得体の知れない暖房器具の提案~メイスンリヒーター
単なる「インスペクション」との違い
中古住宅を購入する際に、その建物がどうなっているのか?
だれでも気になるはずです。
日本で不動産売買市場のなかで本格的に運用が始まったのは平成30年ですから、まだまだ最近はじまったばかりの制度です。
現行のインスペクションの運用ガイドラインによると、
・屋根や外壁の劣化の程度を見てメンテナンスの必要性を確認
・基礎や外壁に大きなクラックがないか
・壁や床に大きな傾斜がないか
・天井や内壁に雨漏り箇所がないか
・天井裏を点検口から覗いて、雨漏りの有無を確認、構造材の割れやズレがないか
・床下を点検口から覗いて、クラックがないか、シロアリがいないか、腐れがないか
・耐震性について書類が残っていないか
など、主としてその建物の構造体や仕上げ材の問題点をピックアップして、
「お互いに承知の上で売買して、後でもめないでね」
というところを落としどころとしており、肝心の快適性(省エネ性)や防音性、防犯性にはまったく触れることなく評価されます。
これは主として中古住宅や空き家の「流通」というところに着眼しているので、やむをえないとは思うのですが、
断熱材の有無やサッシの種類などで、簡単に居住快適性(省エネ性)は評価できますし(冷暖房設備も含めて観察)、
耐震性については別途市町村が行っている無料耐震診断を受けるのも手ではありますが、インスペクションでもかなり詳細な評価が可能です。
劣化診断に加え、耐震や断熱についてのインスペクション、
これらも同時に診断する場合を、最近では性能向上インスペクションと呼んでいます。
しかしこれらをオプションでも行っているインスペクター(調査をする建築士)は、まだまだ大変少ないと思われます。
せっかくなので見てもらいましょう。(無料です)
インスペクションを依頼する場合は、ぜひ性能向上インスペクションを実施してもらいましょう。
長野県の場合は、「建築物の省エネ改修サポート制度」というものがありまして、
インスペクションと同時に行う必要がありませんが、無料で診断が可能です。
今後、お風呂をちょっとリフォームしたいとか、リビングだけでも断熱リフォームしたいという方にも、ぜひ活用いただきたいと思います。
今後、空き家がより一層増える傾向にありますから、インスペクション制度はさらに活用実績が増え、調査項目も増え、他物件との差別化を図るためにも進歩してゆくと思います。
本来であれば売買物件に限らず、賃貸物件でも活用されるべきだとは思いますが、
「耐震性」と「断熱性能」は今後、”はずせない”最重要ポイントになるはずです。
見てくれだけはきれいでも、冬、超寒い家や、光熱費がデタラメにかかる家は、絶対に暮らしたくないですし、今後需要を失うでしょう。
不動産を扱う業者も、省エネ性能をラベリングして光熱費を家賃に込みにしてしまう場合も出てくるかもしれません。
性能向上リフォームに適した家とは?
最近私も感じているのですが、寒冷地・長野県でも、昭和に建てられた住宅は、意外と断熱材が入っていない住宅が多いです。
見た目はまだまだ使えそうで立派な家でも、いざ床下に潜ってみると床の裏側に断熱材がないばかりか、
床下に潜ることもできないほど狭く、水廻りの配管が劣化し、補修や交換をしようと思っても、床を解体しなければならないような家のなんと多いことか。
たまたまなのかもしれませんが、私が調査をする住宅の6割ほどが床下に断熱材がありません。
また、日本の住宅は、面積的に1階が大きく、2階は子供室が2部屋などと、耐震や断熱のリフォームを行うととても大変なつくりの場合が多いのです。
建物の形がシンプルな家、総二階建ての家は、非常に効率的に耐震・断熱リフォームを行うことが可能です。
こうした視点で市中を眺めると、2階建てのアパートや戸建ての平屋アパートが非常に効率的です。
集合住宅は、壁や床を共有しているので、断熱面積が圧倒的に少なく、工事費がとても有利です。
数年前ドイツに行ったことがあるのですが、ヨーロッパでは、インフラ整備や省エネの観点から、非常に断熱性能の高い集合住宅を利便性の高いエリアに建て、
そのエリアで働く家族や高齢者たちを移住促進、社会全体での効率性を最大化しようとしています。
今後の不動産査定ポイントは、立地や広さだけではない
3LDK、駅から〇〇分、角部屋、ペット可
現在の不動産の表記はこの程度です。
今後は「性能向上インスペクション調査済み」、「耐震等級△ランク」、「断熱等級〇ランク」、「想定暖房用消費エネルギー△△kWh=月あたり¥□□□]
といった表示が行われ、調査報告書や動画を含み、そこに暮らそうと考えている人にとって有益な情報がもっと開示されなくてはならないと考えています。
住宅は生活の根幹をなすものです。
また、地球温暖化問題を解決する上でも、もっとも重要かつ効果的な課題となっています。