免疫力を上げるために必ず知っておきたい「副交感神経」のこと
免疫力を上げる取り組みとして、「食品」や「サプリメント」「○○薬」を積極的に取り入れている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?そんな方々へ、少しでも取り組みが無駄にならないよう、効果を十分に発揮できるようにするための情報について、「薬」、「サプリ」、「食品」それぞれについてお伝えするシリーズの第一弾、「食品」編です。
注射薬や点滴薬などを除いて、「薬」にしても「サプリ」、「食品」にしても、口から飲み込んで、胃で「消化」⇒腸で「吸収」といった大まかな流れは皆さんご存知のことでしょう。私の考えとしては、そのあとの1ステップを強調したいと思います。それが、⇒血液で「運搬」(=血液と一緒に、血管網を使って全身もしくは目的の場所へ栄養素を運ぶ)です。この3ステップ目を考えて頂くと、届いた先(=細胞)で栄養素が「作用する」ことが、「栄養素が効いた」などの評価につながるのではないでしょうか?そこで、上記3ステップを踏まえて免疫力を上げることを目的とした考え方をお話しいたします。
今回は、誰しもが興味があり、まず取り組むであろう、基本となる「食品」について
私が専門とする、口の中の「唾液」にも消化作用はありますが、ヒトのカラダにおいて消化のメインとなるのはやっぱり胃です。分子栄養学などを学んでいると、胃酸が少なくて消化に問題がある方が意外に多いのにびっくりします。5大栄養素の1つであるタンパク質は→ペプチド→アミノ酸まで分解(消化)されないと、タンパク質のままでは腸で吸収されません。「食品」の場合、しっかり分解(消化)させることが大前提として必要です。
(歯医者ですので、しっかり消化するためにはしっかり「咀嚼」しておく必要があることも一応、お伝えしておきます)
次は腸での「吸収」のステップですが、こちらも千差万別、1000人の人が同じ食品を食べたにしても吸収の度合いはバラバラだと思います。昨今の腸内細菌ブームにあるように、腸での吸収に重要なのは腸内細菌=腸内環境です。どの栄養素を吸収するにも、腸内環境による影響を受けますが、面白いのは栄養素自体にも腸内環境への影響がある点です。「食物繊維」が「腸をキレイにする」ことをイメージするとわかりやすいのではないでしょうか?そのほかにも乳酸菌を取りましょう!ビフィズス菌が腸にいい!善玉菌と悪玉菌のバランスが大事!発酵が良くて腐敗はダメ!などなど、腸内細菌の重要性が広く伝えられるのは腸内細菌が腸内環境そのものだからです。
最後は、いよいよ「運搬」です。運よく(?)吸収された栄養素は成人だと10万キロにわたる血管網で全身の隅々の細胞へ運搬されることになります。しかし、血管全長の99%を占めると言われる毛細血管網は、その入り口で血流量を調整する「毛細血管括約筋」があり、なぜだかわかりませんが「副交感神経だけ」が括約筋を緩める=栓を開くことができるとされています。例えば、ヒトは寝ているときに新陳代謝しているのですが、睡眠の質が悪ければ副交感神経の働きも弱い=末梢細胞への血液量も制限⇒末梢への栄養供給量不足、新陳代謝されにくい・・・といった結果になりかねないということです。せっかく吸収した栄養は、吸収した分すべて使い果たしたいものです。
「運搬」にはもう1点、ポイントがあります。それは、吸収された栄養素はほとんどの場合「乗り物」のような物質(主にタンパク質)を伴うということです。栄養ではありませんが、肺で取り込まれた「酸素」を末梢へ運ぶのは「赤血球」のヘモグロビンであることと同じ感じです。ヘモグロビンが4つの酸素を抱えて、血液の流れに乗って末梢へ酸素を「運搬」するというイメージです。
因みに、「食品」を5大栄養素で考えた場合、一般的な日本人の栄養の過不足は下記のようになります。
タンパク質:不足
炭水化物:過剰
脂質:質に問題
ミネラル:不足
ビタミン:不足
です。ここでタンパク質だけを考えてみると:そもそもの摂取量が不足⇒腸内環境が悪ければさらに吸収率低下⇒「運搬」の運び手となるタンパク質も不足⇒乗り物がないのでほかの栄養素も全身へいきわたらない・・・・と負のスパイラル突入となりかねません。そうならないためにも、しっかりと消化する胃にしないといけないですし、消化したものを吸収できる腸内環境を整えるべきだということが理解いただけるかと思います。(そしてその後はしっかりと休息、睡眠をとって全身に栄養を行き渡らせるべし!)「薬」にしても「サプリ」、「食品」にしても、摂取したものがすべて栄養になるわけではなく、むしろ栄養として届けられない=役に立たない場合もある、むしろ役に立たない場合が多いかも?ということを理解していただき、そうならないためには5大栄養素のバランスが整った「食品」とすることを常々心がけて頂ければと思います。
次回は、「サプリメント」についてお話しいたします。