実家の前面道路が「私道」でも売れる?私道持分がない空き家を売却する前に確認したい7つのこと
相続した実家を売却するために現地を確認したところ、
「屋根が隣の土地にはみ出している」
「隣家の雨樋がこちら側に出ている」
「ブロック塀がどちらの土地にあるか分からない」
「庭木の枝が隣地まで伸びている」
といった問題が見つかることがあります。
このように、建物や設備、樹木などが土地の境界を越えている状態を、一般に「越境」と呼びます。
築40年、50年と経過した実家では、所有者同士が長年同じ近隣関係で生活していたため、
「昔からこの状態だから問題ない」
「親同士で話がついていたと思う」
というケースも少なくありません。
しかし、実家を売却して所有者が変わるとなると、買主は、
「この状態は将来どうなるのか」
「撤去を求められる可能性はないか」
「建て替えするときに問題にならないか」
という点を気にします。
結論から言えば、
越境があるからといって、必ずしも売却できないわけではありません。
ただし、何が、どちらからどちらへ、どの程度越境しているのかを確認し、買主へ説明できる状態にしておくことが重要です。
今回は、越境がある古い実家を売却するときに確認したい7つのポイントを解説します。
1.まず「何が越境しているのか」を確認する
越境といっても、内容はさまざまです。
例えば、実家側から隣地へ、
・屋根
・雨樋
・軒
・ブロック塀
・フェンス
・物置
・庭木の枝や根
・給排水管
などが越えている場合があります。
反対に、
隣家の屋根や雨樋が実家側へ出ている
というケースもあります。
まず現地を一周し、
「越境している可能性があるもの」
を写真に残してみましょう。
この段階で所有者だけが、
「これは完全に越境している」
と断定する必要はありません。
境界そのものが分からない場合は、越境かどうかも確定できないためです。
まずは、
「境界付近に気になるものがある」
という状態を把握するところから始めます。
2.ブロック塀がそのまま境界とは限らない
古い実家では、
「このブロック塀が境界です」
と親から聞いていることがあります。
しかし、
ブロック塀の中心が境界なのか
実家側の土地に建っているのか
隣地側の土地に建っているのか
は、見ただけでは判断できない場合があります。
例えば、親が自分の敷地内にブロック塀を建てていたのであれば、
ブロック塀の外側が境界
という可能性もあります。
逆に、隣人が自分の土地側に設置した塀であれば、事情は異なります。
そのため、
「塀からこちら側が自分の土地」
と決めつけず、
・境界標
・地積測量図
・確定測量図
・境界確認書
・過去の売買契約書
などを確認します。
境界が不明確な場合は、前回までのコラムで扱ったように、土地家屋調査士への相談を検討します。
3.越境が見つかっても、すぐ撤去する必要があるとは限らない
売却前に越境が見つかると、
「売る前に全部直さなければ」
と思うかもしれません。
しかし、必ずしも売主側ですべて撤去してから売却するとは限りません。
例えば、
屋根の一部が数センチ隣地へ出ている
という状態でも、
・売却前に修繕する
・次回建て替え時に解消する
・買主が現状を理解したうえで購入する
など、状況によって対応方法が異なります。
特に古い住宅では、
越境を解消するために屋根や外壁を大きく工事すると、数十万円、場合によってはそれ以上の費用がかかることがあります。
そのため、
越境発見
↓
すぐ工事
ではなく、
越境状況の確認
↓
売却への影響を確認
↓
必要な工事費を確認
↓
現状売却と比較
という順番で考えることが大切です。
4.「覚書」が残っていないか探す
古い実家では、現在の所有者が知らないところで、過去に隣地所有者との話し合いが行われていることがあります。
例えば、
「現在の屋根の越境については、建て替え時に解消する」
といった内容の覚書が作成されている場合です。
実家を整理するときは、
・境界確認書
・越境に関する覚書
・隣地との合意書
・測量図
・土地売買時の書類
などが残っていないか確認しましょう。
特に、
親の書斎
金庫
不動産関係のファイル
権利証と一緒に保管されている書類
などに入っていることがあります。
