まずは「免疫」について
3話目にしてもう結論?と思うかもしれませんが、今回の話はかなり奥が深いので核となる部分を中心にお伝えします。
前回のコラムで、免疫には「自然免疫=警戒・見張り役」と「獲得免疫=対応・排除役」があることをお伝えしました。今回のコラムでは、これらの中身について先ずお伝えいたします。前回お伝えした、警報装置や監視カメラ、自警団などの人やモノ(機械)について、実はカラダの中にはそれぞれに対応する何種類もの「(自然)免疫細胞」があります。これらの細胞はそれぞれが連携しあって役割をはたしているのですが、一方で警察官にも私服警官もいれば麻薬取締官、場所に特化した空港警察もあれば凶悪犯罪の時には特殊部隊など様々な役割(任務)の警察官がいるように、これまた様々な種類の「(獲得)免疫細胞」が働いています。
例えば、50軒の家があるA村(人でいうと村=臓器:肺)を泥棒(ウィルス)が居ないか警戒し、見張ろうとした場合、先ず必要なものは何だと思いますか?
免疫のとらえ方、見方、考え方によって、様々な答えがあると思いますが、ここでの私の答えは「道路(=血管)」です。警報装置を設置するにも、自警団を配備するにもA村へ人やモノを届けないといけません。そういった意味での「道路(=血管)」というわけです。
ヒトのカラダの場合、血液の循環については皆さんもご存知のように心臓→動脈→毛細血管(網)→静脈→心臓という循環になります。当然、動脈血には「酸素」や「栄養」はもちろん、「免疫細胞」も臓器(各地の村)へ届けることになります。
さらに、もう少し細かなところに目を向けると、(細)動脈(=県道?)から毛細血管(=
市道)へ移行する時に『毛細血管括約筋』という「栓」があります。実際には毛細血管括約筋の働きによって、毛細血管への血液の流入を調整しているわけですので、県道から市道へ移るときに、朝のラッシュの時間帯によって車線数を増加させて交通整理するようなイメージです。(検問でもいいですが、検問程全停止することはありません。)
ここからが超重要ポイントです!車線数を「時間帯によって」と説明しましたが、実際の体内で毛細血管括約筋を緩める=動脈血を末梢に届ける調整をするのは時間ではなく「副交感神経」だけなのです。副交感神経が優位になる事、副交感神経の働きが強くなることだけが唯一、毛細血管括約筋を緩め、多くの免疫細胞を末梢(肺などの臓器や器官)へ届けることができるのです。だったら、皆さんの体の中でも副交感神経が優位になる時間を増やせばいいのでは?というわけです。現時点で、「副交感神経優位な時間の作り方」として誰にでもできる事と言えば「質の高い睡眠をとること」です。
「副交感神経」についてや「質の高い睡眠を取る方法」が分からないという声が聞こえてきそうですが、この点については近いうちにまたこのコラム欄でお伝えいたします。
今日のところは、リラックスして深呼吸でもしながらゆっくりとおやすみ下さい!