不安感と危機感

村越真里子

村越真里子

テーマ:ムラコシズム、つぶやき

この二つの言葉はよく似ているようで、似て非なるものです。
あえて、分けるとしたら不安は、漫然と在るもので、危機感は「鬼気迫る」の駄洒落ではありませんが迫り来るその距離が読める事に持つ不安の事です。

私達は、生きている中で、漫然とした不安は誰しも抱えています。
いくら1年に2回に健康診断をしても、その半年の間を縫って、病気になる人もいます。
健康の為に、ジョギングを欠かさずしていても、ビルの上から建築資材が落ちてくることもあります。

小学生の通学路を安全の為に集団登校させても、暴走した車が児童の群れに突っ込んでくることはあります。
ただ、こんな風にいたずらに不安感を持っても、思いもよらぬことは人生には起きますので、そこを恐れて生き方を狭くするのは、意味がありません。

だから不安は漫然と持つより、何があってもいいように「気をつける」しかなく、不安でおののく必要はないと思います。

しかし、危機感とは、その危機に対して、漫然とではなく、具体的に考えられることです。
そしてその危機がどのくらい自分に迫ってきているか、その距離と時間が読めることです。

時間と距離が読めると言う事は 例えば火事であれば、どのくらいの火が襲ってきているのかによって
その「熱さという熱」をわが身に感じると言う事です。
そしてその火の大きさが読めると、その場に居てはいけないか?いや、その場に居て水を掛けたらいいだけなのか、何をすれば火が消えるのか読めるわけです。
タバコの火の粉が落ちたくらいなら誰でも、手で払えばいいだけとわかりますが、実際、炎上しているくらいなら消火器を使うでしょう。
もっと大火になっていれば、消化をしている場合ではありません。身の安全の為に、逃げ出すほうがいいのです。
このように、今の状態を放置すれば、この家は焼けてしまうのか?消防車を呼ばないといけないのか?自分で消せるのか?
危機感はこの時間と危険度が読めると言う事なのです。

しかし誰しも火事等はそんなに遭遇するものでもありませんから、「どうしていいかわからない」というなら、変に自分でやり切ろうとせずに、とりあえずは消防車を呼ぶのが先決ではないでしょうか?
その上で、消防隊員が来るまでに、出来るだけのことをする・・・・それがベストだと思います。

そうです。
危機感と言うのは万一の事に備えて「何とかする」という事なのです。
それに反し不安感と言うのは 「どうしていいかわからないから、不安だけを抱えている」と言う状態です。
つまり不安だから何も出来ないと言う事なのです。

私のところに相談に来られる方は2パターンあります。
何とかしなければという危機感を持っている人と、不安で何も出来ない人。
この前者の人には、私は協力のしようがあるのですが、不安だけの人は、何を伝えても不安なのです。

だから、なるべく具体的に今の現状を、分析します。
その分析した結果に対し、何をしなければならないか、または逆にしなくてもいいこと、を説明します。

もう少し詳しく言うと、不安感だけの人は、元々何もしたくないという気持ちがありますから、何もしないで済む方法を聞きに来られていると言う方が多く、本来、何もしたくないので、何かが必要と説いても、それには心が動かないようです。

つまり、心の中では、このままでは嫌だと思っていても、今のままで何もしたくはないのです。
だから、私が必死に、この先、どうなっていくかを説いても、それを聞く人には、耳に入って来ないようです。
そればかりか、本当は何もしない方法を探しているという自分に気づかないから、自分の胸にストンと落ちないというか、何を聞いても、「もっといい方法はないか?」と別の答えを探し始めます。
実はその相談者にとって、何かないかと相談所をはしごしても、腑に落ちる話は、どこに行っても見当たりません。
その理由は、本当は何もしたくないから、何もしないで、出来れば問題を解決したいと思っているので、何を聞いても、ストンと腑に落ちないというのは 自分は何もしないで済む方法を言ってくれるカウンセラーを探していると言う事に気づかないのです。

どうしたらいいか?の答えを求めていると言いながら本当は何もしたくないということが顔に書いてあります。
何もしないで、問題が解決できないかという答えを求めてジプシーをしたら、後はお祈りとか、数珠を買わせるところに行き着きます。

