賃貸用や売却用の空き家」の戸数を上回ることが予測されます。
また、「その他空き家」の戸数の推移を建て方別に比べると、1戸建の増加率が最も大きいが、共同住宅もこの20年間に約1.7倍増加しています。そのために分譲マンションの空き家問題も戸建住宅と同様に無視できなくなっています。