短パンにはハイソックスじゃないとダメ?

谷光高

谷光高

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ゴルフ場への服装についてのお問い合わせで、一番多い質問が「短パン(※ショートパンツ)にはハイソックスでないとダメですか?」である。

確かにこれまで、日本のそれぞれのゴルフ場 服装規定(ドレスコード)で「短パン着用の際はハイソックスの着用をお願いします。」と定められているところが多くあった。
短パンスタイル
しかし、近年はショートソックスやくるぶしソックスの流行により、ハイソックス着用を義務づけるゴルフ場は減っている。

なぜズボンやパンツに対して、靴下の形状を決められなくてはいけなかったのだろうか?
海外ゴルフ場のドレスコードを見てみると「短パンにはハイソックス」規定は見当たらない。
なぜ、日本だけ全国的に広まったのだろうか?

もしかすると伝統的なゴルフファッションスタイルである「ニッカボッカーズ(knickerbockers)」が関係しているのではないか、それが日本だけ何らかの理由で「ニッカボッカーズには専用ロングソックス」というスタイルが進化して「短パンにはハイソックス」という形で残ったのではないかと考え、少し調べてみることにした。

ニッカボッカーズ・スタイル

ニッカボッカーズ
ニッカボッカーズスタイルとは、スラックスの丈が膝まであり、膝で裾を絞し、そこから下は専用のロングソックスをはくというスタイル。
登山者や建設現場で働く人も着用している。ただ、現在ワークショップなどで販売されている通称「ニッカポッカ」は、すでに変形されていて、古来からのニッカボッカーズとは似て非なるものとなっている。

ゴルフでこれを着るのは、芝がぬかるんでいるときにズボンの裾が泥だらけになるのを防ぐのが本来の目的と言われている。
また、スコットランドなどのリンクスコースに生い茂る常緑低木「ヒース(heath)」の中を分け入るときに足を傷だらけにならないようにニッカボッカーズを穿いていたとも言われている。
それとは別に、ポケットが破れても中に入れていたボールがズボンの内側を通って地面まで落ちるのを防ぐという役割もあるという意見も見られた。

「短パンにはハイソックス」規定の起源説

「短パンにはハイソックス」は、このニッカボッカーズの進化系、及び現代版のように見える。しかし、この進化を裏付ける文献などは一切見当たらない。

実は「ニッカボッカーズには専用ロングソックス」と「短パンにはハイソックス」は全く別な考えから定められたようである。それも日本独自の考えから生まれたという説である。

1980年頃、とある県のゴルフ場支配人会で「ズボンの丈が短くなっても、できるだけ素足は見せない」、「男性のすね毛が人目にふれないように」という理由から「短パンにはハイソックス」ルールを定め、それが日本全国に一気に広がったという説がある。
ゴルフブームにより一気にゴルファーが増えた時期なので、風紀を考えて定めたとすると納得できる。

もう一つの説として、これは何ら裏付けのない個人的な意見であるが「ミリタリースタイル」いわゆる軍服のイメージからきているのではないかという説。
イギリスやアメリカ軍の南方地域での軍服を見ると、暑いジャングルを駆け抜けるためにショートパンツにハイソックスでのスタイルが見られる。こういう姿も要因のひとつとなっているのかもしれない。
この説であればイギリスなどでも同様の規定があってもいいのではと思うので、やっぱり違うのだろう。
ミリタリーパンツ
結果として、「短パンにはハイソックス」はゴルフの長い歴史的な根拠があるわけではなく、見た目の印象で定められた日本オリジナルのルールというのが正しいのではないかと考える。

ソックスは個人の判断で決めるのが望ましい

グローバルな視点で考えると、日本でのみこのルールの遵守を求めることに違和感を覚える。
現代において「短パンにショートソックス」が、決して他人に迷惑をかけたり不快にさせることだとは思わない。
確かに「男性のすね毛が不快」と言われればそうかもしれないが、今の一般的な感覚ではそれも大きな問題ではなくなっている。また女性については禁止する理由に当たらない。

しかし、ハイソックスにはニッカボッカーズスタイルのように、足元を低木の枝や生い茂る草から守るという機能的利点はある。そのため、けっしてハイソックスは否定されるものではない。最終的にソックスに関しては個人の判断によるべきものではないだろうか。

上記したように「短パンにはハイソックス」の規定について見直されているゴルフ場が多く出ている。伝統と格式を重んじる名門ゴルフ場でも見直されているところがある。
今後、ますます「短パンにはハイソックス」という規定を堅持するゴルフ場は減少していくだろう。

機能性重視の「アンダーウェア」や高機能ソックスの出現

ふくらはぎソックス
近年、高機能素材によるレギンスなどのロングタイツやふくらはぎをカバーするアンダーウェアや高機能のスポーツソックスが数多く販売されている。夏の紫外線や熱中症対策などにも有効とされている。

体調を考慮した機能性の観点を含め、こうした新しいスタイルも考慮しながら規定を考えていく必要があるかもしれない。

エチケットとして、定められているルールを遵守するのはゴルファーの努め

ただしゴルフ場には各々の理由があり、その姿を不快と思う会員様などが多くいらっしゃれば、それも充分な規定の理由となります。ゴルフ規則及びゴルフ場での規定を遵守することは、ゴルフの精神に基づくことにもなります。

初めてプレーするゴルフ場の場合は、必ず、事前に調べるか問い合わせるかして服装規定を確認するように心掛けてください。

外国の足元のドレスコード

外国のドレスコードでは、短パンにはロングソックスもショートソックスもどちらもOKとなっている。ただしロングソックスは様々な色やデザインでも良いのだが、ショートソックスは白が望ましいとされているところもある。
dress code
また、外国のゴルフ場では「trouser must not be tucked into socks(ズボンをソックスの中に入れてはいけない)」という服装の規定がされているところもある。これは「ズボンの裾が汚れるからといってソックスの中に押し込むのはみっともない」という考え方からきている。

世界中「素足」だけはご法度!

ただひとつ言える事は、世界中「素足にシューズ」でゴルフでプレーすることはご法度とされている。
かならずソックスは履いてください。

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※インターネットでゴルフ規則の全文をダウンロードできます。
公益財団日本ゴルフ協会(JGA)サイト
http://www.jga.or.jp/jga/html/rules/rules.html
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谷光高
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谷光高(ゴルフ場経営者)

新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部)

一部の人が楽しむゴルフから、誰もが気軽に楽しめるゴルフへ。日本のゴルフ文化を変えるため、ゴルフ初心者へのサポートや子どもたちへのレッスン、学校の授業などを行い、初心者にゴルフを楽しむ機会を提供している

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