いいですか、自分の求めている事が、口で言っている事と、実は極力何もしないで済む方法はないかという事を求めている事は、カウンセラーにはビンビン伝わっています。

そういう方は、色んなこの先の話しを聞きたがりますが、いくらそういう「この先」のシュミレーションをしても、私が唱える「この先」は、何もしないで済むと言う事はないので「何とかする」と言う事ばかりなのです。
しかし、その何とかした後、どうなるか?そこは自分を安心させてくれるものがあるか?
安心という保障があるなら、取り組むが、もし安心させてくれないなら、止めておく、と言うのが「不安感タイプ」です。

一見、慎重にも思いますが、本来は何もしたくないという怖がりが不安感タイプですから、自分を安心させてくれるものしか、心が動かないのですが、実は何もせずに、問題が好転するという無茶なことを探している自分に気づかないといけません。

もちろん人には色々なタイプがあります。
そして人の人生にも色々な種類があります。

意外と生まれた時から苦労知らずの幸せな育ち方をした人がいます。
こういう人は、ちょっとした事でも、不幸な出来事は倍ほどの不安になるでしょう。

でも、幼い時から苦労続きの人は、今、起きている問題を、幼児期の苦労に比べたら、ずっとマシだと感じるかもしれません。
要は、怖がりな人は経験則がもし車のメーターで言えば、ガソリンが満タンに入っているから、ちょっと減っただけで不安になるようなものです。
私などは、貧乏で育ちましたので、ちょっと位、ガソリンが少なくなっても、ガソリンの効率がいいように
ガソリンを無駄使いしない走り方をします。
本当に、どこにメーターが振れたら、ガス欠になるかが分っているので、多少減っても怖くないのです。

スマホの充電も同じです。
あまり充電のしすぎは、反ってバッテリーの消耗が早くなるそうです。
それより、若干、使い切るくらいで、充電補充したほうが、携帯は長持ちすると教えられました。
不安感でいっぱいの人は、いつも満たされてないと怖いのですから、ある意味幸せな人生かもしれません。
それゆえに、両手にいっぱい幸せを掴んでいるから、もうこれ以上、他のものが入ってこないのです。
何故なら、今、別のものを手に入れるには、今掴んでいるものを、手をパーに広げないと、新しいものは掴めません。
今の持ち物を失いたくないと両手で抱えすぎると、新たな物は積載オーバーで手に入らないのです。

一度、自分の持っているいるものを、見直して下さい。
意外と、無駄で役に立たない、化石を持っていることもあるのです。

この先のことを不安に思い、どうしたら解決するかと相談されながら、今ある現状を出来るだけ減らさずにどうしたら良いかと質問している段階で、「私が安心できる方法」と言うオプションが付いてきてしまっているのです。
何を持っても不安なタイプは、何を話しても安心はしません。
今、夫と現実的な問題が起きていて、それを解決する方法で、同時に相談者を安心させるのは難しい。

もの事には順番があります。
解決対策をとるのは誰しも不安ですが、それは何の為に行うかというと、先々の安心の為です。
今、行う対策でさえ、安心できないなら、何も出来ない怖がりさんの手を引っ張って、指導するのは、無理クリな感じがして私が悪いことをしている気持ちになります。

危機感タイプは、冬、インフルエンザに掛かってはいけないと秋口に予防注射をする人です。
もしかしたら風邪もひかないかもしれないのに、万一に備え、自分の体質を考えて、重症にならないように
お金を払って、予防接種を出来る人です。

不安感タイプは 絶対に風邪を引かないという保障をしてくれないと痛い注射は怖くて出来ないと言う人です。

このまま冬を迎えると風邪を引くかもしれないので、今、注射をしようと考えると、なんやかんや良いながら
風邪は引かないかもしれないと思う人は、具体的に対策を取ろうということにはなりません。

こんな風に書くと、今の自分はどちらのタイプか、見定めることは出来ると思います。
実際に人生を安心して送るには、万一に備えて保険を掛ける人です。
結局、何も起こらないで欲しいと、タダ単に願う人は、これから起きるかどうか、分らない事に保険を掛けない人です。
さて、本当の安心はどちらのタイプに訪れるでしょうか?
今日はここまで。

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村越真里子
専門家

村越真里子

Re婚かうんせらぴー

最優先は夫婦の危機回避。浮気問題解決と夫婦の関係修復は分けて考えまずは離婚を回避し、その上で夫婦の修復を図ります。行動心理学を基に、今後同じ問題が起きないように予防も含め対策を練るのが使命です。

村越真里子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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