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塩原真貴プロは信濃毎日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

厳冬期、1か月間ずっと停電したら自宅で生活できるか?

塩原真貴

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テーマ:建築について

防災の日。
かつて92年前に関東大震災が発生した日ですね。

地震・雷・おやじ。

数ある災害の中で『地震』こそ最も恐ろしく、甚大なる被害を多くの人々に与え、確率的にも非常に高く発生する、我々日本人が避けて通ることのできない自然の脅威です。

私たち建築の設計に携わる者はちはみな地震を恐れ、過去に起こった地震から多くの教訓を得、耐震、免震、制震など多くの技術を蓄えてきました。

巨大地震の建築基準法も改正に改正を重ね、日々耐震性の向上に努めています。
みなさんも『いつか絶対きちゃう』、と心の中で思っているはずですよね。来たるべき大地震に備え、今一度、自宅や職場の耐震性や家具が転倒しないか、食糧や乾電池、携帯ラジオなど備蓄品などに思いを巡らせてみてください。

そこで今回のコラムは、
『巨大地震により、1か月間ライフラインが完全に止まってしまったらマジどうしよう?』
について妄想してみたいと思います。

え?
「今の日本で、そんなことが起こるはずがない!」ですって?
そんなことないですよ^^

・太い送電線を架線している鉄塔が、直下にあった活断層のずれにより倒れてしまった(想定外で)

・自宅の電力メーターや分電盤がショートして破損。同様な被害が多数起き、電力会社や電気屋さんがてんやわんやでいつまでたっても来てくれない(想定外で)

・国道や県道=幹線道路を完全にふさいでしまう巨大な地すべりが発生。電柱がなぎ倒されたばかりではなく、ガソリンはおろか、ガスボンベや食料品さえも運輸できない。ヘリによる救援物資も住民の奪い合い・・・(想定外で)

などなど、妄想の枚挙にいとまがありません。
先の東北大震災でも1か月近く電力が止まったところは少なくありません。仙台市内の住宅街でさえもです。
真冬、1月とか2月にそんな状況がもしも起こったら、ここ信州は大変なことになるでしょう。

今年も暑い夏でしたが、冬の寒さに比べれば、まだましと言えるでしょう。
真冬に電気や灯油、ガスなどのライフラインが完全に寸断して果たして生きてゆけるでしょうか?
仮に備蓄していた灯油やカセットコンロが手元にあったとして、1か月間持ちこたえることができるでしょうか?
学校の体育館や公民館など、避難先でみなで肌を寄せ合い寒さをしのぐ。さながらドラマで見る冬山遭難のように・・・。


ちょっと誘導気味かもしれませんが(笑)、断熱に優れた家があればなんとか厳冬期でも乗り越えられると思います。
マキストーブが備わっていれば言うことなしですが、ほんの少し家の中でたき火をすれば、また、太陽が出て室内に日差しが入れば、確実に家の中の温度は上がります。そしてその温度は緩やかに下がってゆくものの、15℃程度はキープできるはずです。

本を燃やす、木製の家具を燃やす、ふすまを燃やす、ドアを燃やす、壁に貼ってある板を剥がして燃やす、木でできた薬箱を燃やす、、、間違っても家は燃やさないこと(笑)

まさかそんなサバイバルな状況まではいかないにしても、「木は燃やすと熱がでる」、そんな当たり前のことをチョ~ありがたく実感することでしょう。のこぎりも防災グッズの中に忍ばせておいたほうがいいかも、です。

急きょ2階を居間にするのもいいかもしれません。1階よりは多少暖かいはず。
あ、でも余震があって逃げにくくなるからだめか!?

6帖程の小さな部屋を一点集中型の拠点にして、壁という壁を布団やカーテンで覆い、内側にはビニールなんかを張り巡らしてガムテープで留める。別の和室があれば畳を剥がしてその部屋の壁に立てかける、床に敷き詰めるのもグッド!
そう考えると10cmくらいの長い釘と金槌がいるぞ。
そんな6畳間の真ん中で大きな鍋に木片を入れて燃やしてみよう。すぐに暖かくなるはず。
おっと危ない!一酸化炭素中毒死してしまいますよ!換気は随時行わなければなりません!!

こういう状況だと現金があってもだめかもしれませんね。ある程度は優先的に燃料を買うことができるかもしれませんが、買う先がないのですから・・・。電気もスーパーやコンビニで買えないですし・・・(汗)

食糧的にはやはり頼るべきは国や市町村が備蓄しているであろう救援物資や他地域からの支援物資になってしまいますが、暖かい(普通に生活できる程度に)部屋やストレスのない空間は支給されるはずもなく、
耐震性が高く、みっちり断熱された家に勝る防災品はないように思えます。

防災の日に、そんなことを妄想し、またあらたな住宅を設計しております。
参考) 推奨耐震性能~性能表示=耐震等級2以上 できるだけ等級3
     推奨断熱性能~外皮平均熱貫流率(UA値)=0.5以下 できれば0.4以下
   ※今年度より長野県は県条例で、住宅を新築計画する際、その建物の断熱性能を基に「消費エネルギー量」を検討する義務を建築主に課しています。これから新築住宅を建てようとする皆さんは、今後の巨大地震に備え、耐震性能はもとより、断熱性能にも十分に配慮した省エネ住宅としてください。


(太陽光パネルとマキストーブを備えた高断熱性能の木の家がすごくよい)

(乾燥した薪を保管・備蓄しておくのもアリ!?)

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塩原真貴
専門家

塩原真貴

株式会社Reborn

的確なインスペクション(現況の調査・診断)により、既存住宅を地震に強く、夏涼しく冬暖かい高断熱省エネ住宅へと再生。「新築建て替えへの選択肢以外にも、こんなことができるなんて!」補助金申請お任せ下さい

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