マイベストプロ長崎
西田英治

「噛み合わせ」から健康へ導く「健口」のプロ

西田英治(にしだえいじ) / 歯科医

にしだ歯科医院

コラム

免疫力を上げる「〇〇〇」習慣

2022年2月16日

テーマ:免疫力アップ

コラムカテゴリ:美容・健康

コラムキーワード: 腹式呼吸免疫力アップ呼吸法 自律神経

長引くコロナ禍の中で、「免疫力をあげる方法」や「睡眠の質を上げる方法」といったワードをブログやSNS、ネットニュースなどで本当によく見かけるようになったと思いませんか?最近では、○○を上げるために「××が良い」などという情報が玉石混合ではなくジャリ石混合、「玉」がほとんどない状態で広告されているようにも思います。

皆さんの中には、
・「免疫力」を上げたいと思っていても、簡単に上げきれない・・・、実感もない。
・そもそも、自分の「免疫力」がどれくらいあるかもわからないし、年を取って変化ないのか下がっているのかもわからない・・・・。
・せめて、「質のいい睡眠」で十分な休養を取って、体力の回復や体調管理に努めたいけど、どうしていいかわからない・・・。

などと思い悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
非常に心苦しいのですが、残念ながら「免疫力」も「睡眠の質」も上げたいと思って上げれるものではありません。誤解のないようにしっかり理解していただきたいのですが、「免疫力」も「睡眠の質」も上下するのは確かです。ただ、その上下のうち「上がること」が自分の意思(希望)によっておこることは「通常はない」という意味です。そして、その理由も簡単です。「免疫力」も「睡眠の質」も「自律神経」に支配され影響されているからです。例えば、睡眠の質を上げたいとしたときに、何の悩みも心配もなくリラックスした状態で寝れると睡眠の質は上がることはみなさん想像がつくと思います。そして、リラックスするために呼吸を緩やかにして心拍数を下げるという方法を考えるのも一つだと思います。問題は自分の意思(脳)ではなく「自律している」神経をどうやってコントロールするのか?寝ている間に心拍数を意図的に下げるのか?ということです。「通常は」起らないのもそのためです。とはいえ、自律神経をコントロールする方法があるからこのようなお話をしているわけで、結論から言うとその方法は「○○○」です。もったいぶるつもりはありませんが、今からお話する自律神経が影響するメカニズムを理解していただければ、なおのこと「○○○」の重要性も理解していただけると思いますので、長いですが、是非、飛ばし読みせずそのまま読み進めて下さい。
そもそも、「免疫力」とはどのようなものと皆さん考えているのでしょうか?あくまで私のイメージですが、“免疫力=免疫細胞(数)×免疫細胞能力”と考えています。他にも影響する要素はたくさんあるのですが、免疫細胞の数と能力が一番影響しているのでは?と私は考えています。よく、ヒトの免疫は「腸」が重要な働きをしているといわれますが、これは、免疫細胞の7割が腸に集中しているからといわれています。(一説には8割とも・・・・)
で、残りの3割の細胞が体の大半の免疫応答にかかわっているということです。例えば、歯周病などは歯茎の「炎症=免疫反応」が慢性的(持続的)に起っている状態ですから3割のうち数%の免疫細胞を歯茎に集めていることになります。メタボ=脂肪細胞もカラダにとっては「慢性炎症」と同じですので残念ながら貴重な免疫細胞をコロナに感染する前から浪費してしまいます・・・・。なので、貴重な3割の戦力(免疫力)を落とさないためには、歯医者に定期健診に行って歯周病のケアをした方がいいし、時間がかかるかもしれませんが生活習慣を改めて、メタボ対策を行うことも免疫力アップにつながります。ですが、今日はそのお話ではありません。ここでは、3割から減じた少ない戦力(免疫力)となってしまった現在の状態でも出来るだけカラダの隅々まで感染(外敵)がないかをパトロールして対処(免疫応答)してもらうためにはどうしたらいいかを考えようとしています。
そのために次に必要な知識(情報)はカラダの構造、「血管」のことです。皆さんご存じのように、心臓から送り出された血液は動脈⇒毛細血管⇒静脈の順に流れていきます。この順路の中で、毛細血管の入り口には毛細血管括約筋という「栓」の役割をする筋肉があります。
ここが、今日のお話でおそらく一番のキモです。
この毛細血管括約筋が何によってコントロールされているかというと、これこそが自律神経なのです。つまり、自律神経のうち交感神経が優位で副交感神経があまり働いていない状態では栓を閉めて毛細血管網へはあまり血液を送らないようにしています。一方で、リラックス状態で副交感神経が優位の時には括約筋が緩み=栓が開いて血流も増えるというわけです。
なぜ、今日一で重要なのか?それは60兆(一説では32兆)あるカラダの細胞1つ1つは、血液によって運ばれてくる酸素や栄養をもとに活動しています。そのため、毛細血管括約筋が働いて栓を閉めることで全身の隅々の細胞まで酸素と栄養を届けきれないと、栄養不足や酸素不足で細胞本来の活動が出来なくなってしまうというわけです。
今回のテーマの1つである「睡眠」を例にとると、ヒトのカラダは寝ているときに新陳代謝やメインテナンスをしています。そのためには当然、酸素や栄養が必要です。カラダの隅々まで酸素や栄養をいきわたらせるためには寝ている間中ずっととは言わないまでも、ある程度は毛細血管括約筋に緩んでいてほしいはずです。
「酸素」「栄養」をカラダの隅々まで届けるためには「副交感神経」が重要な役割を果たしていることはご理解いただけたと思います。免疫力を上げたいときも同じです。免疫力を上げたければ、リンパ球などの免疫細胞をしっかりと末梢の器官や組織へ届けるべきなのです。
例えば、今のご時世、健康管理や免疫力アップのために様々な取り組みをされている方も多いと思います。その中で、免疫力を上げるためとしてサプリを取り入れている方にとっては、そのサプリの成分を目的の細胞まで届かせるためには括約筋を緩めた方がいいですよね!ということです。
この考え方はサプリ成分についてだけではありません。根本的に免疫力の本質は免疫細胞ですので、免疫力を上げようと考えるようでしたらカラダの隅々まで免疫細胞をいきわたらせた方がいいに決まってます。(免疫細胞を活性化するサプリメントもありますが、その場合も折角活性化した細胞を括約筋で栓をして末梢へ届けきれない・・・なんてことがないようにしたいものです)
ちょっと極端な例えですが、がんについても同様の考え方ができると私自身考えています。ヒトのカラダの中で1日600個できるといわれる「がん細胞」を見逃さず攻撃するためにはカラダの隅々まで免疫細胞(T細胞)をしっかりいきわたらせないといけません。T細胞が届かずに見逃したら「ガン」細胞が増殖するわけですし・・・・。
私自身、もともとは歯周病原菌の菌種による免疫応答の違いについて研究していたこともあり、その後も様々な免疫に関する情報に触れる中で、ガンについてもある程度は見識を深めたつもりです。最初は意味が解らなかった「ガンとは戦うな」であったり、がん治療の一環としての「笑いヨガ」など交感神経亢進を否定し、副交感神経優位な環境を勧める医師の意図はここらへんにもあるのかな?と思っている次第です。
 となると問題は、自分のカラダをどうやって「副交感神経優位」な状態にするのか?ですよね
それが「〇〇〇」の答え=「機能的鼻呼吸」というわけです。ポイントとしては
①鼻呼吸であること
②腹式呼吸であること
③ゆっくり息をすること(重要!:息を吐く時間=息を吸う時間の1.5~2倍)
これだけです。日中の休憩時間などに最初は3分ぐらいでいいので「呼吸にだけ集中して」上記①~③を同時に行ってください。
うまくツボにはまったら=副交感神経優位の状態になったら、それまでより口の中に唾液がたまってくるようになるでしょう。ちなみに「腹式」であることは超重要です。腹式呼吸とは横隔膜をしっかり動かす呼吸なのですが、横隔膜の動きを支配する「横隔神経」は吻合=繋がってはいないものの、「迷走神経」や「三叉神経」と連携していることから、腹式呼吸で横隔膜を動かすことによって迷走神経をだましているようなイメージです。
この呼吸法は、「マインドフルネス」や「ヨガ」、「太極拳」、「自律神経訓練法」など様々な分野の呼吸法に通じるものでもあります。
では、寝ているときは?・・・
まずは起きているときの「機能的鼻呼吸」法を実践して5分間ぐらい機能的鼻呼吸ができるようになったら、寝るときも呼吸に意識しながら、口呼吸をしないように強制的に「口テープ」を張って鼻呼吸しかできないようにします。当院おススメのかぶれにくいテープは「優肌絆」です。

