残業代(2) 時効は2年
東京のタクシー運転手達が、残業が増えれば増えるほど、それに合わせて歩合給が控除され、結局同じ給料となる仕組みは違法だと会社を訴えていた裁判で、令和2年3月30日、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は、「労働基準法で時間外労働に割増賃金の支払いが義務付けられているのは、会社側に労働時間をの規定を守らせる趣旨がある」として、前記のような会社の規定は「労働基準法の趣旨に沿うとは言い難い」と判断し、運転手が逆転勝訴した。
会社の規定どおりだと、運転手は残業しても残業してもそれに伴って歩合給が減り、総額に変化がないようになっており、実質残業代が支払われないことになるので、会社としては運転手に残業させやすい状況となるが、それは労働基準法の理念に反するという価値判断が働いたものと思われる。