空き家になった実家の電気・水道・ガスは止めるべき?売却までのライフラインをどうするか
相続した実家について、
「急いで売る必要もないので、とりあえずそのままにしておこう」
と考える方は少なくありません。
確かに、住宅ローンが残っていなければ、
「持っているだけなら、それほどお金はかからない」
ように感じます。
しかし実際には、空き家を所有している間も、
固定資産税
火災保険
電気・水道
草刈り
庭木の管理
建物の修繕
現地までの交通費
など、さまざまな費用が発生します。
一つひとつは大きな金額でなくても、
3年
5年
10年
と積み重なると、想像以上の負担になることがあります。
今回は、
「空き家になった実家を1年間持つと、実際どのくらいお金がかかるのか」
を整理してみます。
まず確認したいのは固定資産税
空き家になっても、不動産を所有している限り固定資産税などの負担は続きます。
例えば、
年間固定資産税 8万円
であれば、
5年間で40万円
10年間で80万円
です。
もちろん、実際の金額は土地・建物の評価や地域などによって異なります。
重要なのは、
「住んでいないから税金がかからない」
わけではないということです。
実家を相続したら、まず固定資産税の納税通知書を確認し、
年間いくら支払っているのか
を把握しておきましょう。
火災保険も維持費の一つ
誰も住んでいない実家でも、売却や解体が完了するまでは建物を所有し続けることになります。
そのため、
火災
台風
落雷
雪
その他の事故
などに備え、保険について確認する必要があります。
前回のコラムでも触れましたが、空き家になった場合の火災保険の取り扱いは、保険会社や契約内容によって異なります。
例えば仮に、
年間保険料 4万円
なら、
5年間で20万円
です。
固定資産税と合わせるだけでも、
固定資産税 年間8万円
火災保険 年間4万円
合計12万円。
5年間で60万円になります。
まだ草刈りも修繕も含まれていません。
電気・水道を残していれば基本的な料金もかかる
空き家でも、
内覧
清掃
定期的な管理
などのために電気や水道を契約したままにしていることがあります。
例えば、
電気 年間3万円
水道 年間2万円
程度かかっているとすれば、
年間5万円です。
固定資産税・保険と合わせると、
固定資産税 8万円
火災保険 4万円
電気・水道 5万円
合計17万円。
ここまでまだ、
建物を修繕した費用はゼロ
という前提です。
草刈り・庭木管理は意外と負担になる
一戸建ての空き家で負担になりやすいのが、庭の管理です。
春から秋にかけて、
雑草
庭木
落ち葉
などの管理が必要になります。
自分で行えば業者への費用はかかりません。
しかし、
仙台から県北まで毎回車で行く
県外から宮城県へ帰省する
となれば、
ガソリン代
高速料金
場合によっては宿泊費
などが発生します。
業者へ依頼する場合も、
草刈り
庭木剪定
除草剤散布
などで年間数万円以上かかることがあります。
例えば、
春と夏に草刈り 合計5万円
庭木剪定 3万円
なら、
年間8万円です。
ここまでの例を足すと、
固定資産税 8万円
火災保険 4万円
電気・水道 5万円
庭管理 8万円
年間25万円
となります。
建物は「誰も住まなければ傷まない」わけではない
むしろ空き家の場合、
異常に気付く人がいない
ことが問題になります。
例えば、
雨樋が外れた
雨漏りが始まった
給排水設備に不具合が出た
外壁の一部が剥がれた
窓が壊れた
といった問題です。
人が住んでいればすぐ気付きます。
しかし空き家では、
数か月後に行ったら天井に大きなシミができていた
ということもあります。
例えば、
ある年に屋根修理 20万円
翌年に庭木伐採 10万円
となれば、それだけで30万円です。
空き家の年間維持費は、
毎年一定額
ではありません。
何も起きない年もあれば、突然大きな修繕費が発生する年もあります。
実家が遠方なら「交通費」も維持費として考える
例えば相続人が東京に住んでおり、宮城県の実家を年4回確認するとします。
交通費が1往復2万円なら、
2万円 × 4回
=年間8万円
です。
夫婦で行けばさらに増える可能性があります。
また、
移動時間
も必要です。
空き家保有では、
固定資産税や修繕費など目に見えるお金
だけではなく、
現地へ行く時間
近隣対応
草刈り
郵便物確認
などの負担もあります。
これらも「空き家を持つコスト」と考えた方が実態に近くなります。
例えば年間30万円なら、5年間で150万円
ここまでを一つの例として計算してみます。
固定資産税 80,000円
火災保険 40,000円
電気・水道 50,000円
草刈り・庭木 80,000円
小規模修繕 30,000円
その他管理費 20,000円
合計
年間300,000円
だったとします。
年間30万円なので、
3年間 90万円
5年間 150万円
10年間 300万円
です。
もちろん、これは一例です。
ほとんど維持費がかからない物件もあれば、
古い建物
大きな庭
遠方管理
などによって、年間50万円以上になることも考えられます。
大切なのは、
自分の実家の場合はいくらなのか
を計算することです。
「売らずに持つ」という選択にもコストがある
例えば、
実家の現在の査定価格 1,000万円
年間維持費 30万円
だったとします。
売らずに5年間保有すると、
維持費だけで約150万円
です。
もちろん、
5年後に土地価格が上昇する
家族が住む
賃貸できる
可能性もあります。
ですから、
「年間30万円かかるから今すぐ売るべき」
ということではありません。
一方で、
誰も住む予定がない
貸す予定もない
活用する計画もない
のであれば、
「何のために年間30万円を払って持つのか」
は一度考えてみる必要があります。
逆に、売らない方がよいケースもある
空き家だからといって、すべて売却すればよいわけではありません。
例えば、
数年後に家族が住む予定
将来的な土地利用の予定がある
