パッティンググリーンのホールの位置は毎日変えるの?

谷光高

谷光高

テーマ:ゴルフコースの管理や設計などの知識

コース管理は裏方の仕事ですが、プレーヤーのみなさんも少しはご興味があるようで、「グリーンの草刈りはどのくらいのペースで刈るの?」や「ピンの位置はどのくらいの頻度で変えるの?」など、ちょくちょく聞かれます。

「シーズンは毎朝グリーンを刈りますよ」と答えると「そらそうやね。草は伸びるもんね」と言われます。
でも「18ホールと練習グリーン合わせて、ひとり3ホール、5人から7人で手分けして刈ります」と言うと「えーっ!そんなに人がいるの!?」と驚かれることが多いです。

ホールカップの位置替え

パッティンググリーンにある「ホール」は、原則として毎日位置を変えます。
全ホールのホールカップ周辺を、その日のゴルファー全員が必ず間違いなく踏みます。ホールに近づけば近づくほどホール周囲の芝生表面は凸凹になっています。日が沈むころ、夕焼けに照らされたグリーンを見ると、ホールの周り半径3m程度に渡って凸凹がひどくなっていることがよくわかります。又ホールのふちの芝生もホールの中からボールを拾い上げるときに、手の甲がホールの角の芝に当たることにより、角が崩れるように痛んでいます。
100名でも、いやたとえ20名でもゴルファーの皆様が利用したホールカップは、別の場所に切り替えて、翌日には新しいホールでプレーできるようにしなければならないのです。

そして新しく切り替える場所は、痛むところが片寄らないように、前日とできるだけ遠く離れたところに規則的に切り替えていかなければ、デリケートなパッティンググリーンの品質を均一に維持することはできないのです。

ホールカップの切り替えに必要な道具とその用途

・ホールカッター:新たなホールを開ける道具
・カップ抜き:ホールカップを抜き取る道具
・ホールセッター:ホールカップの深さを均一にする道具
・床土と目砂用乾燥砂:ホールカップの沈める深さを土で調整。目砂用は埋め戻した前のホール後のふちに砂を入れて平らにする。
・スコップ
・ディボットツール:ボールマークの修復

※ホールカップとピンフラッグ(旗竿)は、必ずグリーンにひとつあるので、当然毎日使い回すことになります。

ホールの切り替え方

①▲新しく切り替える位置を決めます。周囲(半径約1m以内)に以前のホール跡がないかを確認して、できるだけきれいな場所を決めます。

②▲ホールカッターを真っ直ぐ地面に突き刺して、深く切り込んで床土ごとカッターを引き抜きます。この時、地表面の傾斜に合わせて切りこんでしまうと、ホールカップが斜めになり、ピンフラッグを立てると同じように斜めになってみっともないことになります。傾斜に合わせず、垂直に真下に向け、体重を乗せて切りこみます。これが意外と難しい。失敗して何度もこねくり回すとホールが広がって大きくなり、カップが土中でぐらついたり、ホールのふちの芝生が痛んでしまいます。

プレー中、ピンを抜くときに、カップがピンと一緒に付いて抜けてきた経験はありませんか。そんなことが原因かもしれません(笑)。経験もありますが、切り込むときは思い切りよく一気にいくことがコツなんです。

③▲ホールカッターを抜くと同時に、切り込んだ床土がホールカッターに一緒について抜け、穴が空きます。その穴底の床土を取ったり、入れたりしてホールカップの深さに合わせて予め調整します。

④▲次に「カップ抜き」の針金を使い、ホールカップを抜き取ります。
埋め込まれていたホールカップの周りには土がたくさんついているので、グリーンの外に出て、付着している土を落としてカップをキレイにします。このときに、ピンを差し込む穴の中もきれいに掃除します。砂が付いたままだとピンがカップから抜きにくくなってしまいます。

⑤▲清掃したホールカップを新しく切り込んだ穴に入れます。ホールセッターを使い、深さを一定(地表面より※1インチ下)にして押し込みます。このときにホールカップの深さが合わずに、何度もカップを入れたり抜いたりすると、ホールのふちが痛むので1回でビシッと決めることが大切です。
※1インチ=25.4mm  

■ホールの規則
ホールの大きさは直径が4.25インチ(108mm)で、ホールの深さは4インチ(101.6mm)以上と決められています。
ホールカップ自体の大きさは直径108 mmで、長さは150か160mmですが、中の反響板までの深さは、80~100mmあります。
ホールカップの埋める深さは、地表面より少なくとも1インチ以上深く入れなければなりません。そのための道具としてホールセッターを用います。

ルールに反してホールが浅ければ、せっかくホールにボールが入っても、中から飛び出す恐れがあります。だから一定以上深く入れないとダメなのです。

⑥▲ホールカップを押し込んだら、ピンを立てて真っ直ぐになっていることを確認します。多少ピンが斜めでも、決してホールカップの角度を無理やり変えて、ピンが真っ直ぐ立つようにしてはいけません。ホールカップが土中で動くとガタつく原因になります。またふちの芝生が盛り上がって、スムーズなパットができなくなる原因になります。多少斜めでもあきらめが肝心。下手と思われないようにするには日々の修行が大切なのです。

⑦▲次に前の穴を埋め戻す作業となります。まず、穴の深さを土で調整して、床土の入ったままのホールカッターをその穴に差し込んで、ホールカッター内の床土を抜きます。
後から地表面が凹まないように、一旦地表より少し高めにし、足で踏んで周囲と同じ高さになるように押さえます。そして周囲に目砂をして一切の凹みをなくします。

⑧▲新旧のホールの周囲を掃除して完了です。

プレーが終わった後にこのような作業を、グリーンキーパー他コース管理員は毎日行っているのです。
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谷光高
専門家

谷光高(ゴルフ場経営者)

新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部)

一部の人が楽しむゴルフから、誰もが気軽に楽しめるゴルフへ。日本のゴルフ文化を変えるため、ゴルフ初心者へのサポートや子どもたちへのレッスン、学校の授業などを行い、初心者にゴルフを楽しむ機会を提供している

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