賃貸住宅で発生しやすいトラブルや困りごとって何?
【はじめに】
企業は消費者調査などのマーケティングを通して消費者ニーズを探ります。但し、その多くは顕在化されており、既に他社(他者)が来往しているものが少なくありません。本当に知りたいのは、消費者自身も気がついていない潜在ニーズであり、これは住まい選びでも同様です。
住まい選びにおいて、消費者は真に何を求めているのか、どのような欲求を持っているのか、何を実現したいか、何を優先したいかといった潜在ニーズを考えてみます。
主な内容は次の通りです。
1.消費者の顕在化されているニーズ
2.潜在ニーズを探る住まい観
【顕在化しているニーズ】
以下に挙げる内容は、各種セミナーなどでよく取り上げられていることから、消費者の顕在ニーズは広範囲に及ぶことが分かります。もちろん、世代による違いや時間の経過でニーズの変化はあります。そのため、これらが全ての消費者の潜在ニーズとは言えません。
①価格や資金、税金などの経済面
価格の妥当性、住宅ローン、資金計画、税負担など
②購入時期
いつが買い得か、住替えのタイミング
③立地
立地選択の指標や基準、地方移住や田舎暮らし
④商品
新築か中古か、戸建かマンションか、資産価値が高い住宅とは、築年数と資産価値、危険な土地や欠陥住宅の見抜き方、住宅性能の比較、災害リスク・耐震性・省エネ性・断熱性、高齢者住宅
⑤不動産会社・工務店の選び方
会社選びの基準、不動産広告の見方
⑥ストック活用
リフォーム・リノベーション・インテリア、空き家の対策や活用
⑦契約関係
契約書や重要事項説明書の見方
【潜在ニーズを探る住まい観】
顕在化されていない消費者の潜在ニーズにアプローチするには、住まい探しをする消費者心理を考えてみることが有効ではないでしょうか。
例えば、消費者の属性には、若年層、子育て層、シニア層などがあり、それぞれで住まい探しの背景は異なります。
子育て層の多くは、当然ながら子育ての要素は無視できません。そこでは、安心、安全、健康、成長、学びなどがキーワードになります。例えば、防犯性、校区の評判、子育て支援サービス、通学の利便性といった地域情報、そして子育てしやすい間取りや設備、子どもの成長に応じた間取り等の可変性といった住宅性能は気になるところです。
また、高齢期の住み替えになると心身の衰えへの備えが需要です。医療や介護サービスの利用、バリアフリーや虚弱期や介護期の暮らしやすさまでの見通しも求められます。そして、足腰が弱る高齢期に忘れてはならないのが、屋内外の移動のしやすさ、いわゆるモビリティです。
このように住まい選びにおける消費者心理は、住宅に留まらず、これからの生き方、人生設計とも大きく関係しています。その人の人生における住まいの意味、なぜ住まいを探すのか、そこにどんな楽しみや不安があるかについて、しっかりと向き合うことです。
これを筆者は「住まい観」と呼んでいます。消費者一人ひとりの「いつ、どこで、どんな住まいで、誰と、どのような生活をしたいか」という問いに答えていくことでもあります。
【まとめ】
住まい選びの潜在ニーズの把握は簡単ではありません。自分自身の住まい観を持つことです。本人も気がついていない、見過ごしている点を明らかにしていくなかで、潜在ニーズを発見することがあります。それが住まい選びでは極めて大切なポイントだと考えます。