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暖房しても部屋が温まらないのはなぜ?

2013年10月22日 公開 / 2014年6月19日更新

テーマ:断熱改修・耐震改修の手順

コラムカテゴリ:住宅・建物

すでに住んでいるお宅を調査させていただく機会が増えています。壁や床を壊してまではなかなか調査できませんが、ほとんどの家の屋根裏には入ることができます。

屋根裏一般

屋根裏は文字通り屋根の裏に位置していていますが、最近では「ロフト」と称して物置として一部部屋として利用していたり、ちょっとした隠れ家的空間として人気がありますよね。

押入れやウォークインクローゼットなどのどこかに、きっとその入口があるはずです。

木造住宅の屋根裏では、小屋組み(こやぐみ)と呼ばれる構造材を見ることができます。棟札とか御幣などと呼ばれる、お守りがあったりもします。そのお宅でどんな材木が使われているか、どの程度の設計レベルがあるかなどを垣間見ることができ、情報量が満載です。基本的には断熱材が敷き詰められた海原にあるはずです。

屋根裏は、真夏には60℃になることもしばしば。太陽で熱せられた屋根面が輻射熱となってこの空間をサウナ状態です。真夏の屋根裏点検作業は5分程度が限界です(笑)
この熱を直下の部屋の天井面に伝えないようにするために断熱材は隙間なく敷き詰められていなくてはなりません。

冬はどうな空間なのでしょうか?

屋根裏は温熱環境的には屋外扱いです。空気が出入りする換気窓(屋根裏換気口とか矢切(やぎり)といいます)があり、外気が自由に出入りしています。

きちんと断熱されたお宅の屋根裏は、外気温にかなり近い。外気温が0℃ならば、太陽が出ていなければせいぜい5℃くらい。
残念ながら断熱材がきちんと施工されていないと20℃近くまであります。


この違いが「暖房してもぜんぜん温まらない」という住んでいる人の感じ方になります。
ポイントは大きく分けて2点。

①間仕切り壁の上部が屋根裏空間とつながっていないか?

②断熱材がほんとうに隙間なく敷き詰められていているか?

小屋裏の問題点


【解説】

① 木造在来工法では、一般に3mほどの高さになる間仕切り壁(まじきりかべ)を天井より先につくり、そのあと、床から2.4mほどの高さに天井面をつくります。するとこの写真のように間仕切り壁の最上部を小屋裏で見ることが出来ます。部屋を暖房をするとここから暖かい空気がぐんぐん出てきます。どこを暖房しているのか分らないくらいです。
この隙間にグラスウールのような綿状のものを押し込むことで、暖房の効きは格段に良くなります。(「間仕切り壁上部の気流止め工事」と呼んでいます)


② 屋根裏の断熱材は厚ければ厚いほどよいのですが、多くの家はビニール袋入りのグラスウール10cm厚のものが、隙間だらけで適当に並んでいます。この袋入りのグラスウールを先ほどの間仕切り壁の上部隙間に押し込んで入れてしまい(釘が飛び出ていることが多いので怪我に注意!)、防湿シートを全面に隙間なく貼り込んで(気密テープ併用)、厚さ20cmのグラスウールマットを敷きつめるのが王道です。

少し費用がかさみますが、ブローイングと呼ばれる粒状の断熱材(グラスウール、セルローズファイバーなどがある)を圧送器を使って吹き込む工法もあります。いずれにせよ専門業者に頼んだ方が良さそうです。
珍客がいないとも限らないので(笑)

ブローイング

珍客

ロフトがある場合はその壁の面にも当然断熱材がなくてはならないのですが、残念ながらそこまで気がまわる業者が少ないことも事実です。

ロフトの壁の断熱材がない!

屋根裏がきちんと断熱された家は、冬雪が降った際軒先につららが出来にくい。逆につららがたくさんできる家は、暖房の効きが相当悪い家です。

この記事を書いたプロ

塩原真貴

木造住宅を耐震・断熱構造に生まれ変わらせるプロ

塩原真貴(株式会社Reborn)

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