マイナンバー制度導入で中小企業のすべきこと
医療費控除 領収書が不要に
2017年をめどに、家族の医療費が一定額を超えた場合に税負担を軽くすることができる医療費控除に必要な領収書が不要になります。現在は、1年分の医療費の領収書を保管し、確定申告をするときに提出する必要があります。しかし、マイナンバー制度によって、集積される医療費のデータを使用することで、大半の領収書の提出が不要になります。
医療費控除とは、1年間の家族の医療費から保険で補填された額を引いた額が10万円以上の場合うけることができます。1年間の所得から差し引くことができるので、課税所得を減らし、税負担を減らすことができるメリットがあります。しかし、現在は領収書の保存や病院名、内容、支払った金額など入力の必要があるので面倒と感じる人も少なくありません。
しかし、今回のマイナンバー導入によって医療費控除に必要な領収書が不要になります。2017年の夏までに健康保険のデータが、マイナンバーによってひも付けられることが今回の仕組みの土台になります。現在は郵便で届いている「医療費通知」が、マイナンバーの個人用サイト「マイナポータル」に送られてきます。このデータをネットを使い税務署に送信するだけで医療費控除を受けることができます。ただし、「マイナポータル」に送られてくるものは保険証を使った医療費なので、薬局で購入した市販薬の代金や通院のための交通費の料金は送られてくることはないので注意が必要です。もちろん医療費控除に使うことはできるので、これまで通り領収書の保存と提出が必要になります。
一部はそのまま、領収書が必要なものもありますが、それでも申告のやり方は格段に簡単になるため、現在7,000万人の利用が大幅に増えることが見込まれています。
子育て支援 ネット申請可能に
現在、保育所への申し込みには、複数の必要関係書類をそろえて提出する必要があります。保育所の申請は手続きに手間がかかり、働く女性が会社を休んで申請しなくてはならないケースもあります。政府は女性の社会進出の後押しを成長戦略の柱に据えているため女性が働きやすい環境を整備しています。
今回、マイナンバー制度の仕組みを利用して2018年~20年の実現を目指して、共働きの女性の負担を減らし、子育てしやすい環境を整えるため、スマホやパソコンを利用して子育て関連の手続きをすることができる枠づくりを検討しています。具体的には、2017年に始まるマイナンバーの個人用サイト「マイナポータル」からの一括手続きが検討されています。「子育てワンストップサービス」の名称で今秋から具体的な制度設計が議論されるので、女性の社会進出や子育て支援に期待がかかります。