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職場でコーチングスキルを使ってみて

原島敏郎

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 職場で 「コーチングスキルを使う」 ということと 「部下をコーチする」 こととは違います。私がコーチングを学び最初にしていたことは、コーチングスキルを使うこと。 「聴く」 「承認する」 「フィードバックする」 「質問する」 です。
 はじめ 「承認する」 は難しかったです。何しろ 「人は徹底的にダメ出しされて “なにくそ” と思って成長する」 と教えられてきたわけですから、褒める?承認する?それって何?でした。

 先輩からは 「ダメ出しされて 『くそ!』 と思って人は頑張る」のだから、 「 『そのやり方でいいんだよ』 と言われると 『もう、これでいいんだ』 と思って成長しなくなるから褒めてはダメだ」と言われて育ちました。私も先輩からは褒めてもらうことはなかったので、私も後輩や部下をほめることをしませんでしたし、部下のダメ出しポイントを常に探していました。

 しかし振り返ってみると、自分が仕事に慣れない新人のころ課長から 「それでいいんやで」 といわれると安心感と同時に自信になりました。するとそのレベルを基準として 「もっとよくしてやろう」 と思ってさらに工夫していったことを思い出します。それは諸先輩をみていて彼らをモデルとして自分なりの目標があって、現状では物足りないと思っていたからだと思います。

 「承認」 することで、相手の行動促進が起こることを学び、いざ 「承認」 しようとすると、実は私は 「承認」 する言葉をほとんど知らないことに気づきました。今まで承認してもらった記憶もあまりなく、もちろん承認した覚えもあまりない。だから言葉を知らない。そこで、先輩コーチのセミナーやセッションを注意深く聞き、承認の言葉をメモしていきました。そのなかには、当時の私は恥ずかしくて絶対言えない言葉もありました。例えば 「○○さんなら大丈夫!」 「思った通りにやってごらん」 「自信を持って!」 「今更ではなくて、これからだよ」 「気持ちを切り替えていこう」 「ここでめげるなんて、○○さんらしくないよ」 「きっとうまくいく」 「自分のペースでやってみよう」 「一歩一歩着実に進もう」 「自分のベストを尽くして」 「いつでも話を聞くよ」 「困っていることないかな?」 「一緒にやってみよう」 「いつでも○○さんの味方だよ」 などなどです。あと恥ずかしい話ですが 「ありがとう」 を言えるようになるまで時間がかかりました。

 しかし思い切って使うようになると徐々に慣れてきて使えるようになります。すると確実に雰囲気は変わります。前のコラムで書いた 「聴く」 と合わせて使えるようになると効果てきめんでした。この2つのスキルを意識して使うことで部下との会話数は確実に増えました。すると今までなら入ってこなかった情報が手に入るようになりました。

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原島敏郎
専門家

原島敏郎

有限会社ソリスナビタス

大手企業での長年のマネジャー経験を生かし、マネジャーが陥りやすい考え方や立場上の苦しさなどを十分に理解。マネジャーの上司や部下との関係を調整しつつ、実績を上げられる組織作りをサポートします

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