恐怖!突如ゴルフコースに現れる巨大な穴『シンクホール』
年間200人ものゴルフ中の突然死
現在、「救命講習」は全国の消防署で頻繁に行われています。また最近では、公共場において『AED(=自動体外息除細動器)』を置いていないところはないでしょう。
弊社有馬カンツリー倶楽部ではスタート室に1台あります。
救命講習や『AED』は、主に突然に心臓や呼吸が止まってしまった人を救うための訓練です。このような事態に遭遇した場合、そばに居合わせた人が救命処置をすることが大切だと言われています。
ゴルフは、のんびりとして安全と思われがちですが、実はプレー中の突然死率が最も高い危険なスポーツです。
ゴルフプレー中における年間の死亡者数は200人前後と推計(元聖マリアンナ医科大学、吉原紳助教授推計)されており、うち8割以上は心筋梗塞などの循環器系の疾患によるものと言われています。なかでも高血圧症、糖尿病、高脂血症、喫煙などの危険因子を持つビジネスパーソンは、特に注意が必要です。
日本では50~65歳という世代のゴルフ人口が最も多いと言われ、言い換えれば、長年に渡る運動不足、接待や飲み会など偏った食事や生活の影響が、年齢を重ねるに従って出てきている世代とも言えるでしょう。
一般的には、突然死の原因となる心筋梗塞は、起床後2~3時間ほどの間に起こることが多いと言われています。ご存じのように、ゴルフでコースに出る際は、早朝にスタートすることがほとんどです。つまり発症しやすい時間帯と急に体を動かし始める時間とが、ちょうど重なっているといえます。
急性心筋梗塞
急性心筋梗塞は、冠動脈と呼ばれる心臓の筋肉に血液を送る血管が詰まることによって生じます。急性心筋梗塞になると、大事な心臓の筋肉が死んでしまい、心臓の動きが弱まったり、心臓が突然止まってしまう不整脈を起こしたりします。
その症状には「胸の真ん中に突然生じて持続する強い痛み」「胸が締め付けられるような重苦しさ・圧迫感」「胸が焼けつくような感じ」などがあります。重症の場合は、痛みだけでなく、息苦しさ、冷や汗、吐き気などがあり、立っていられずにへたり込んでしまうこともあります。
このような初期症状が出たときには、少しでも早く病院に行って治療を始めることが重要です。
症状に気付いた周囲の人は、傷病者が遠慮しても、ためらわずに119番通報をして救急車を呼んでください。心臓や呼吸が止まる前なら助かる可能性も高くなります。119番通報をしたら、救急車が来るまでそばで見守り、容体が変わらないか注意していてください。万が一、反応がなくなり、普段どおりの呼吸もなくなったら、ただちに心肺蘇生を始めなくてはなりません。
ゴルフプレー中、心臓や呼吸が止まってしまったら
もしもゴルフプレー中、同伴者の1人が突然倒れて、心臓や呼吸が止まってしまったらどうしますか?
