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住宅ローンは完済したはずなのに「抵当権」が残っている?相続した実家を売るときの進め方

伊藤友佑

伊藤友佑

相続した実家を売却するために登記事項証明書を確認したところ、

「昔の銀行の抵当権が残っている」

ことがあります。

親からは、

「住宅ローンは何十年も前に払い終わっている」

と聞いていた。

実際、銀行への返済も終わっているはず。

それなのに登記を見ると、

「抵当権者 ○○銀行」

と記載されている。

このような状態を見ると、

「まだ借金が残っているのか?」

「この家は売却できないのか?」

「銀行に何十年前のローンを確認しなければならないのか?」

と不安になる方もいるでしょう。

しかし、

住宅ローンを完済したことと、抵当権の登記が消えていることは別です。


ローンを完済しても、抵当権の登記が自動的に消えるわけではありません。

法務局も、住宅ローンを完済した場合には抵当権抹消の登記手続きが必要であり、金融機関から必要書類を受け取ったら、できるだけ速やかに手続きを行うよう案内しています。

相続した古い実家では、親がローンを完済した後、抵当権抹消登記をしないまま何十年も経過しているケースがあります。

では、このような実家を売却するにはどうすればよいのでしょうか。

そもそも「抵当権」とは何か



住宅を購入する際、多くの方が住宅ローンを利用します。

例えば、

住宅購入価格 2,500万円
自己資金 500万円
銀行借入 2,000万円

という場合です。

銀行は2,000万円を貸す代わりに、購入する土地や建物へ抵当権を設定することがあります。

簡単に言えば、

「返済されなくなった場合に備えて、不動産を担保にする」

ための権利です。

この抵当権は法務局で登記されるため、土地や建物の登記事項証明書を見ると確認できます。

そして住宅ローンを完済すれば、銀行への借金自体はなくなります。

しかし、

ローン完済

抵当権登記も自動削除

とはなりません。

別途、抵当権抹消登記を行う必要があります。

「抵当権が残っている=借金が残っている」とは限らない



ここは非常に重要です。

登記簿に抵当権が残っているからといって、

「まだ住宅ローンを返していない」

と直ちに判断することはできません。

例えば、

1995年 住宅ローンを組む
2020年 ローン完済
2020年 銀行から抵当権抹消書類を受け取る

登記手続きをしないまま保管

2026年 所有者死亡

子どもが実家を相続

というケースがあります。

借金自体は2020年に完済しています。

しかし、抵当権抹消登記をしていなければ、登記簿上はその抵当権が残ったままです。

相続人からすると、

「知らない銀行の抵当権が突然出てきた」

ように見えます。

まず、

抵当権が残っている

借金が残っている

と決めつけず、返済状況と登記状況を分けて確認します。

最初に実家の書類を探してみる



住宅ローンを完済した際、金融機関から抵当権抹消登記に必要となる書類が交付されている場合があります。

実家を整理するときは、

・住宅ローン関係のファイル
・銀行から届いた封筒
・権利証と一緒に保管された書類
・金銭消費貸借契約書
・完済証明に関する書類
・抵当権解除に関する書類
・金融機関からの委任状

などが残っていないか確認してみましょう。

「20年以上前の銀行書類だから不要」

と処分するのは避けた方がよいでしょう。

法務局では、一般的な抵当権抹消登記について、金融機関等から交付される登記原因証明情報、委任状、登記識別情報または登記済証などが必要になると案内しています。

書類が残っていれば、手続きが進めやすくなる可能性があります。

書類が見つからなかったら売れない?