覚書が見つかった場合は、自己判断で処分せず、不動産会社や必要に応じて専門家へ内容を確認してもらいます。
5.「こちらから越境」と「隣から越境」は分けて考える
売却時には、
自分の建物等が隣地へ越境している場合
と、
隣地の建物等が自分の土地へ越境している場合
を分けて整理します。
実家側から隣地へ越境している場合
買主は、
「購入後に隣人から撤去を求められないか」
という点を気にします。
そのため、
・何が越境しているか
・隣地所有者は把握しているか
・過去に合意があるか
・いつ解消する予定か
などを整理します。
隣地から実家側へ越境されている場合
今度は買主が、
「自分の土地を自由に利用できないのではないか」
と考える可能性があります。
特に、
・建て替え
・駐車場整備
・土地分割
・新しい塀の設置
などを予定している買主にとっては、重要な問題になります。
どちらの場合も、
「昔からこうだから問題ない」
ではなく、売却時には状況を明確にして説明することが大切です。
6.庭木の越境も売却前に確認する
建物ばかりに目が行きますが、古い実家では庭木も問題になることがあります。
長期間空き家になっていると、
・枝が隣地へ伸びる
・道路へ張り出す
・落ち葉が隣家へ落ちる
・樹木が電線付近まで成長する
といったことがあります。
庭木の問題は、
「家を売却できるか」
ということだけではなく、売却までの管理にも関係します。
特に近隣から、
「枝を切ってほしい」
と連絡が来ている場合は、その履歴も確認しておきましょう。
ただし、大木や高所の枝を所有者自身で無理に切ることは危険です。
必要に応じて造園業者などへ相談します。
売却価格を上げるための庭づくりは不要でも、
近隣トラブルや事故を防ぐための最低限の管理
は別に考える必要があります。
7.越境を直す場合と現状で売る場合の手取りを比較する
越境問題でも、最終的には費用対効果を考えることが重要です。
例えば、
現状のまま売却
想定成約価格 1,000万円
越境を解消して売却
想定成約価格 1,100万円
屋根・外壁工事 80万円
測量・その他費用 30万円
だった場合、
売却価格は100万円高くなっても、
費用は110万円
なので、単純計算では売主の手取りは増えません。
一方、
越境があることで住宅ローンを利用する買主が検討しにくく、
現状では700万円
問題解消後なら1,000万円
となるのであれば、費用をかけて整理する意味があるかもしれません。
つまり、
「問題があるから直す」
ではなく、
「直すことで売却条件がどの程度変わるのか」
まで確認することが重要です。
越境があると住宅ローンに影響することもある?
買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関は物件の担保価値や権利関係などを確認します。
越境の内容によっては、
・越境状況の説明
・測量図
・境界確認書
・隣地との覚書
などの確認を求められる場合があります。
ただし、
「越境があれば住宅ローンは利用できない」
と一律に決まるものではありません。
越境の内容や程度、金融機関の審査基準などによって異なります。
そのため、一般の住宅購入者へ仲介で売却する場合は、
「この状態でも住宅ローンを利用する買主が検討できそうか」
を不動産会社へ確認しておくとよいでしょう。
隣人との関係がよくても書面にした方がよい?
親世代では、
「隣の○○さんとは話がついている」
ということがあります。
しかし、相続した子どもからすると、
・何について話したのか
・いつ話したのか
・どんな条件だったのか
が分からないことがあります。
さらに、実家を売却すれば所有者が変わります。
隣地側も将来相続や売却によって所有者が変わる可能性があります。
そのため、売却に影響する越境がある場合は、必要に応じて、
「現在の越境状況を双方で確認する」
ことを検討します。
ただし、書面を作ればよいという単純なものでもありません。
内容によって将来の権利関係に影響する可能性があるため、具体的な文書作成については、不動産会社や弁護士、土地家屋調査士などへ確認したうえで進めることをおすすめします。
越境問題がある場合、隣人へ先に話した方がいい?
