生産緑地2022年問題
従来の相続時精算課税制度の概要
相続時精算課税制度は、原則として60歳以上の親や祖父母から18歳以上の子や孫に
対して行われる贈与に適用される制度です。贈与財産の価額の合計額から、累計での
贈与額(限度額:2,500万円)に達するまでは贈与税が課税されず、限度額に達してからは贈与額に一律20%の税率が適用されます。
将来に相続が発生した際は、その時の遺産の額に相続時精算課税制度の適用を受けた
金額を加算して相続税を計算します。
この制度は贈与者ごとに選択ができますが、一度選択すると暦年課税に戻ることは
できず、少額の贈与でも申告が必要です。
令和6年以降の変更点
令和5年度の税制改正により、令和6年1月1日以降の贈与については、相続時精算課税に関する基礎控除(受贈者1名につき年間110万円)が控除されることになりました。
具体的には、贈与税額の計算において、基礎控除額110万円を超える部分について
贈与税の申告をします。贈与累計2,500万円までの特別控除が適用され、それを超える
部分に一律20%の税率が適用されます。
(相続時精算課税を適用する場合は初年度に届出書の提出が必要です。)
相続時精算課税については令和5年まで基礎控除がありませんでした。
暦年課税の生前贈与加算の見直し
令和6年1月1日以降の贈与について、暦年課税制度における相続以前贈与の加算期間が
7年間(改正前は3年間)に延長されました。なお延長期間で贈与を受けた金額のうち、
100万円までは相続財産に加算しないこととされました。
暦年課税による贈与と相続時精算課税による贈与の両方を受ける場合
例えば令和6年以降に下記の贈与があり、10年後に相続が発生した場合はどうなるの
でしょうか?
① 父から毎年110万円の贈与(暦年課税制度)を受ける。
⇒110万円×7年ー100万円=670万円が加算対象となります。
② 母から毎年110万円の贈与(相続時精算課税制度)を受ける。
⇒(110万円ー110万円:基礎控除)×10年=0円
暦年贈与のみをされているケースは多いと思いますが、
相続時精算課税との併用も考えられるのではないでしょうか。