昔の住宅ローンであれば、

「そんな書類はどこにあるか分からない」

ということも珍しくありません。

また、親が亡くなった後に実家を片付けた際、

「銀行の古い書類だから」

と処分してしまった可能性もあります。

だからといって、

「抵当権を消せないから実家は売れない」

とすぐに諦める必要はありません。

まず登記事項証明書から、

・抵当権者
・設定された時期
・債権額
・当時の金融機関名

などを確認します。

そのうえで、必要に応じて金融機関や司法書士へ相談します。

銀行名が現在と違っていても、

合併
商号変更
事業承継

などによって現在の金融機関へ引き継がれていることがあります。

古い抵当権ほど手続きが複雑になる可能性があるため、

「何十年も前だから放っておいてよい」

ではなく、売却を考え始めた段階で確認しておくと安心です。

所有者が亡くなっている場合はどうなる?



相続した実家では、

土地・建物 亡くなった父名義
抵当権 ○○銀行

という状態になっていることがあります。

この場合、

抵当権抹消だけではなく、

「不動産の所有者が亡くなっている」

という問題も同時にあります。

法務局も、現在の所有者と登記上の所有者が一致していない場合などには、抵当権抹消登記の前提として別の登記が必要になる場合があると案内しています。

つまり、

相続した実家を売る場合は、

相続登記
抵当権抹消
売却による所有権移転

をどの順番で、どのタイミングで行うのか整理する必要があります。

相続人自身ですべて判断する必要はありません。

不動産会社へ売却相談をした段階で、

「古い抵当権が残っています」

と伝え、司法書士と連携しながら必要な手続きを整理する方法があります。

抵当権が残ったまま査定してもらえる?



査定の相談自体はできます。

ここを勘違いして、

「抵当権を消してからでないと不動産会社に相談できない」

と思う必要はありません。

例えば、

実家の査定価格 500万円
古い抵当権あり
家財大量
建物築50年

という状態であれば、

まず現状で査定を受け、

「この実家を本当に売却するのか」

を判断する方法もあります。

売却する方向になったら、必要な抵当権抹消手続きを進めます。

つまり、

抵当権抹消

査定

売却検討

とする必要はなく、

査定

売却するか判断

必要な登記を整理

売却

という進め方もできます。

住宅ローンがまだ残っている場合は話が変わる



一方、

「昔の抵当権が形式的に残っているだけ」

ではなく、

現在もローン残高がある場合は別です。

例えば、

住宅ローン残高 800万円
実家の売却価格 1,200万円

であれば、売却代金からローンを完済し、抵当権を抹消する方法を検討できます。

一方、

住宅ローン残高 1,200万円
売却価格 900万円

であれば、

売却代金だけではローンを完済できません。

この場合は、

不足分を自己資金で補うのか
金融機関とどのように調整するのか

など、別の検討が必要になります。

そのため抵当権を確認したときは、

「登記が残っているだけなのか」

「実際に債務も残っているのか」

を分けて確認することが重要です。

売却するときは抵当権をいつ消す?



