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チームを明るくする挨拶の “意外な” パワー

原島敏郎

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 私のクライアントさんで、部下と挨拶を交わしていないというマネジャーがいました。その課はほぼ全員、そのマネジャーよりも年上の部下。その課に赴任してきたとき、こちらから「おはよう」といっても部下たちは反応をしない。「いってらっしゃい」「お帰り」といっても無言。人との会話は挨拶から始まる。挨拶がなければどうも気持ち悪い。それで、会議で「これからお互い挨拶をしましょう。『おはよう』、『お疲れ様』など声を掛け合いましょう」と挨拶を徹底しようとしたら、「なんで挨拶なんかがいるの?別にしたかったらしたらいいし、したくなければせんでもいいやろ」と言われてしまった。そのマネジャーは、「挨拶って、人と人との付き合いの基本ですよね。仕事の話をしていくきっかけづくりでもあるし」と言ったが反応はなかったようです。
 こちらから挨拶しても相手からの挨拶がない状態が1週間以上続いていくうちに、課の雰囲気に感化されてしまい、気づくと自分も挨拶をしていない。私に会ったのがそのころで、そのマネジャーと話をしている途中で突然、「挨拶を交わさないチームって、変ですよね。」と聞かれました。私は「私の感覚では、そうですね。そもそも挨拶は『私は、あなたがそこにいることをわかっていますよ』という存在承認の言葉。街を歩いていて、面識のない人には挨拶はしないですから。面識のない人と同じことになってしまいます。職場では、挨拶は会話のスタートと思います」「やっぱりそうですよね」というやり取りしてから、彼は相手から反応がなくても、元気な声で「おはよう」「行ってらっしゃい」「おかえり」「お疲れ様」を相手が根負けするまで言ってやろうと思ったそうです。
 そのうちに、自分が元気で気持ちに余裕のあるときは「おはよう」の声に張りがあるが、そうでないときには「おはよう」の声に張りがなく、自分でもパワーを感じない。朝の「おはよう」には、エネルギーがある。相手からの反応がなくても、相手に元気な“エネルギー”いわゆる“気”をあげようと思い、気持ちを込めて挨拶をし続けたそうです。1ヶ月ほどすると、ポツポツと小さいけれども「おはようございます」「お帰りなさい」「お先に失礼します」「お疲れさまでした」という声が徐々に聞こえるようになってきた。全員が挨拶するようになるのに、半年ちかくかかったそうです。
 挨拶が増え始めると並行して、マネジャーへの話しかけも、部下同士の会話も増えてきて、それにつれて笑い声も聞こえてくるようになってきた。振り返ってみると赴任した当初には、笑い声すら、そもそも部下同士の会話も少なかったことを思い出したそうです。「挨拶はコミュニケーションの基本であると実感した」というお話をとても素敵な笑顔で聞かせてもらいました。

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専門家

原島敏郎

有限会社ソリスナビタス

大手企業での長年のマネジャー経験を生かし、マネジャーが陥りやすい考え方や立場上の苦しさなどを十分に理解。マネジャーの上司や部下との関係を調整しつつ、実績を上げられる組織作りをサポートします

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