相続した空き家を売るなら「3,000万円控除」は使える?実家を売る前に確認しておきたい条件
相続した実家を売却したい。
しかし家の中には大量の荷物が残っている。
建物も古く、
「解体した方が売りやすい」
「家財を全部片付けてください」
「境界を測量した方がよい」
と言われた。
見積もりを取ってみると、
家財処分 50万円
解体 250万円
測量 60万円
合計360万円。
「実家を売るために、先にそんなお金は出せない」
という方もいるのではないでしょうか。
空き家売却では、
売る前にきれいにしなければならない
と思われがちです。
しかし実際には、
家財を残したまま売る
建物を残したまま売る
測量せずに売る
不動産会社などへ買い取ってもらう
といった方法を検討できる場合があります。
つまり、
「売るためのお金がないから売れない」
とは限りません。
今回は、相続した実家を売却したいものの、解体や片付けなどに先に大きなお金をかけられない場合の考え方を整理します。
まず「全部やってから査定」はしない
空き家を売ろうと思ったとき、
家を片付ける
↓
庭をきれいにする
↓
修繕する
↓
解体する
↓
測量する
↓
不動産会社へ査定を頼む
という順番をイメージする方もいます。
しかし、最初に何百万円も使う必要があるとは限りません。
おすすめしたい順番は、
まず現在の状態で査定
↓
現状のまま売る場合の価格を確認
↓
費用をかけた場合の価格も確認
↓
手取りを比較
↓
必要なことだけ行う
という流れです。
なぜなら、
お金をかけた金額以上に売却価格が上がるとは限らない
からです。
家財は全部処分してから売らなくてもよい場合がある
相続した実家には、
タンス
ベッド
冷蔵庫
食器
衣類
本
布団
農機具
物置の荷物
などがそのまま残っていることがあります。
一軒分となると、処分費用が数十万円以上になることもあります。
しかし、売却方法によっては、
「残置物あり」
という条件で買主を探したり、不動産会社などがその状態を考慮して買い取ったりできる場合があります。
例えば、
家財を全部処分して売却 1,000万円
家財処分費 70万円
なら、
単純な実質額は930万円です。
一方、
家財を残したまま売却 950万円
という条件が出たなら、
売却価格は50万円低くても、
処分費用70万円を考えると後者の方が20万円多く残ります。
さらに、
片付け業者の手配
荷物の仕分け
遠方からの移動
などの負担も減ります。
「高く売れるか」だけではなく、
最終的にいくら残るか
で比較することが重要です。
古い建物も、先に解体しない
築40年、50年の実家では、
「古いので更地にした方が売れるでしょう」
と言われることがあります。
確かに、土地として購入したい人には、更地の方が分かりやすい場合があります。
しかし、
解体した方が高く売れること
と、
解体した方が手取りが増えること
は別です。
例えば、
現状売却 1,000万円
解体後売却 1,250万円
解体費 300万円
なら、
1,250万円-300万円
=950万円
です。
単純比較では、現状で1,000万円で売った方が50万円多く残ります。
さらに、解体後にすぐ売れるとは限りません。
その間にも固定資産税や管理などの負担が続く可能性があります。
だからこそ、
「古いから解体」
ではなく、
現状ならいくら
解体するといくら
解体費はいくら
を同時に確認します。
買主側で解体してもらう方法もある
例えば、
「建物は使わないので、土地だけ欲しい」
という買主が現れた場合です。
この場合、
売主が建物を解体してから引き渡す
という条件だけではなく、
現在の建物がある状態で引き渡し、購入後に買主側で解体する
という条件を検討できることもあります。
当然、買主は将来の解体費を考慮して購入価格を決めるでしょう。
しかし売主側から見ると、
数百万円の解体費を先に準備しなくてよい
というメリットがあります。
特に、
現金を先に用意することが難しい
遠方に住んでいて工事管理をしたくない
という場合には比較する価値があります。
測量も必ず先払いしてから売るとは限らない
古い実家では、
「境界が分からないので測量してください」
と言われることがあります。
しかし、すべての売却で新しい確定測量が必要になるとは限りません。
例えば、
境界標が確認できる
過去の測量図がある
買主が現況を理解している
など、物件や契約条件によって対応は変わります。
一方で、
境界が争いになっている
土地面積が不明確
買主が確定測量を条件としている
のであれば、測量が重要になることもあります。
つまり、
「売却するなら60万円かけて測量」
と先に決めるのではなく、
その測量によって売却条件がどの程度改善するのか
を確認します。
リフォーム費用も同じ
売却前に、
キッチン交換
クロス張替え
外壁塗装
屋根修繕
などを行えば、見た目は当然きれいになります。
しかし、
200万円リフォームした
↓
売却価格が100万円しか上がらなかった
なら、売主の手取りは減ります。
さらに買主が、
「自分好みに全面リフォームしたい」
と考えている場合は、売主が行った工事をあまり評価しない可能性もあります。
売却目的のリフォームは、
自分が住むためのリフォーム
とは考え方が違います。
「現状のままならいくらですか?」と聞いてみる
査定を依頼するときに、ぜひ聞いてほしい質問があります。
それが、
「何もせず、このまま売ったらいくらですか?」
です。
さらに、
「家財を処分したらいくらですか?」
「解体したらいくらですか?」
「買取ならいくらですか?」
まで聞きます。
例えば、
現状仲介 900万円
家財処分後 950万円
処分費 60万円
解体後 1,200万円
家財処分+解体費 320万円
現状買取 800万円
という数字が出たとします。
単純な売却価格では、