一般的な不動産売買では、

買主へ所有権を移転する際に、売主側の抵当権を残したままにしないよう手続きを整理します。

住宅ローンが残っている物件では、

買主から売買代金を受け取る

売主の住宅ローンを返済する

抵当権を抹消する

買主へ所有権を移転する

といった手続きを、決済日に司法書士や金融機関と連携しながら進めることがあります。

一方、すでに何十年も前にローンを完済しているのであれば、売却前に抵当権を整理しておくこともあります。

どのタイミングで行うかは物件や金融機関、売買条件などによって異なります。

重要なのは、

「抵当権があるから売れない」と考えるのではなく、「売却までにどう消すか」を考えること


です。

古い実家なら「抵当権以外」も一緒に登記を確認する



せっかく登記事項証明書を確認するのであれば、抵当権だけを見るのではなく、

・土地と建物の所有者
・共有者
・所有者の住所
・土地の筆数
・建物の床面積
・他の担保権
・私道持分

なども確認してみましょう。

古い実家では、

抵当権だけ昔のまま

ではなく、

建物が祖父名義
増築部分が未登記
住所が以前のまま
土地が複数筆ある

など、複数の問題が同時に見つかることがあります。

一つずつ後から発覚すると売却スケジュールが延びる可能性があります。

最初に一度、

「この実家の登記は現在どのような状態なのか」


を全体的に確認する方が進めやすくなります。

昔の「権利証」が見つからなくても、すぐ売却を諦めない



実家の書類を探していると、

「権利証が見つからない」

ということもあります。

その場合も、

「権利証がないから売れない」

とすぐに判断する必要はありません。

売却に必要となる本人確認や登記手続きには、状況に応じた対応方法があります。

重要なのは、

権利証がない
抵当権書類もない
親は既に亡くなっている

という状態を隠さず、できるだけ早い段階で司法書士や不動産会社へ伝えることです。

決済直前に初めて判明するより、査定段階で分かっていた方が準備期間を取ることができます。

こんな状態なら、売却を決める前に一度整理してみる



例えば、

「住宅ローンは終わったと聞いているが抵当権が残っている」

「昔の銀行名なので、今どこへ連絡すればよいか分からない」

「父が亡くなっており、相続登記もまだしていない」

「抵当権抹消の書類が見つからない」

「権利証もどこにあるか分からない」

という状態でも構いません。

まず確認したいのは、

・ローンは本当に完済しているか
・どの抵当権が残っているのか
・現在の所有者は誰か
・相続登記は必要か
・売却までにどの手続きが必要か

です。

そしてもう一つ、

その実家を売却すると、そもそもいくらになるのか


も確認します。

登記手続きを全部済ませてから査定するのではなく、

実家の価値と必要な手続きを同時に整理することで、

「本当に売却するのか」

まで含めて判断しやすくなります。

まとめ|昔の抵当権が出てきても「売れない家」とは限らない



相続した実家の登記事項証明書に、何十年も前の抵当権が残っていることがあります。

しかし、

抵当権が残っている

現在も借金が残っている

とは限りません。

住宅ローンを完済したものの、抵当権抹消登記だけ行われていないケースもあります。

まず、

ローンの返済状況
登記上の抵当権
昔の金融機関の書類
現在の所有者

を確認します。

書類が見つからない場合や、所有者がすでに亡くなっている場合でも、必要な手続きを確認して整理できる可能性があります。

大切なのは、

「抵当権が残っているから売れない」

と諦めることではありません。

まず現在の状態で査定を受け、

この実家はいくらくらいなのか
売却するなら何の手続きが必要なのか
費用と時間はどの程度かかりそうなのか

を整理してから、売却するかどうかを考えてみましょう。

古い抵当権や相続登記が残っている段階でもご相談いただけます



「ローンを完済したか分からない」

「古い銀行の抵当権が残っている」

「親名義のままで相続登記も終わっていない」

「書類がどこにあるか分からない」

という段階でも構いません。

売却を決めてからすべての手続きを始めるのではなく、まず現在の権利関係と実家の価値を整理し、売却・保有・活用など今後の方向を考えていきます。

株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家・相続不動産について、売却・賃貸・管理・解体・活用を比較しながら、今後の方針を整理しています。
売却を決めていない段階でもご相談いただけます。

空き家相談専用ページはこちら
https://www.bluekey-sendai.com/akiya/

※本コラムは、抵当権、相続登記、空き家・相続不動産の売却について一般的な情報をまとめたものです。抵当権抹消に必要な手続きや書類、相続関係、金融機関との調整方法などは個別の状況によって異なります。具体的な登記手続きについては司法書士・法務局、住宅ローンについては金融機関、不動産売却については不動産会社などへご確認ください。

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伊藤友佑
専門家

伊藤友佑(不動産業)

株式会社Blue Key

空き家や相続不動産の相談窓口として、売却や賃貸、活用など幅広い選択肢を提案。大手企業での実務経験や商工会議所での創業支援経験を生かし、地域の専門家と連携しながら依頼者を多角的にサポートします。

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