優秀な人ほど早く辞める会社に共通すること
評価制度・賃金制度の納得感を点検する
職場環境を見直すとき、最初に手をつけるべきは評価制度と賃金制度です。
なぜなら、ここに納得感がないと、どれだけ他の取り組みを充実させても、土台が揺らいだままになってしまうからです。
点検の視点として大切なのは、「制度があるかどうか」ではなく、「その制度が現場の実態と噛み合っているかどうか」です。
具体的には、次のような問いを自分自身に向けてみることをお勧めしています。
評価項目は、実際の仕事内容や成果と結びついているか。
評価の結果が、なぜそうなったのか本人に説明できる形になっているか。
そして、頑張った人とそうでない人の間に、処遇の差がきちんと表れているか。
これらに即答できない場合、現場では「評価されている実感が持てない」という不満が静かに広がっている可能性があります。
私がこれまで関わってきた制度見直しの現場でも、まず着手するのはこの「説明できるかどうか」というシンプルな点検でした。
管理職のマネジメント力(1on1・フィードバックの質)を点検する
制度を整えても、それを運用するのは結局、現場の管理職です。
どれほど良い評価制度を作っても、上司からのフィードバックが一方的だったり、部下の話を聞く姿勢が不足していたりすると、制度の効果は半減してしまいます。
逆に、制度が多少粗くても、管理職が部下の状況をきちんと把握し、丁寧に向き合っていれば、納得感は大きく変わってきます。
点検のポイントは、定期的な1on1や面談が「形だけ」になっていないかどうかです。話す時間は確保されていても、内容が業務連絡だけで終わっていたり、部下が本音を話せる空気になっていなかったりするケースは少なくありません。
管理職研修の現場でよくお伝えしているのは、フィードバックは「評価を伝える場」ではなく「次への期待を伝える場」だということです。
この視点の違いだけで、部下が受け取る印象は大きく変わります。
管理職自身が、こうした関わり方を学ぶ機会を持てているかどうかも、ぜひ点検していただきたい項目です。
「辞めたい」が言語化される前に拾う仕組み(サーベイ・面談設計)
退職の意思は、ある日突然生まれるものではありません。
多くの場合、小さな違和感や不満が積み重なり、ある時点で「辞める」という決断に変わります。
つまり、本人が言葉にする前の段階で、その変化に気づける仕組みがあるかどうかが、早期離職を防ぐ重要な鍵になります。
具体的な方法としては、定期的な従業員サーベイや、評価面談とは別軸での「気持ちの確認」を目的とした面談の設計が挙げられます。
ポイントは、これらを人事評価と結びつけすぎないことです。評価に響くと分かっていれば、本音を話す人はほとんどいません。
安心して話せる場として設計されているか、そして拾った声がきちんと組織の改善につながっているか、この二点を点検することをお勧めします。
声を拾うだけで終わり、何も変わらないと感じさせてしまうと、むしろ「言っても無駄だ」という気持ちを強めてしまうため、注意が必要です。
ここまでの3つの視点は、いずれも「採用を増やす前に」見直しておきたい、職場の土台に関わるものです。
では、実際にこうした取り組みを進めた組織には、どのような変化が見られたのでしょうか。
次の章で、具体的な事例をご紹介します。
お楽しみに!
黒木美生経営労務管理事務所
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