1,200万円
が一番高いです。
しかし費用を差し引けば、
現状仲介 900万円
家財処分後
950万円-60万円
=890万円
解体後
1,200万円-320万円
=880万円
現状買取
800万円
となります。
この例では、何もしない現状仲介が最も多く残ります。
もちろん、実際には仲介手数料や税金、売却期間なども考える必要があります。
それでも、
価格だけを見る危険性
は分かると思います。
買取は「安いからダメ」とは限らない
不動産会社などによる買取では、一般的に仲介より価格が低くなることがあります。
そのため、
「買取は損」
と思われることがあります。
しかし、
家財処分不要
修繕不要
解体不要
長期間の内覧対応不要
などの条件で購入できる事業者なら、
売主の費用や手間は大きく減る可能性があります。
例えば、
仲介 1,000万円
買取 800万円
なら200万円の差です。
しかし仲介するために、
家財処分 60万円
解体 250万円
が必要なら、
1,000万円-310万円
=690万円
です。
この条件なら、800万円の買取の方が単純計算では多く残ります。
重要なのは、
仲介価格と買取価格
だけを比べないことです。
「売却代金から費用を払えますか?」は個別確認が必要
中には、
「売れるならお金は入る。解体費などを売却代金から払えないの?」
と思う方もいるでしょう。
業者や取引条件によっては、決済時の支払いについて調整できるケースも考えられます。
しかし、
すべての解体業者
すべての処分業者
すべての不動産取引
で可能というわけではありません。
基本的には、それぞれの業者との契約条件を確認する必要があります。
そのため、
「先に現金を用意できない」
という事情がある場合は、最初の不動産相談時にそのまま伝えてください。
その条件を前提として、
現状売却
買取
買主側解体
費用支払い時期の調整
など、現実的な方法を比較します。
お金がないからといって、安易に借入して工事しない
例えば、
解体費300万円が必要
↓
お金がない
↓
借入して解体
↓
土地を売却
という方法も考えられます。
しかし、
借金をして300万円の工事を行った結果、
売却価格が200万円しか上がらなかった
のであれば合理的とは言えません。
もちろん、安全上すぐに解体・修繕が必要な場合などは別です。
ただ、
「高く売るため」
だけに費用を借りて工事するのであれば、
工事前後の査定価格を比較してから判断した方がよいでしょう。
実家の売却前に大きなお金を出せない方へ
例えば、
「相続したばかりで現金に余裕がない」
「家財処分だけで50万円以上と言われた」
「解体見積もりが300万円だった」
「遠方なので片付けにも行けない」
「先に費用を払わないと査定できないと思っていた」
という段階でも構いません。
まず、
現在のままならいくらで売れるのか
を確認します。
そのうえで、
何もしない場合
家財だけ処分する場合
解体する場合
買取を利用する場合
を比較します。
先に費用を用意することではなく、
費用を使う価値があるのか
を判断することが先です。
一番高く売れる方法より、一番多く残る方法を考える
相続した実家を売却するとき、
どうしても、
「いくらで売れるか」
に目が向きます。
しかし、
1,500万円で売れた
費用400万円
なら、
費用を考慮した金額は1,100万円。
一方、
1,300万円で売れた
費用50万円
なら、
1,250万円です。
売却価格は200万円低くても、
後者の方が150万円多く残ります。
空き家売却では、
売却価格
-売却のために使う費用
=手取りの土台
として考えることが大切です。
さらに、
仲介手数料
登記費用
税金
などを含めて最終的な手取りを確認します。
まとめ|空き家は「お金をかけてから売る」のではなく「売り方を決めてから必要な費用をかける」
相続した実家を売却するとき、
家財を全部捨てる
建物を解体する
測量する
リフォームする
ことを先に始める必要はありません。
まず現在の状態で、
「このままならいくらですか?」
と査定してもらいます。
そして、
現状売却
家財処分後
解体後
買取
などを比較します。
その結果、
50万円使えば150万円高く売れる
のであれば、費用をかける意味があるかもしれません。
一方、
300万円使って200万円しか高くならない
のであれば、現状で売る方が合理的な可能性があります。
売却のために大きなお金を用意できないからといって、
「この実家は売れない」
と諦める必要はありません。
大切なのは、
先にきれいにすること
ではなく、
現在の状態を把握し、それぞれの売り方で最終的にいくら残るかを比較することです。
「売却したいけれど、先に費用を出せない」という段階でもご相談いただけます
家財が残っている、建物が古い、解体費を用意できないといった状態でも構いません。
まず現状のまま売却した場合の価格を確認し、家財処分・解体・測量などに費用をかける場合と比較します。
「何をしてから売るか」ではなく、「何もしない場合も含めてどの方法が最も負担が少ないか」を整理していきます。
株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家・相続不動産について、売却・賃貸・管理・解体・活用を比較しながら、今後の方針を整理しています。
売却を決めていない段階でもご相談いただけます。
空き家相談専用ページはこちら
https://www.bluekey-sendai.com/akiya/
※本コラム内の金額は考え方を説明するための例です。実際の家財処分費、解体費、測量費、売却価格、買取価格などは物件や業者、契約条件によって異なります。また、現状のまま売却できるかどうかも物件ごとに異なります。具体的な売却方法や費用については、不動産会社や各専門業者へご確認ください。