<今回のコラムのポイント>
・免疫力を上げるためには毛細血管括約筋を緩めて、カラダの隅々まで「酸素」「栄養」「免疫細胞」をいきわたらせたい!
・毛細血管括約筋を緩めるためには副交感神経を優位にする必要がある。
・自律神経である副交感神経を“意識的に”優位にするには“ゆっくり”とした“腹式”での“鼻呼吸”がポイント!

長引くマスク習慣が原因で口呼吸となり、歯周病の悪化などの口の中の変化や体調の変化を訴えられる方が確実に増えて来ています。「口呼吸」は胸式の呼吸で、逆に交感神経を優位にする呼吸です。マスクをしていても常に鼻呼吸を心がけていただき、休憩の時など時々「機能的鼻呼吸」を実践することで、皆さんの健康増進・未病対策、そしてコロナ対策へ少しでもお役に立つ情報となれば幸いです。

追伸)実は、今回のコラムは情報量が多いため最初から動画を作成して配信しようと考えていました。スライドまで準備していたのですが、あまりにも内容が多岐にわたっているため一端整理の意味も込めてコラム発信を行ってます。自院の患者さんにはそれとなく伝えてきたことですが、今後はこれまで私と接点のなかった方たちに対してもできるだけわかりやすく動画にまとめきれたらと思っています。そこで、今回の内容について、分からなかったことやココをもっと詳しく知りたい、コレってどうなの?など疑問質問ありましたらフェイスブックやメール(マイベストプロ・長崎 西田英治のページにあります)にてアドバイスいただけないでしょうか?
よろしくお願いいたします。

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