その人の治療はまさに1分1秒を争います。
脳は心臓が止まると15秒以内に意識がなくなり、その後約10分の間にその人の助かる可能性は急激に少なくなっていきます。
このような時のまず1番目の処置は「すぐに119番通報する」ことです。119番通報が早ければ早いほど救急隊員による救命処置をより速く受けることができます。
そして、その後早く病院に到着することもできます。
また、119番通報を行うことで、救急隊が到着するまでの間に行わなければいけない応急手当の指導を受けることができます。
救急車が到着するまでには全国平均で約8分間を要します。
救急車が到着するまでに速やかに救命処置が行えるか如何で、命が助かる確率は大きく変わります。
2番目の処置としては「すぐにゴルフ場スタッフに通報する」ことです。
キャディー付きでのプレーの場合は、キャディーの指示に従って行動するようにしてください。セルフプレーで、ゴルフカートに無線機があるときには、それを使って連絡してください。
多くのゴルフ場には『AED』があります。また「救命講習」を受けたスタッフを数多く抱えています。救急車が到着するまでの間、適切な処置を行えるスタッフをすぐに呼んでください。
ゴルフ場スタッフや『AED』の到着を待っている間も、時間は刻一刻と過ぎていきます。
「ゴルフ場スタッフ」や「AED」から「救急隊」へ、そして「救急隊」から「医師」へと「救命のリレー」をつないでいくために、そばに居合わせたプレーヤーであるみなさん一人一人が救命処置を行えるよう、心肺蘇生法を身に付けておくことも大切なことです。
救命処置で最も大切なのは「胸骨圧迫」
そこで、3番目の処置は「そばに居合わせた人による心肺蘇生をする」ことです。
下記手順に従って覚えてください。
◆救命処置(心肺蘇生)の手順
①呼吸の確認
傷病者が普段通りの呼吸をしているかどうかを確認します。傷病者のそばに座り、10秒以内で傷病者の胸や腹部の上がり下がりを見て、呼吸をしているかどうかを判断します。
②胸骨圧迫
傷病者に普段どおりの呼吸がないと判断したら、ただちに「胸骨圧迫」を開始し、全身に血液を送ります。
1.胸の真ん中を重ねた両手で「強く、速く、絶え間なく」圧迫します。
2.ひじをまっすぐに伸ばして手の付け根の部分に体重をかけ、傷病者の胸が少なくとも5㎝沈むほど強く圧迫します。この時、肋骨が折れても構いません。肋骨は折れても治ります。
3.1分間に少なくとも100回の速いテンポで30回連続して絶え間なく圧迫します。
③人工呼吸
30回の「胸骨圧迫」終了後、気道を確保し、口対口人工呼吸により息を吹き込みます。
※なお、この『③人工呼吸』に関しては、唾液による感染症などを恐れて緊急事態でも敬遠されるケースがでているそうです。そこで現在の救命処置としては、人工呼吸は「嫌ならしなくてもよい」ということになっており、それよりも「胸骨圧迫」を繰り返し行うことが重要と指導されています。
『AED』の到着、または救急車の到着まで「胸骨圧迫」を継続することが求められています。しかし、一人では数分もの間、「胸骨圧迫」を継続することは不可能です。そのため、必ず複数で交代しながら、処置を続けることが重要となっています。
有馬カンツリー倶楽部での「救命講習」
2015年3月2日、有馬カンツリー倶楽部において、三田市消防本部の救命課2名による「救命講習」を全スタッフが受講しました。これまでも消防署で行われている講習には、若干名ずつ参加していましたが、今回は全員です。
ゴルフ場という広い場所では、どこでこのような事態に遭遇するか分かりません。そのため、コース管理、キャディーはもちろんのこと、フロント、レストラン、茶店、清掃係にいたるまで受講してもらいました。「心肺蘇生法」から『AED』の使用方法までひと通り学びました。
「胸骨圧迫」にしても一人ではできません。幸い弊社には大勢のスタッフがいます。万一の場合でも、早期に発見することができ、また一人で行動することなく複数で行動することもできます。そして各部署の連携を速やかに行うことにより、素早い対応をとることができます。
数年前になりますが、当倶楽部2番ホールにて心肺停止のお客様を現場に急行した弊社スタッフ2名が「胸骨圧迫」と『AED』使用による救命処置を行い、心肺蘇生に成功させ、お客様を死の淵から生還させた経験があります。
ゴルフ場での「突然死」は決して他人事ではなく、これからのますます進む高齢化社会では、より確率が高くなるとも考えられ、万全の対応が求められます。
現在、『AED』1台をスタート室に常備していますが、今後はさらにもう1台追加して、コース巡回車に常備させ、いち早く現場に到着できるように、万一に備えたいと考えています。
これからは、ゴルフ場選びの要因のひとつに「安心・安全」のキーワードが入ってくるかもしれませんね。
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