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谷光高

ゴルフの楽しさを多くの人に伝えるゴルフ場経営者

谷光高(たにみつたか) / ゴルフ場経営者

新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部)

コラム

「ディボット・スティック」誕生ストーリー  最終話

2015年3月15日 公開 / 2019年1月2日更新

テーマ:ゴルファーとしての心得とマナー

コラムカテゴリ:趣味

2013年10月、弊社が推進するゴルフマナー啓蒙活動の一つとして、ディボットツール&ティー「ディボット・スティック」を開発し、販売を始めました。
2015年1月現在で累計25万本、42のゴルフコース、4つのゴルフ団体、そして10社の企業に利用されるに至っています。

前回の第五話までに「ディボット・スティック」の原型の製作に至った過程を紹介してきました。

今回が最終話です。
もう少しだけお付き合いください。

「ディボット・スティック」におけるロゴ印刷の重要性

2013年6月、新しいディボットツールの形と素材が決定し、原型が完成しました。

さあ、「自分たちでつくる」=「製品を開発し、販売していく」の最終決断です。
製品化するには金型をつくらねばなりません。これが約300万円。

覚悟の時、いや決断の時です。

ティーとしてはパーフェクトの性能ではありません。ティーについては「飛距離が出る」などのうたい文句で新商品がどんどん売り出されています。これらの商品には敵いません。
あくまでマナー用品の付加価値として「ティーとしても使える」という位置付けですから。

「ディボットツールとしての性能はパーフェクトだという自信を持つことができれば、金型をつくろう!」

キャディーマスターとともに何度も何度も繰り返しボールマークを修復しました。
その結果、「これなら大丈夫!いける!」と思ったので、金型をつくることに決めました。
金型
金型を製作している間に、製品カラーとして赤、白、青、緑、オレンジの5色が決まり、各色1万個の完成が2013年8月末日となりました。

そうそう、忘れていました。
商品名を決めなければいけません。

これは意外と簡単に決まりました。先端が一本のスティック型なので、「ディボット・スティック」としました。
「グリーンフォーク」にちなんで、「グリーンスティック」も考えましたが、すでに植物の種がついたペーパーシードのスティックに、この名称が使われていたので止めました。
ディボットスティック ネーム
商売としての勝算はありませんでしたが、売り込み先は決まっていました。
全国津々浦々のゴルフ場様です。
全国のゴルフ場様にゴルフマナー啓蒙の主旨に賛同してもらい、今ある「グリーンフォーク」に変わって、「ディボット・スティック」を置いてもらうこと、そのためのアピールを積極的に実践していこうと考えていました。

全国のゴルフ場様に賛同していただくには、「ディボット・スティック」本体への「ロゴ印刷」が必須となります。
すべてのゴルフ場様で必須というわけではありませんが、今までのグリーンフォークやマーカーを例に考えると、必ずゴルフ場様の要望として「ロゴ印刷」の話しはでてくるでしょう。

しかし、製品製作をお願いしているフルヤ工業さんは、印刷については紹介していただけるところがなく、印刷会社は自力で探さなければいけませんでした。

まずは、ゴルフ用品関連の会社から、マーカーをつくっている関西の企業を尋ねたところ、「この形状の製品に1万個以上の大きなロットは対応できない」とにべもなく断られました。

取引のある印刷会社やゴルフ場のある三田市内の印刷会社、さらには兵庫県内の印刷会社を片っ端から聞いてみましたが、「対応できる機械がない」、「対応できる印刷方法では大きなロットに対応できない」などの理由で全て断られてしまいました。

「ロゴ印刷はあきらめるしかないか・・・でも、それでは、多くのゴルフ場のニーズに応えることはできない」と落ち込んでいた時、たまたまインターネットで見つけた東大阪にある印刷会社に問い合わせをしたところ、力になってくれるという回答をいただき、「さすが国産ロケット開発の街!」と大喜びしました。

それが『有限会社石田紙工』さんでした。
すぐに飛んでいきました。
まだサンプルしか完成していませんでしたが、よく理解していただき、その他、商品パッケージについても一緒にお願いすることにしました。
ロゴ入り
本体へのロゴ印刷の方法は「パット印刷」という印刷方法で、単色ではありますが、かなり精度の高い印刷が可能です。
今では、その出来栄えに大満足しています。

「ディボット・スティック」を通じて生まれた夢

2013年8月の末、ついに各色1万個の計5万個が、有馬カンツリー倶楽部送られてきました。

送られてきたダンボールを開けたとき、「感動」というよりも「さあここからがスタート!」という気分で、「浮かれた」というよりも「引き締まる思い」がしたことを覚えています。

それから1年半。様々な活動を通じて「ディボット・スティック」を広めてきました。
まだまだこれからですが、こうした活動の中で私の心は、大きく変化してきました。

ゴルフ場の運営だけを行っていた頃は、不景気からお客様を増やすことだけを考え、周囲のゴルフ場様を「商売敵」とみなし、「あっちのゴルフ場は、なぜ来場者が多い?どうやって入れているか探れ!」や「あそこに奪われないような施策を考えろ!」など考え方が、とても狭く小さくなっていました。
近隣ゴルフ場
新しいゴルファーの創造にしても、「ウチのような零細ゴルフ場が考えることではない!連盟や大きなところがやればいい」という考えから、ゴルファー人口の減少についても、どこか他人事のように考えていました。

しかし、「ディボット・スティック」をつくってから変わりました。
単純な話ですが、他のゴルフ場様が「商売敵」から「お客様」または「共同していく仲間」に変わりました。
勝手な話と思われますが、これは素直な気持ちです。

これまで兵庫県の近隣ゴルフ場様だけを意識していたのが、全国のゴルフ場様の動向を意識するようになり、多くの情報を得るようになりました。
ゴルフプレーで伺うことはありませんが、全国ゴルフ場の情報量だけは人に負けないようになりました。

「モノ一つでこんなに変われるものか」と自分自身でも驚いています。
間違いなく、視野が広くなりました。

そして、このような厳しいゴルフ場運営の中で、夢が生まれました。
ディボットスティック
ゴルファーのマナーへの意識向上を目的として、この「ディボット・スティック」を広めていきたい!
今まで何十年もの長い間ゴルフマナー「ボールマークの修復」を担ってきた「グリーンフォーク」にはその役割を終えてもらい、これからは「ディボット・スティック」が、その重責を担っていきたい!

弊社同様、ゴルファーのマナーに対する意識の低下に悩む全国津々浦々のゴルフ場様、さらにゴルフ人口の減少に悩むゴルフに関わる全ての皆様にご協力いただき、みんなで力を合わせてゴルフマナーを啓蒙していきたい!

その活動を通じて、いかにゴルフが何百年と培われた歴史ある素晴らしいスポーツかということ、また限りなく広い広いフィールドで老若男女が一緒に楽しめるスポーツは、ゴルフ以外にはないということを、日本中の人々に広く知ってもらいたい!

ゴルファー全員が「ディボット・スティック」を利用し、ティーとして楽しみながら、率先してボールマークを修復する。
だから全国のゴルフコースが、いつでもキレイなクオリティーの高いパッティンググリーンを維持されている。

そうなることを夢見ています。

ありがとうございました。
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