Mybestpro Members

塩原真貴プロは信濃毎日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

夏をすこしでも過ごしやすくするために

塩原真貴

塩原真貴

テーマ:建築について

梅雨明け間近、今年もやっぱり夏がやって参りました。

「地球温暖化の影響で、昔より気温がずいぶん上がっているでしょう。エアコンはもはや必須ですよ」
わたしたち建築に携わる技術者の間でも、そんな風に語られることが多くなりました。

私の実家は松本市にありますが、私はエアコンがない家で育ちました。だからなのか、今でもエアコンは苦手です。
そもそも「30℃を超える日なんて1年のうちに何日あるか」という感じでしたから扇風機があれば十分でしたね。

確かに私が子供のころは35℃なんて最高気温はありあえなかった。エアコンもやっぱり必要性を感じてしまいます。

でも本当に気温が、以前に比べてずいぶん上がっているのか?

まず、このことを気象庁のHPで調べてみました。
(松本市)
私が生まれた1973年の8月の平均気温は24.8℃
その20年後の1993年8月は22.1℃、
昨年2013年8月は25.5℃とあります。

年によって当然違いがあるものの総じて『気候そのものは、そんなに暑くなってるわけじゃない』
というふうに私は読み取りました。

でもホント暑い!なぜそう感じるのか?

・電力を使って冷房するということは、電気を熱に変換して外に放出するということである
・エアコンの使用で室内は適温にコントロールできるが、その分外はものすごい熱気
・コンクリートやアスファルトなど蓄熱する性質の物が、町中にかなり多い
・建物に、軒の出やひさし、雨戸など、日除けをする部品が建物に圧倒的に少ない

これって、どれも私たち建築士のせいじゃない?って思ってしまいます。

☒ 暑ければエアコン付ければいじゃない
☒ 断熱?そこそこでいいんだよ。エアコンで調整すればそっちの方が快適だよ
☒ ひさしとかつけるとカッコ悪くなっちゃうし。日除けはカーテンでいいよ
☒ 軒の出は坪単価に関係ないから短い方がいい(建築コストが下がるので)
☒ なんといっても総2階はコストパフォーマンスに優れているから、下屋のようなつくりは面倒ね。耐震上も疑問だよね

そんなふうに考えたら電力を節約できるはずもないですし、暮らしやすい家・住みやすい地域には絶対になりません。


下屋スタイルは日除け有効

昔の家は、下屋(げや)といって平屋の部分が家をぐるっと囲っており、その軒の出によって、夏の日除けを兼ねていました。
夏は太陽高度がとても高いので、窓の上に50cn程の屋根やヒサシがちょこっとあるだけで、窓からの日射はかなり遮ってくれます。また家の周りには緑が豊富で、通風によって蒸暑をしのいできました。
ここ30年間くらいの間に家の形は圧倒的に変わってしまったのです。

ひさし+すだれ

ひさし+すだれ(勝手口)



「夏は、窓を通して直射日光をできるだけ室内に入れないこと」
まずはこれを出来るだけ取り入れてみて下さい。


高断熱住宅と呼ばれる、断熱性能に優れたお宅にお住いの方は、私の家の窓の開け方も参考にしてみて下さい。
夜間開けておいた窓は朝8時前にはすべてを閉じます。カーテンがついている箇所は閉じます。
このとき室温はおおむね25℃。
日中外気温の上昇と共に室温もじわじわ上がってゆきます。外気温が34℃くらいで室温29℃くらいまで上昇します。
窓をあけ、風を入れたい衝動に駆られますがそこはじっと我慢します。(ガマンできないときはエアコンをON)
そうして夕方気温が下がってきて、子供たちが帰ってくるころ、窓を開けます。
防犯上、夜間窓を開けておいても大丈夫な窓の選定も大事ですね。

断熱性能が普通の家と窓の開閉の仕方が全然違う。
実はこのことはあまり知られていないようです。
私の自宅もエアコンは付いていますが、夏の期間で稼働させるのはのべ20時間程度です。


ひさし+すだれ

よしず

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

塩原真貴
専門家

塩原真貴

株式会社Reborn

的確なインスペクション(現況の調査・診断)により、既存住宅を地震に強く、夏涼しく冬暖かい高断熱省エネ住宅へと再生。「新築建て替えへの選択肢以外にも、こんなことができるなんて!」補助金申請お任せ下さい

塩原真貴プロは信濃毎日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

木造住宅を耐震・断熱構造に生まれ変わらせるプロ

塩原真貴プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