株式会社に代表取締役を2名以上置くことは可能か?

李泳勲

李泳勲

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株式会社を設立する際に、「代表取締役を何人か置きたいけど、可能ですか?」という相談を受けることがあります。

取締役なら数人いても違和感がありませんが、「代表」が何人もいたら少し違和感を覚える方もいるかもしれません。

結論から申し上げると、代表取締役を2名以上置くことは可能です!

ただ、代表取締役は1名を定めることが一般的であり、2名以上定める場合は例外と言えます。

今日は、代表取締役を2名以上置くときについて説明します!

代表取締役を2名以上置く理由?

例えば、次の理由が考えられます。

① 長崎と北海道のように、離れた地域に取締役がいて、両方が重要な契約等を行う必要がある場合
⇒ 両方が代表取締役の印鑑を持つことができるので、押印の煩わしさが解決されます。

② 仲間と会社を立ち上げ、みんな同じ立場で働きたい場合
⇒ 仲間全員を代表取締役で定めることで、全員が同等な権限を持つことになります。


代表取締役を2名以上定めるメリット

① 二人で始めた会社を仲良く続けるにはちょうど良い!

インターネットビジネスのように、少額出資によるリーンスタートアップで事業を始める場合などです。お金がそれほどない二人で、最初の出資はもちろん、収入や権利も折半したほうが、気持よくビジネスが続けられるメリットが生じます。

② 専門領域の高い人材による高度な分立経営を実現できます!

情報化社会の中で、ビジネスの変遷は加速度的に早くなっており、財務・技術・営業・経営のそれぞれの分野で、高度な判断が求められています。それぞれの分野のプロフェッショナルが、自らの専門領域に集中し、代表取締役としての意思決定を行うことで、ベストな選択を目指せます。特に、企業の拡大期においては、個別組織(部署など)のレベルを全体で押し上げるために、この体制を取る会社もあります。

③ 事業承継に当たって権限を分担し負担を軽減できる!

先代からの事業承継に当たって、特に先代が一人代表として辣腕を振るっており、その後継としての人材が一人では負担が重い時に、二人の代表取締役が設置される場合があります。突然の事業承継が起きる場合は、内外から負担に耐えうる適正な人材を、複数の代表取締役として配置することで、短期間に組織の体制を整えるメリットが生じます。

代表取締役を2名以上定めるデメリット

メリットも多数ありますが、デメリットも十分に理解する必要があります。

① 違う意見に対して調整が難しい

数人が代表取締役で、同等な立場になると、意見の違いが生じたときに、その調整が難しい場合があります。意見が綺麗に分かれないようにするため、代表取締役を奇数で置く、あらかじめ解決方法を定めておく、などの対策が求められます。

③ 意思決定が遅すぎる場合がある

何でも二人の同意を元に意思決定を下さねばならないような、曖昧な経営判断の分担を前提として、代表取締役が二人いると、経営判断のスピードが失速する場合があります。経営判断のスピードが遅くなることにより、ビジネスチャンスを逃したり、会社の成長が弱まる、経営危機の時に責任の所在が不明となってしまう場合もあります。

③ 代表権以上に株式保有比率が意思決定を左右します

社内の有能な人間が二人目の代表取締役となった時に、片方の既に代表取締役だった人間のほうが、圧倒的な株式保有比率を維持していると、社内に軋轢が生じる場合があります。有能な人間が代表取締役になったとして、株式保有比率が低い場合は、片方の代表取締役の意見次第で、幾ら経営革新を進めようとしても、遅々として革新が実現しない場合もあります。

④ 取引先など外部の判断に混乱を来す場合がある

外部(特に取引先)から見て、どちらの決済により、ビジネスを進めれば良いのか?判断に混乱を来す場合があります。


代表取締役を2名以上定めるときのポイント

第一、代表取締役が二人いる場合は、意思決定の権限を明確に分けましょう。それぞれの代表取締役が、相手の判断を尊重する風土が必要になります。

第二、外部での混乱を避けるため、代表取締役間の意思決定権の責任の所在を、明確にしておく必要があります。

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