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別れたいけど、別れられない「サンクコスト」の罠とは?

2024年4月8日

テーマ:夫婦関係の悩み

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

夫婦関係に限らず
誰かと別れたい、とか
何かをやめたい、と思っているのに

その方がいいとわかっていても
どうしても心にブレーキがかかってしまう・・・

それは、もしかしたら
私たちの心に中にある
「サンクコスト」の罠かもしれません。

今日は、サンクコストの罠に
ひっかからないコツをお伝えします。




●このまま結婚していいのか・・・

先日、こんなお悩みを見かけました。

* * * * *

結婚を前提に同棲している彼がいて、
親にも紹介済み。

でも、彼のきつい口調がつらくて
一緒にいるのが苦痛になってきた。

彼にも話してみたけれど、治らない。

これから結婚するのが不安。

だけど、親にも結婚すると言ってるし、
今さら同棲解消するのも・・・

いったいどうしたらいいでしょうか?

* * * * *

こういう場合には

「同棲を解消するより、離婚する方がずっと大変!
今のうちに別れた方がいい」

「あきらめずに、
彼とちゃんと話し合ってみたら?」

というアドバイスが、よく言われます。

ただ、離婚する大変さは、
まだ結婚する前では
いまいちピンと来ないものだし

話し合ってわかる相手ではないから
悩んでいるわけです。

そして、このお悩みの場合の
一番のネックになっているのが

「だけど、親にも結婚すると言ってるし、
今さら同棲解消するのも・・・」

という部分です。

もう、彼への気持ちは
ほぼ冷めているけれど、

親や友人など
周りの人たちへの説得や説明のストレス、

そして、彼と過ごした数年間という時間が
無駄になってしまうような

そんな気持ちが
決断させてくれないんですね。



●サンクコスト効果とは

ところで「サンクコスト」という言葉、
ご存じですか?

日本語では
「埋没費用」と言われています。

主に経済やビジネスの場面で
使われる言葉です。

どんな意味かというと

すでに払ってしまっていて、
もう取り返せない「お金・時間・労力」のことです。

そして、すでに支払った
サンクコストを取り返そうとする心の働きを

「サンクコスト効果」と言います。

たとえば、新規にお店を出したけど

お客さんのニーズに合ってなかったようで
赤字続きになってしまった場合です。

本来ならば、閉店して

お客さんのニーズに合うお店にして
再スタートするとか
別の場所で出店するなど、

合理的な判断をする方がいいのですが

それまでの出店費用やかけた時間、
労力を考えると撤退する勇気が持てず

どんどん赤字が膨らみ続ける・・・
みたいな感じです。



●身近なサンクコストの例

身近な例では、
たとえば、Amazonプライムで映画を見ていて

途中で「つまんないなー」と
見る気がなくなっても

「でも、もう3分の1くらい見ちゃったし」

と、これまで費やした時間がもったいないと感じて、
我慢して最後まで見続ける・・・

という状態です。

今までの映画を見た時間は、
もう取り戻せません。

でも、それを無駄にしたと思うのが
悔しいし、そう感じるのもつらいし、というわけで

残り3分の2の時間も
つまらない時間にして過ごしてしまうんですね。



●サンクコストを生み出しているもの

サンクコストを生み出してしまうのは

「取り返せない過去を無駄にしたくない」
という思いと

「あの時の選択を間違いだと思いたくない」
という思いです。

でも、取り戻せない過去のために

これから、いくらでも
幸せになれるかもしれない可能性を

自分から手放してしまうのは、
すごく、もったいないですよね。



●サンクコストを手放すために

ここで、お伝えしたいのは

過去の出来事は
失敗にすることもできるし
学びに変えることもできる


ということです。

うまくいかなかったことは、
時間のムダでも失敗でもなく

これからの未来を
より幸せに生きるためのフィードバックであり

かけがえのない「学び」です。

そう考えると、
サンクコストにとらわれることなく

その時の自分にとって
一番いい選択ができると思います。



●「今」と「未来」のために選択する

もちろん、彼とのつらい時間を
過去にすることは

モラハラ気味の関係性を
終わらせる選択となりますが

お互いに尊重しあえる
新しい関係性をつくっていく、
という選択にすることもできます。

大事なことは、
サンクコストのためにガマンし続けるのではなく

「今」と「未来」を大事に、

何よりも自分が幸せになるために
生きていく選択をすることです。

身近な人との関係性を変えていくヒントは、

こちらの無料メール講座でも学べますよ。

この記事を書いたプロ

松尾聡子

夫婦関係のカウンセリングのプロ

松尾聡子(Le Port(ル・ポール))

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