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医療や介護従事者は、患者様や利用者様の入浴を介助する役割もあります。
入浴は、患者様や利用者様の身体を清潔に保ち、気分転換になるなど心身の健康に大きな意味を持ちます。
なお、入浴では患者様や利用者様のとてもデリケートな部分に携わることになりますので、介助にあたる際は患者様や利用者様の心情にも十分に配慮する必要があります。
入浴は身体を清潔に保つほか、精神の安定にも
医療や介護の現場では、患者様や利用者様の入浴介助を行います。
生活習慣のひとつ、入浴には大きな意味があります。身体を清潔に保つことのほか、血液の循環を促し新陳代謝をあげる、感染症などを予防する、気分転換ができてストレス解消になる、心身がほぐれてリラックスできる、などの効果があげられます。
入浴などにより身体の汚れを落とすことで爽快感が得られ、全身をあたためることで安心感に包まれるなど、精神的にも安定します。
衣服を脱いで心身ともに解放される入浴ですが、患者様や利用者様のデリケートな部分に携わることになりますので心のケアも欠かせません。患者様や利用者様の心情を十分に推し量りながら、介助を行うようにしてください。
シャワーの温度はまず自分の肌でチェックし、患者様や利用者様の足もとにかけて温度を確認してもらいましょう。その際、「お湯を足もとにかけますね。熱くありませんか?」とお声掛けを忘れずに。
お風呂は事故の多い場所でもあります。浴槽に入る際などに「右足をあげましょうか。私が○○さんを支えていますから大丈夫です」といった言葉をかけながら、焦らずゆっくりと、すべての動作に対して言葉をかけながら介助しましょう。
患者様や利用者様の不安や恐怖の軽減に努める
医療や介護の現場では、患者様や利用者様の心身の状態により入浴するかどうかの判断を行います。
ときには、患者様や利用者様が入浴を拒否する場合も出てきます。着替えそのものが面倒であったり、人前で服を脱ぐことに抵抗があったり、患者様や利用者様により理由はさまざまです。
患者様や利用者様が入浴を拒む理由を、まわりのご家族などからお伺いするほか、ご本人とのコミュニケーションで探り、不安や恐怖を軽減するように努めましょう。
認知症などで理解力が低下している場合、入浴の意義がわからず、入浴そのものに対して不安や恐怖を抱いていることがあります。
入浴の際に怒られた、無理強いされたことなどが忘れられず、嫌な思い出となって記憶に残っているのです。
また、被害妄想などで「入浴中に貴重品が盗られてしまう」と心配して拒む方もいらっしゃいます。こういった妄想も不安が原因になっていることが多いので、気持ちを和らげるために、ジッパー付きのビニール袋に患者様や利用者様が大切にしている貴重品を入れて浴室に持ち込むなど、不安の種を丁寧に摘み取っていきましょう。
強い言葉で注意したり、強引に洋服を脱がせたりするのは良くありません。わかりやすい言葉でゆっくりと説明して、患者様や利用者様に納得してもらうことが大切です。
どうしても嫌がるときは無理強いをせず、患者様や利用者様が興味を持つ話題をする、あるいは散歩に出るなど、気分転換をしてもらうのも良いでしょう。
医療や介護従事者は、どんな場面においても、患者様や利用者様がリラックスできるような環境を用意することが大切です。
安全に入浴を終え、利用後に「気持ち良かった」と心から思ってもらえれば、患者様や利用者様にとって良い記憶となり、入浴を楽しみにしてもらうことができます。
患者様や利用者様から心身を委ねてもらえるよう、日ごろから積極的な挨拶や笑顔での声がけなどでコミュニケーションを深め、信頼関係を築いておきましょう。
患者様や利用者様に触れる手から心が伝わる
最後に、ベッドの上で患者様や利用者様の身体をふく清拭についてもお話しします。
清拭は、入浴できない方の身体を清潔に保つ手段としてとても大切なケアです。
入浴と同様、患者様や利用者様の体調を確認してから行うことはもちろんですが、患者様や利用者様の身体が冷えないように、事前にお部屋を暖める、カーテンを閉めるなど環境にも配慮しましょう。さらに、患者様や利用者様のお肌の露出に十分に配慮しながら、身体を拭いていきます。
このときも、患者様や利用者様に「タオルは熱くありませんか?」などのお声掛けをしながら、ケアを進めましょう。
ベッドの上で過ごす時間が長い患者様や利用者様にとって、入浴・清拭はリフレッシュできる貴重な機会です。
思いやりの気持ちを優しい笑顔と声がけに表し、清拭の力加減や動かすスピードなどにも配慮すると、心地よい印象を与えることができます。
入浴・清拭の際は、患者様や利用者様の身体に触れる手などからも、医療・介護従事者の心模様が伝わります。常に相手の立場にたって、思いやりの心を忘れずに接するようにしてください。