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塩原真貴プロは信濃毎日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

ここだけの話ですが、我が家は原発電力たくさん使ってました

塩原真貴

塩原真貴

テーマ:建築について

今後電気料金は今後どうなってしまうか、誰にも分からない?

皆さんにも今月の電気料金の請求がきっと来ていますね。
あまりじっくり見つめたことがない方がほとんどだと思いますので、私個人の伝票をお見せします。
(画像をクリックすると拡大します)
中部電力

少し解説を加えます。

我が家は7年前に新築しましたが、キッチンのコンロを除くほとんどのエネルギーを電力に頼っています。

暖房は深夜電力を用いた蓄熱式電気温水器。(ウェルエコという商品名です)
2700㍑というものすごい大きな容積を持つ水タンク(正確には不凍液が入った密閉型の水タンク)に深夜1:00頃、毎日自動でスイッチが入り、水をお湯に替えます。設定した温度になるとストップするのです。
その温水器に蓄えられた「熱い水」というエネルギーを、パネルヒーターという放熱するラジエーターに回して輻射熱により建物内部を暖めます。

電気温水器

お風呂や洗面、台所で使用するお湯も、この蓄熱式電気温水器を利用します。
一般的な電気温水器やエコキュートなどは深夜電力で温めたお湯が、直接蛇口をひねると出てきますが、我が家のそれは水道水に熱交換(移動)をしてお湯にします。
前者は大きな電気ポットそのものですが、後者はお酒の熱燗のような感じで熱の移動を瞬時に行う理屈です。

従いまして、実のところ一般の家庭よりも膨大な電力を消費しています。
(先月は748KWh。暖房を使用する冬場は当然さらに増えます)

電気メーターBOX

しかしながら深夜電力を利用する機器を導入するということは、実はけっこうな割引があるんです。
正確には、「あった」、でしょうか。

2011.3.11で考え方がすべてひっくり返った、はず。


現在日本国内の原子力発電は全てが稼働しておりません。代わりにアラブ諸国の原油を大量に輸入し、主に火力発電によってその穴埋めをしております。

ご存知かもしれませんが、原発は発電を止めることが出来ません。いったんスイッチをONにすると止めることは出来ないのです。
昼間だろうが深夜だろうが発電し続けなくてはならないのですね。当然深夜は消費電力が減りますから、ずいぶん余ってしまいますよね。電力会社としてはこれを安い単価で販売し、深夜電力を使う機器を導入すれば割引もするからさ、どんどん使ってよ。
それが深夜電力が安い理由でした。
震災前、昼間の電力は平均して24円/KWh、深夜電気はその1/3の約8円でした。
現在の電力は昼間約27円/KWh。深夜は13円45銭です(タイムプラン(時間帯別電灯)の場合)。昼間の電気は約12%アップ、対して深夜電気は約70%アップしたのです。
それでもまた原発が稼働していない今なお、深夜電力は昼間の電気より安く販売され続けています。
この差額を埋めるために、深夜電力機器に対する割引を減らしたり燃料調整費ということですべての電気消費者にまんべんなく負担をさせている、というのが実情なんですね。

今さら「深夜電力も昼間の電力もおんなじでいくかんな!」とは到底言えない。そんなことしたら、私たちみたいに深夜電力機器を入れている家庭による暴動に発展しかねませんものね。

震災後、私は自身が出来ることとして、電気温水器からの放熱を少しでも防ごうと断熱材入りの小屋を造りました。切れた照明の電球は必ずLEDランプに交換してゆきます。また昨年は消費電力を減らすべく薪ストーブを新たに設置しました。
自ら設計する建物は、現行の断熱基準を大幅に上回る性能をもたせております。
既存住宅の断熱改修工事にも積極的に厚い断熱材をお勧めし、建築主のご理解をいただいております。
マキストーブ

再生可能エネルギーはもう、あまり普及させられないのか?


本日の信濃毎日新聞の第1面。
信毎記事20140927
原発に頼らないエネルギー社会を、ということで始まった再生可能エネルギー固定価格買い取り制度。このこと自体を否定するつもりは毛頭ないのですが、早くもほころんできましたね。そりゃそうです。あまりにも買い取り金額が高いのだ(>_<)
普及を推進しようとする意図は当然分るのですが、お金儲けの道具にされたんじゃ本も子もない。

住宅用太陽光(10kW 未満) 平成26年度は買い取り金額=37円/kWh(買取期間10年間)

電力会社は37円で買って消費者に27円で売る。その差額はすべての電力消費者から賦課金として徴収する仕組みになっており、このまま再生可能エネルギーが増えれば増えるほど賦課金も増大してゆかざるを得ない。送電線のキャパも対応できない。そろそろ制限をしないとパンクしちゃうんだってサ!

こうなってくるとなんだかもう、ばかばかしくなってきた感があるのは私だけでしょうか?

私共庶民には到底コントロールできない電力の料金体系。
上がっただ下がっただと制度に振り回され、それに追随してお金儲けを企むより、断熱性能をしっかりと充実させた建物に住み、電力に頼り切らない暖房や給湯に徐々にでもいいのでシフトする必要があると私は思うのですが。

建築業界に携わる人は、オール電化住宅を新築することだけはもう止めませんか?そして、いくら効率がいいからといっても深夜電力を使う機器(エコキュートや電気温水器、蓄熱暖房機)を新たに導入するのは控えた方がよいのではないでしょうか?お金が儲かるからと、太陽光発電を屋根に乗せるのはしばらく控えた方がよいのでは・・・?

太陽光発電システムが私たちを救うのではない!
マキストーブでもない!
ましてや原油産出国でもなくロシアでもない!アメリカでもない!

自分たちが自分らの首を絞めつけるような状況になってしまているのではないか?
この状況を脱する唯一のものは、私たちひとりひとりの覚悟と未来に投資しようとする思い切った決断ではないだろうか。

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塩原真貴
専門家

塩原真貴

株式会社Reborn

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