賃貸収入を得られる
土地価格上昇が期待できる
事業利用する予定がある
という場合は、維持費を払ってでも保有する意味があります。
重要なのは、
「売るか、売らないか」
ではなく、
保有する目的があるか
です。
目的が明確なら、
年間20万円や30万円の維持費も、
将来のための必要経費
と考えることができます。
一番避けたいのは「何となく5年経った」
空き家相談で最ももったいないのは、
「そのうち考えよう」
と何年も経過することです。
例えば、
相続したとき 築45年
↓
とりあえず保有
↓
5年経過
↓
築50年
↓
屋根・外壁・設備がさらに劣化
となることがあります。
その間、
固定資産税
保険
草刈り
などを支払い続けています。
さらに建物が傷めば、
5年前なら中古住宅として売れた
ものが、
現在は解体前提の土地としてしか評価されない
という可能性もあります。
もちろん逆に土地価格が上がることもあります。
だからこそ、
「何もしない」
ことも一つの選択肢ですが、
何もしない場合の費用とリスク
まで分かったうえで選ぶことが重要です。
まず1年間の支出を書き出してみる
実家を売るか迷っている場合は、まず難しいことを考えなくても構いません。
直近1年間に実家について支払った金額を書き出してみましょう。
固定資産税
火災保険
電気
水道
ガス
草刈り
庭木
修繕
交通費
管理委託費
などです。
例えば、
年間維持費 28万円
と分かったとします。
次に、
現在の査定価格
を確認します。
そうすると、
今売る
3年間持つ
5年間持つ
を数字で比較できるようになります。
「保有する場合」と「売却する場合」を比べてみる
例えば、
現在の査定価格 1,000万円
年間維持費 30万円
という実家なら、
今売却する場合
と、
5年間保有してから売却する場合
を比較します。
5年間保有すると、
維持費だけで150万円
です。
仮に5年後も売却価格が1,000万円だった場合、
維持費の分だけ実質的な手取りは減っています。
一方、
5年後に1,300万円へ上昇する
のであれば、保有した意味が出る可能性があります。
もちろん将来の不動産価格を正確に予測することはできません。
しかし、
「持っていればいつか高くなるだろう」
という感覚だけではなく、
年間維持費を含めて考える
ことはできます。
売却・賃貸・活用も同じ数字で比較する
例えば、
売却価格 1,000万円
賃貸する場合
家賃 月6万円
年間72万円
改修費 200万円
という物件だったとします。
単純に、
売るか
貸すか
ではなく、
賃貸収入
改修費
維持費
空室リスク
などを比較します。
あるいは、
建物を解体
駐車場として活用
する方法もあるかもしれません。
重要なのは、
「空き家だから売却」
と決めることではなく、
それぞれの選択肢を数字にすること
です。
実家の年間維持費を計算する簡単な式
一度、次の形で計算してみてください。
固定資産税
+保険
+電気・水道・ガス
+庭管理
+修繕
+交通費
+その他管理費
=年間維持費
そして、
年間維持費 × 今後保有する年数
を計算します。
例えば、
年間25万円
×
今後5年間
なら、
125万円です。
この数字を見たうえで、
「それでもこの実家を残したいか」
を家族で話してみると、実家じまいについても具体的に考えやすくなります。
こんな方は一度計算してみてください
「固定資産税しかかかっていないと思っている」
「実家について年間いくら払っているか分からない」
「売るかどうか決められず何年も経っている」
「兄弟の一人は残したいと言っている」
「遠方から年に何度も管理へ行っている」
「最近、修繕費が増えてきた」
という場合です。
特に兄弟で意見が分かれている場合、
「残したい」
「売りたい」
という感情だけで話し合うより、
現在の価値 ○万円
年間維持費 ○万円
5年間保有すると ○万円
と数字を出した方が話を進めやすくなります。
まとめ|「いくらで売れるか」だけでなく「持っているといくらかかるか」も確認する
空き家について考えるとき、多くの方が、
「この実家はいくらで売れるのか」
を気にします。
もちろん査定価格は重要です。
しかし同じくらい重要なのが、
「売らずに持っていると、いくらかかるのか」
です。
固定資産税
保険
ライフライン
庭管理
修繕
交通費
を合わせると、年間では思った以上の金額になることがあります。
そして、その負担は、
1年では小さくても、
5年、10年になると大きくなります。
だからといって、すぐ売却する必要はありません。
大切なのは、
売却する場合
保有する場合
賃貸する場合
活用する場合
を同じように数字で比較することです。
「今すぐ売るか」
ではなく、
「この実家を5年間持った場合、何が残るか」
まで考えてみると、今後の方向性が見えやすくなります。
「毎年いくらかかっているのか分からない」という段階でもご相談いただけます
「まだ売却を決めていない」
「固定資産税以外の維持費を把握できていない」
「売った場合と持ち続けた場合を比較したい」
「兄弟で実家を残すか売るか迷っている」
という段階でも構いません。
現在の実家の価値と、保有を続けた場合の負担を整理し、売却・賃貸・管理・解体・活用を比較しながら今後の方針を考えていきます。
株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家・相続不動産について、売却・賃貸・管理・解体・活用を比較しながら、今後の方針を整理しています。
売却を決めていない段階でもご相談いただけます。
空き家相談専用ページはこちら
https://www.bluekey-sendai.com/akiya/
※本コラム内の金額は考え方を説明するための例です。実際の固定資産税、保険料、管理費、修繕費、売却価格、賃料等は物件によって異なります。具体的な費用や不動産の価値については、各専門家へご確認ください。


