話し合いの効能
昨日、東京都知事の政治資金不正流用の記者会見を見ました。
マムシの善三なる異名をとる弁護士が、舛添知事を横に置き、精査の結果を発表しました。
そば打ちの本、ピザの本、金魚の飼い方、つらつらと一方的に、書いたメモを読み上げました。
ある程度のところで、記者からの質問を受け付けましたが、それは質問に質問で返すという返答者が一番してはいけない手法で話しました。
領収書を発行した旅館や店に、裏付けを取ったか?質問に、佐々木弁護士は記者を睨むように、「舛添知事が否定をしているなら、それを信じる。店に問い合せたり、そこまで調べる義務はない。いちいちそこまで調べる義務はない」と記者を睨むように言いました。
この迫力に記者は黙るという繰り返し。
舛添知事は 当初この問題が起きた時に、「公平な立場で厳しい目で精査してくれる弁護士が、すべてを明らかにしてくれるので、それまでお待ち下さい」と、それまで繰り返して来ました。
ここでも、記者の質問を遮断する感じを受けました。
その上で、昨日の佐々木弁護士は、と言うと、上記のような迫力を持って、記者の質問を遮断し、逆に記者を恫喝する雰囲気がありました。これも完全遮断、わかりやすく言えば逆ギレです。分かり易い云い方をすれば、「喧嘩腰」です。
どこかの風景に似ていませんか?
そうです、夫婦の話し合いです。
夫の浮気を疑い、それを妻が明らかにしようと話し合いをした時によく似ています。
妻は夫とこういう疑問を払拭したくて、話し合いをするのであって、決して喧嘩をしようとは思っていません。
それなのに夫は妻の質問に誠実に答えず、喧嘩腰です。
相手が質問をしたことを怒るというのは、一番答えをケムに巻くいい対応の仕方なのです。
これはなぜなのでしょうか?
妻は夫と仲良くしたいと思って膝を突き合わせて話をしたいのに、質問の内容に答えず、質問をした相手を恫喝するって、「仲良く」というのとは程遠い、真逆です。
これは何故でしょうか?
つまり守る相手があるという事です。
夫が浮気をしていて話し合いという話で逆ギレしたら、それは浮気は存在すると考えていいと思います。
妻は夫と話し合う時に、それは1対1の、登場人物は2人と考えています。
しかし、ここでは夫の心の中には、浮気相手というもう一人の登場人物がいます。
ただ、それは無き事としないといけないので、妻の質問をケムにまかないといけません。
要するに守るべき人がいるとたいてい、怒るのです。
すべてを詳らかに出来ない歯がゆさに、怒ることで質問を遮断するという手法です。
ここで舛添知事の例を見れば分かります。
いくら舛添都知事が「公平な立場で厳しい判断」と言っても弁護士の役目は弁護という依頼者を守るのが任務です。
だから、舛添知事を守るという以上、ほじくろうとする記者の質問は、迷惑なのです。
調べるということは 片一方のことだけを聞いては真実は分かりません。
本来なら舛添都知事の使った場所に出向き、実際に旅館でどのような会議が行われたか?舛添さんが言っている事と事実とが一寸の狂いもないことを調べないといけません。
それが、現状の根拠と言います。
そこで記者の質問「裏取りをしたか?」の質問に、佐々木弁護士の怒りは頂点に達しました。
「先方に確認を取る必要はない」と語気を強めて言いました。
こうして、口調を強くされると、一瞬こちらが間違っているかのように、怯んでしまいますが、「いやいやいや、調べないといけないでしょう」と私はテレビを見ていて、おもわず独りごとを言ってしまいました。
強気の言葉はそれだけ自信があると言うふうに、我々善良な市民は思ってしまいます。
夫とやりあう時だって、逆ギレされてしまうと、妻の自分の言い分が間違っているのかとさえ、反省してしまうものですが、弁護士は舛添都知事だけを守りたかっただけでしょうか?
いいえ、実は自分の立場をも守ったと言えます。
だから、記者の質問には答えず、質問を怒りという形で返したのです。
では、記者を怒り、何を守ったのでしょうか?
それは、自分自身です。
これまで、恐らくマムシの善三と恐れられた、弁護士としてのプライドを守ったのです。
本当に力があれば、別に怒ることはない、仕事で結果を出せばいいのです。
しかし、今回は、裏を取らずに記者会見をしなければ、調査の時間が足りなかったので、その仕事の足りなさがバレるのを恐れたのだと思います。
何故なら 本来こういう仕事の依頼はもっと時間を取って調べるからです。
例え、助手を使ったとしても、調査時間が少なすぎます。
調べる事ができなかったということは 仕事の中途半端を物語ります。
それが露呈するのを避けたかったら、逆ギレという論法スタイルにしたのでしょうね。
これでお分かりになるように、人間は余裕があれば怒りません。
男性って難儀な生き物ですね。
図星だと怒ろのですよ。
これを、わかっていれば、夫に逆ギレされたって怖がる必要はない。
しかし、本当の問題は、こうして逆ギレされながら、その夫と仲良くしたいという妻の心理です。
逆ギレする意味も分からないまま、仲良くしたいとなると、夫のいうことを聞くしかなくなり黙らざるを得ないのです。
つまり、弁護士の逆ギレ同様、怒るという事は、相手を遮断しているという事ですから。
では今日はここまで。