「中古住宅の購入+リノベーション」を検討している方へ
「住んでみなくちゃ分からない」
果たしてそんな簡単に割り切れるでしょうか?
私は住宅の状況調査(インスペクション)を普段行っていますが、
中古住宅・別荘を購入したあと、
リフォーム工事前にインスペクションをご依頼いただくことがなんと多いことか。
本来であればインスペクションの評価を受けた建物が、売買物件として世に出され、
評価書を閲覧したうえで売買購入へ向かうのがあるべき姿です。
さらに―
省エネや住み心地に直結するであろう”断熱材”の有無や、その施工状況の正誤に関する調査は、インスペクションで行う調査項目にございません。
調査員もそこはサービスで(?)、自主的に行っているのが現状です。
確かに、断熱材の有無やその種類、充填の程度などは、壁を壊してみないと正確には分かりません(破壊検査)。
またインスペクションの調査要領(ガイドライン)にも、「床下や天井裏は進入することなく、覗き見る」という程度。
まあ、万が一天井を踏みぬいてしまったりなどと考えるとやむをえなのかもしれません。
そうはいっても床下を覗けば断熱材の有無や種類、厚みくらいは分かります。
天井裏を覗いてもしかり。気流止めの有無も少し見れば分かります。
建物の劣化診断がメインとなっている現行インスペクション制度は、
2050年ゼロカーボン化を目指すこととなったいま、さらに一歩その制度を推し進め、
つまり、
「劣化+耐震」に、「省エネ」を調査項目に加えるべきだと感じています。
「建築は人の肉体の不完全さを補うために生まれた」
とは建築家・堀部安嗣さんの言葉。
省エネ性能(ここではその家の断熱力についてをいっている)―
はそこに暮らす人の健康や快適な生活をもたらすだけではなく、”地球の健康”にまでつながる話なのだから。
今後、中古住宅や別荘を購入して、リフォームあるいはリノベーションをするつもりのある方は、
ぜひ購入「前」に、その建物の断熱材の状況についても調査をしていただくことを強くおすすめしたい。
コロナ禍で低空飛行を続ける経済への景気対策もあろうが、政府はあらたにグリーン住宅ポイント制度を打ち出した。
また、例年通り、長期優良住宅化リフォーム・高度省エネ型にも最大300万の補助を継続。
「なかなかそこまで費用がまわらない」
実際にリフォーム相談している方々の口からはそんな声が聞こえてくる。
しかし一方、リフォーム後のアンケートでは、一番やってよかった工事のダントツNo.1は、「断熱」なのである。
不動産の評価鑑定においても、今後は対象建築物の省エネ性能や地球環境への貢献性も評価軸に加わってくるものと考えています。
インスペクションの依頼時に、ぜひ「断熱性能も評価をしてください」と添えてみてください。
さらにその家を、年間通して室内温度20℃を保った場合に想定される光熱費(冷暖房費)をシミュレーションしてもらってください。
断熱工事をしない場合と、断熱強化策を講じた場合の比較検討ができるとなおさらよいのですが。
2020.12.24
株式会社Reborn 塩原