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西田英治

「噛み合わせ」から健康へ導く「健口」のプロ

西田英治(にしだえいじ) / 歯科医

にしだ歯科医院

コラム

免疫力のもと「白血球」と「自律神経」の見えない関係

2021年8月15日

テーマ:免疫力アップ

コラムカテゴリ:美容・健康

コラムキーワード: 免疫力アップ呼吸法 自律神経

コロナ感染第5波が広がる現在、各自ができることとして「免疫力を上げる」取組みをしている方もたくさんいらっしゃるかと思います。また、逆に取り組んではいるけど体の変化が感じ取れない・・・などと悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
 今回のコラムでは、免疫力を上げるために知っておいてほしい、皆さんの取り組みがさらに役立つようにするための情報をお伝えします。
 まず、「免疫」の担い手である「白血球」について:白血球は大きく分けると①顆粒球②リンパ球・単球の2種類に分かれます。①顆粒球はさらに好酸球、好塩基球、好中球と別れているのですが、これらの違いはどういった炎症部位に出向くか?出向く先の炎症の種類が違うだけですので、名称まではこだわる必要はありません。たとえば、鼻炎などのでは好酸球が集まりますし、歯周病原菌による歯周炎では好中球が集まって菌と戦う、といった具合です。繰り返しますが、細胞の種類よりも役割①=「炎症部位に出向く」細胞であることをココではご理解ください。
(因みにですが、なぜ歯科医師である私が免疫や自律神経を語るか?というと、歯周病を専門に学び研究していたことから免疫を通して歯周病を考えていたことにあります。)
次に②リンパ球・単球ですが、コロナウィルスの場合、肺への感染をイメージすると最初に駆除(免疫)として働くのは単球系の肺胞マクロファージやリンパ球系のキラー系細胞です。ココでのポイントも、細胞の名称ではなく役割②=「駐在型、巡回型監視」細胞であるという点です。つまりコロナ感染を例にとると、身体の組織に異常(感染)がないかを監視する細胞が、異常を感知=敵が入ってきた!攻撃部隊集合!という狼煙(サイトカイン等)を出して集められるのが①の顆粒球というわけです。顆粒球が集まるとそこが戦場となるのですが戦場では顆粒球が戦っている間に、別の②リンパ球が敵が何者なのか?ということを戦場の残骸をもとに分析し攻撃対象となる敵の特徴(コロナの場合はスパイクタンパク)をとらえ、さらに別の②リンパ球へ伝えて、敵に合わせた武器(抗体)を作って鎮圧する、またさらに別の②リンパ球が再度感染した時のために敵の特徴を記憶しておくことで再感染に備えるといった具合です。
 mRNAワクチンとは、ヒトのカラダでも情報次第でタンパク質を作ることができるのでmRNA=「スパイクタンパクの設計図」を注射して体内でスパイクタンパクを作ってもらうという訳です。当然このスパイクタンパクは体にとっては『異物』(感染力はもちろんありませんが、無害かどうかは議論の分かれるところです)ですので、上記の免疫反応の後半部分の、分析を行って武器「抗体」をあらかじめ作っておこう、敵(異物)情報を記憶しておこうというメカニズムです。
現在問題となっている変異株は敵の特徴が変わってきているという問題です。また、ワクチンに関してどれくらいの期間効果があるのか?ということは上記の「記憶」期間に関係します。
長くなってしまいましたが、ここからが今回の本題です。
感染からの一連のメカニズムの中で一番重要なところはどこだと思いますか?現在の状況では武器(抗体)づくりであるため、ワクチンを打ちましょう!という風潮になっていると思いますが、個々人に出来ることと言えば「感知・情報分析・情報伝達」能力を上げることではないでしょうか?②リンパ球・単球系に大きく依存している部分です。そこで、お伝えしたい重要なことが自律神経との関係です。
白血球は形態や作用の特徴から①顆粒球②リンパ球・単球の大きく2種類に分けられることをお伝えしました。この2種類については別の側面があります。それは
①顆粒球は交感神経
②リンパ球は副交感神経
と関連する傾向が強いということです。「関連」ということを断定的に説明することは非常に難しいのですが、過去のコラムでお話しした「毛細血管括約筋」が副交感神経だけの作用を受けていることから、末梢へ巡回型免疫細胞を十分に巡らせようとするには「副交感神経をある程度働かせたほうがいいだろう」いうことをイメージするとわかりやすいかと思います。決して、交感神経優位の時にはリンパ球が末梢へ全く届かないなんてことはありません。末梢へ届く免疫細胞の種類や量が交感神経・副交感神経のバランスによって異なっているというイメージです。
つまり、②リンパ球・単球系を十分に機能させるためには副交感神経を優位にした方がいい。交感神経が優位=過緊張状態は免疫にとっては逆効果であるということです。
 皆さんが行っている「免疫力アップ」の取り組みの中には自律神経と関係あるもの、関係ないもの、分からないもの、様々だと思いますが取り組みの効果を十分に発揮するためには、一度副交感神経とのかかわりを考えてみてください。一例としては、
1)睡眠を十分とった方がいい→休息・リラックスなど副交感神経優位の時間を確保した方がいい
2)タンパク質を取った方がいい→分子栄養学の世界ではタンパク質食傾向=副交感神経型、炭水化物食傾向=交感神経型で、残念ながら日本人は交感神経型が多い傾向にあると言われています。まt、抗体の材料はタンパク質です。
3)○○という機能的栄養素(又はサプリメント)を取った方がいい→吸収させるためには副交感神経の働きが必要です。吸収した栄養素を末梢へ運ぶためにも副交感神経を働かせることが効果的です
4)適度な運動→全身に血液を循環させる=酸素、栄養、免疫細胞等をいきわたらせるためには血管(道路)整備が必須です
などなど、免疫力を上げる取り組みは上げればキリがないと思いますが、自律神経、こと「副交感神経」の関与無しで効果を謳えるものはないのではないでしょうか?副交感神経の働きについて改めて興味を取られる方がいらっしゃいましたら、さらに長いですが、過去の機能的鼻呼吸に関するコラムを読んでみてください。

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