「住まいの終活」の準備が遅れる理由
今回紹介するのは、「マンション評価ナビ」の企画・運営を手がける㈱風の代表取締役で、リクルートの週刊住宅情報編集長、国土交通省社会資本整備審議会建築分科会委員、東京都住宅審議会委員などを歴任された、大久保恭子さんが書いたことこちらの書籍です。
「どうする親の家 空き家問題」㈱主婦の友社
親の家を有効に活用することで、空き家にしないための基本的な対策が整理され、それをもとに、売る、貸す、事業をするなどの具体的な有効活用の方法が挙げられています。そして、それぞれの親の家に最もふさわしい方法に絞り込むための考え方も併せて紹介されています。
本書は以下の5章から構成されています。
第1章親の家が空き家になると何が問題か
第2章親の家を空き家にしない!五つの対策
第3章親の家を有効活用するために知っておきたい基礎知識
第4章有効活用法は、親の生前に家族で決めるのが一番
第5章親の死後にきょうだい間でもめないために
第6章親の家をたたむ後ろめたさを消すために
第1章では、近隣への被害、税金などの空き家に発生する費用、そして不動産としての資産価値の低下が説明されています。
第2章では、実家を空き家にしないための次の5つの対策を挙げています。
①手放すのではなく、次世代のための有効活用
②どんな有効活用があるかを知る
③親が終活を始めたら「どうする?」を話し合う
④きょうだい間でもめないようにする
⑤家の系譜を継げば後ろめたさは消える
第3章では、有効活用のための基礎知識を段階ごとに解説しています。
STEP1 親の家の概要を把握する
STEP2 親の家の実力に見合った最適な有効活用方法を絞り込む
STEP3 売る
STEP4 貸す
STEP5 保全する
第4章は、親の生前に家族で活用方法を決めるための注意点、ならびに成年後見制度や家族信託などの制度が紹介されています。
第5章では、分割できないという不動産の特徴などを踏まえ、争続を防止するためのポイントが書かれています。
第6章では、親の家が形を変えたり、無くなったりすることに対する心構え、特に物ではなく心で引き継ぐことの大切さが最後に主張されています。
実家の空き家の発生予防がテーマですが、実家をご自身の自宅と置き換えて読むこともできます。「住まいの終活」の実践編として非常に参考になります。