入れ歯の耐用年数
患者様:「入れ歯になったら、口元にしわが寄るから、すぐにわかるよなぁ。」
私 :「いいえ、そんなことありませんよ。逆に、しわが伸びて、顔が若々しくなって、笑顔もすてきになります。」
患者様:「へ~、そうかえ。でも、そうじゃない人が多いで~。」
私 :「それには訳があります。上顎と下顎の上下左右の位置関係がずれたまま入れ歯を作成すると、くっつき具合も悪いし、お顔の形もバランスが悪くなります。」
患者様:「じゃあ、最初から顎の位置を調整して、入れ歯を作ればいいんじゃないんかえ?」
私 :「顎の位置関係は、時間をかけて、ズレてきているので、仮の入れ歯を実生活で使用して頂きながら、ズレが治ってきたらその都度調整していく必要があるんです。」
患者様:「その期間は、どんくらいかかるの?」
私 :「標準的には3~4ケ月ですが、ズレがひどい方は半年から1年くらいかかる事もあります。」
患者様:「へぇ~、そんなにかかるんかえ!」
オフィスでの一場面です。
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要は、「健康な顎の型取りをすれば健康な入れ歯ができ、病気の顎の型取りをすれば病気の入れ歯ができる。」ということです。通常、歯を失っていく過程は徐々に進行します。その過程において、土台となる顎のほうがズレたり、くるいがでたりしているのです。その間、何十年にも及びます。何十年もかかって生じたズレを調整しなおすのですから、少々時間と手間がかかります。
機械であればスペアの部品を用意すれば良いかもしれませんが、我々がお相手するのは、スペアのきかない、生身の身体です。少々手間暇をかけても、無理のないように調和を取り戻すお手伝いをさせて頂きたいと思います。