越境を見つけた所有者が、
「すぐ隣へ謝りに行こう」
と考えることがあります。
しかし、事実関係が分からない状態で話を進めるのは慎重にした方がよいでしょう。
例えば、
「うちの屋根がそちらにはみ出しているようです」
と伝えたものの、測量すると実際の境界位置が想定と違った、という可能性もあります。
まず、
1.既存資料を確認する
2.境界位置を確認する
3.越境の有無を整理する
4.必要に応じて専門家へ相談する
5.そのうえで隣地所有者と話す
という順番が安全です。
長年の近隣関係を壊さないためにも、推測だけで話を始めないことが重要です。
買取なら越境があっても売れる?
一般の購入者への売却が難しい場合は、不動産会社などによる買取も選択肢になります。
例えば、
・越境が複数ある
・境界が分からない
・建物が古い
・家財も大量に残っている
・早く整理したい
といったケースです。
買取業者によっては、こうした問題を把握したうえで価格を提示できる場合があります。
ただし、購入後に問題を整理する費用やリスクを考慮するため、仲介よりも価格が下がる可能性があります。
そのため、
現状のまま仲介
越境を整理して仲介
現状のまま買取
の3つを比較してみましょう。
査定時に確認したい10の質問
越境の可能性がある古い実家を査定するときは、不動産会社へ次の質問をしてみてください。
1.境界標は確認できますか
2.越境している可能性があるものはありますか
3.こちらから隣地へ越境しているものはありますか
4.隣地からこちらへ越境しているものはありますか
5.過去の測量図や覚書を確認した方がよいですか
6.売却前に越境を解消する必要がありますか
7.現状のまま買主へ引き継ぐことはできますか
8.住宅ローンを利用する買主への影響はありますか
9.越境を解消した場合、売却条件はどの程度変わりますか
10.現状で買取を利用するといくらくらいになりますか
こんな状態でも、まずご相談いただけます
例えば、
・ブロック塀が境界か分からない
・隣家の屋根がこちらへ出ているように見える
・実家の雨樋が隣地へ出ている
・庭木が隣家まで伸びている
・親同士で話がついていたらしいが書類がない
・越境を直してから売るべきか分からない
という段階でも構いません。
最初から工事や測量を行う必要があるとは限りません。
まず、
「本当に越境しているのか」
「売却にどの程度影響するのか」
「費用をかけて解消する必要があるのか」
を整理してから次の対応を考えます。
まとめ
隣地との越境がある古い実家でも、必ずしも売却できないわけではありません。
まず確認したいのは次の7点です。
1.何が越境している可能性があるのか
2.正しい境界位置はどこなのか
3.売却前に撤去する必要があるのか
4.過去に越境に関する覚書がないか
5.自分側からの越境か、隣地からの越境か
6.庭木など建物以外の問題もないか
7.解消費用と売却条件の改善を比較する
特に古い実家では、
「昔からこの状態だから大丈夫」
という認識だけで売却を進めないことが重要です。
現在の所有者同士では問題になっていなくても、買主へ所有者が変わることで、改めて問題になる可能性があります。
一方で、
「越境があるから全部直してから売る」
と先に高額な費用をかける必要もありません。
まず現在の状態で査定を受け、
現状のまま売却する
問題を整理してから売却する
買取を利用する
それぞれの価格・費用・手取りを比較してみましょう。
境界や越境が分からない状態でもご相談いただけます
「隣家との境がよく分からない」
「越境しているように見えるが判断できない」
「測量や工事を先にするべきか迷っている」
という段階でも問題ありません。
売却前に何を確認する必要があるのか、どこまで整理すべきなのかを一緒に確認できます。
株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家・相続不動産について、売却・賃貸・管理・解体・活用を比較しながら、今後の方針を整理しています。
売却を決めていない段階でもご相談いただけます。
空き家相談専用ページはこちら
https://www.bluekey-sendai.com/akiya/
※本コラムは、空き家・相続不動産の境界、越境、売却について一般的な情報をまとめたものです。境界の位置、越境物に関する権利関係、撤去や是正の必要性、契約上の取り扱いなどは個別の状況によって異なります。境界については土地家屋調査士、不動産取引については不動産会社、法的な権利関係や紛争については弁護士などへご確認ください。


