耐震補強はやらないと損~手厚い補助金・減税
「長期優良住宅」という補助金制度はずいぶん前からありました
みなさんも一度は耳にしたことがあろうかと思います「ちょーきゆーりょーじゅーたく」。
100年程度長く住むことができる木造住宅を新築する工務店を支援する制度としてここ数年定着してきました。
「あれ?建築主(施主)に対する補助金なんじゃないの?」と思われた方はスルドイです!
実はそうなんです。工務店に対しての補助事業なんです。
この長期優良住宅、とにかく書類が山ほど必要で、建築設計事務所に頼むと30万くらい掛かっちゃうこともあるので、実際のところ施主側のコストメリットは70万程度になってるんじゃないでしょうか。また、構造面でも結構ハードルが高く、必ず建築全体のコストアップにつながります。まあ、100年以上もたせよう、っていう住宅ですから当然あれやこれやと制約があるんです。
そしてこの度、「長期優良化リフォーム」なる補助事業がスタートしました。
「なんだかまた面倒なことになるんだろうな・・・」
実は私もそんな風に考えていましたが、先月1月に公募概要が国交省から発表され、
「あ、あれ?なんかっけこういけるかも!」と感じました。
必ず省エネになる断熱工事や安心して暮らせる耐震補強、それに調査にかかる費用までもが補助対象になります。その補助対象合計金額の1/3が上限。300万の高断熱化・耐震化リフォームをすると100万円補助してもらえちゃう!はっきり言ってお得です。
しかしながら「効果がより高い事業を優先して補助する」という含みがあるので、単純に考えればリフォーム工事範囲が多いもの=発注金額が大きいもの、が優先されるということになるでしょう。
しかし、本当にたくさんの暖冷房エネルギーを逃がしてしまっているのは既存住宅の方。新築の「長期優良住宅」よりもはるかに社会的に価値あるものになるでしょう。
しかもお金がもらえるのも直接(建築主)なので安心です。工務店が倒産しちゃって補助金がもらえなかったなんてことになる心配がありません。(法人やグループでの申し込みも可能)
長期優良化リフォームは未来からの要請
「建て替えるんじゃなくて、直して長く使おうよ」そんな意識の変化を促す制度であると思います。
消費型住宅産業の革命といってもいいのではないでしょうか。
しかし建物寿命が30年程度の日本の住宅。
断熱性能や耐震性能を新築並に復活させることが簡単であろうはずもありません。
もともとそんなに長く使用に耐えられるようにつくっていない建物もたくさんあるのです。
エネルギー資源がほとんどない日本ですから、やっぱり「大事に手入れをしながら・直しながら、出来るだけ長く使う」という意識が必要です。
先祖代々の家を大事にする、長くもたせる、先祖のやり方に戻るのがやはり正解なのではないでしょうか。
まずは専門家(建築士)による住宅診断を
だれでも補助金は欲しいもの。その金欲しさにとりあえず申請は感心しません。まずはリフォームしようとしている建物の状況を客観的にかつ徹底的に分析しましょう。いま暮らしている建物の耐震性はどの程度あるのか、腐れや虫食いなど劣化している部分はどの程度あるのか、外壁や屋根など今回補助対象にならない部分もくまなく徹底調査です。
残りどの程度の建物寿命が見込まれるか?
実際に「建て替えた方がいい」、という判定が出る場合も多々あるのです。
床下や屋根裏など見えない部分も必ず調査依頼してください。
耐震診断もいまや簡単なコンピューター入力作業だけで建物を画面上で揺らし、シュミレーションできます
消費ではなく投資
これまで木造住宅のような建物は、築後10年もすると評価額がゼロになってしまうこともしばしばでした。中古住宅もそのほとんどの金額は土地代です。立地条件でほぼ決まります。解体するのもお金ですから、土地代+解体費で中古物件は査定されます。
先進国の多くは中古住宅市場が活発で、その時々のライフスタイルに併せて建物を乗り換えてゆきます。暮らしやすい、味わいがある、前の持ち主が大事に使っていた、そんな要素も含んだ金額で売買されていると耳にします。
ここ日本ではそう簡単にはいかないと私も感じます。多くの人が自分の住んでいる建物の正しい情報を持っているとは言えないと思います。中古住宅の表記も「土地OO坪、建物OO㎡、築O年、陽当たり良好」
え~~~~っ!それだけ~~~?って感じです(笑)
共通の物差しでその建物を評価しラべリングする。
たとえば
昭和〇〇年新築、平成〇年大規模リフォーム、改修履歴記録あり
「耐震等級は2で震度6強の大地震でも倒壊しないレベル」
「断熱性能は最高ランクです。暖房方式は温水床暖房です」
「全館暖房で前持ち主は暖房費用年間約10万円でした (参考・年間光熱費明細費用を照会できます)」
「築年数は40年ですがよく手入れされていて愛着指数4です」
なんて風な表示がされると中古物件も安心して購入することができますし、
リフォームしても価値が上がるんだから大丈夫。いざとなったら売却してもあんまり損をしないし、貸家としてだれかに貸すこともできるぞ、そんなふうに思考転換ができるのです。
問題は、こうした技術がまだまだ一般的でなく、効果的な工事を実施できる業者が圧倒的に少ないことです。改修方法について専門家がまずは正しく理解しノウハウを共有して、建築主に費用負担ができるだけ軽くなるように技術革新・切磋琢磨してゆかなければ
「結局建て替えの方がいい」という選択肢に行き着いてしまう恐れがあります。
長期優良化リフォームに関するHP↓
http://www.kenken.go.jp/chouki_r/index.html