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実家に「未登記の増築」があると売れない?古い空き家を売却する前に確認したい7つのこと

伊藤友佑

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相続した実家を売却するために登記事項証明書を確認したところ、

「実際の家より登記上の床面積が小さい」
「親が昔増築した部屋が登記されていない」
「物置や離れが登記簿に載っていない」

ということがあります。

例えば、登記上は「木造2階建・床面積100㎡」なのに、実際には1階部分を増築して120㎡ほどある、といったケースです。

築40年、50年と経過した住宅では、親や祖父母の代に、

・部屋を増築した
・台所を広げた
・サンルームを追加した
・車庫や物置を建てた
・離れを建てた

ものの、その後の登記手続きまで行われていないことがあります。

このような状態を知ると、

「未登記部分があると売却できないのか」
「売る前に必ず登記しなければならないのか」
「増築部分を解体した方がよいのか」

と不安になる方も少なくありません。

結論から言えば、

未登記の増築部分があるからといって、直ちに不動産を売却できないと決まるわけではありません。


ただし、登記上の建物と実際の建物が一致していない状態を放置したまま売却を進めると、買主や金融機関から追加の確認を求められたり、契約前に手続きが必要になったりすることがあります。

今回は、相続した古い実家に未登記の増築部分が見つかった場合に確認したい7つのポイントを解説します。

1.まず「何が未登記なのか」を確認する



「未登記」と一言でいっても、状況はいくつかあります。

例えば、

建物そのものが未登記



土地は登記されているものの、その上に建っている住宅自体の建物登記がないケースです。

増築部分だけが登記に反映されていない



元の住宅は登記されているものの、その後増築した部分が登記上の床面積に反映されていないケースです。

別棟の物置や車庫、離れが未登記



母屋は登記されているものの、敷地内にある別の建物が登記されていないケースです。

まずは、

・登記事項証明書
・固定資産税の課税明細書
・建築時の図面
・現在の建物

を比較してみましょう。

例えば、

登記上の床面積 90㎡
課税明細書の床面積 120㎡

となっていれば、増築部分について固定資産税上は把握されているものの、登記には反映されていない可能性があります。

ただし、書類だけで判断できないこともあるため、必要に応じて土地家屋調査士へ確認します。

2.増築した場合、登記内容の変更が必要になる



建物の登記には、

・所在
・家屋番号
・種類
・構造
・床面積

などが記録されています。

増築によって床面積などの登記事項に変更があった場合、不動産登記法では、原則として変更があった日から1か月以内に建物の表題部変更登記を申請することとされています。

しかし、実際には、

「30年前に父親が増築した」
「いつ増築したのか正確には分からない」

という状態で相続することもあります。

過去に必要な登記がされていなかったからといって、その時点で売却を諦める必要はありません。

まず現況を調査し、

「どの部分が登記と違うのか」

を整理したうえで、売却前に表題部変更登記が必要なのかを土地家屋調査士などへ確認します。

仙台法務局でも、建物表題登記や建物滅失、分筆、地積更正などの「不動産の表示に関する登記」について、土地家屋調査士が代理できる専門家として案内されています。

3.未登記でも固定資産税がかかっていることがある



「登記されていないなら固定資産税もかかっていないのでは?」

と思われることがあります。

しかし、登記と固定資産税は分けて考える必要があります。

仙台市では、新築・増築された家屋について家屋調査を行い、完成した翌年度から固定資産税・都市計画税の課税対象になることを案内しています。

つまり、

登記されていない部分でも、市が家屋として把握して固定資産税を課税している場合があります。


そのため実家を確認するときは、

登記事項証明書だけでなく、

「固定資産税の課税明細書」

も一緒に確認してみましょう。

仙台市では、未登記家屋について所有者が変わった場合、市への届け出が必要になることも案内しています。

つまり、

登記上の情報
固定資産税上の情報
実際の建物

の3つが一致しているとは限りません。

4.「未登記」と「違法な増築」は同じではない



ここは非常に重要です。

増築部分が登記されていないことと、

「建築基準法上問題のある建物であること」

は同じ問題ではありません。

例えば増築を行った際、

・当時必要だった建築確認を受けているか
・建ぺい率を超えていないか
・容積率を超えていないか
・接道条件に問題がないか
・防火・準防火地域などの基準を満たしているか

など、建築上の確認が必要になることがあります。

逆に、登記手続きをすれば建築基準法上の問題まで解消される、というわけでもありません。

つまり、

登記の問題と建築上の問題は別々に確認する必要があります。


古い実家では、

「増築しているが登記されていない」

ことが分かったら、

1.登記上どう整理するか
2.建築上どのような扱いになるか

を分けて確認します。

既存住宅の重要事項説明では、増築・改築を行った住宅について、確認申請関係書類や検査済証などの保存状況を確認する項目も設けられています。

5.未登記部分がある状態でも、まず査定は受けられる



「登記を直してからでないと、不動産会社に相談できませんか?」

という疑問もあります。

しかし、最初の査定や相談の段階で、すべての登記を完了させておく必要があるとは限りません。

むしろ、

先に現状を見てもらうことをおすすめします。


例えば、

登記床面積 100㎡
実際の建物 約120㎡
増築時期 30年ほど前
図面なし

という状態でも、

・土地としてどの程度の価値があるか
・建物を利用して売却できそうか
・買主がどのような点を気にするか
・登記を整理する必要がありそうか
・買取なら現状で対応できるか

などを検討できます。

そのうえで、

査定

登記・建築状況を確認

必要な手続きを判断

売却方法を決定

という順番で進めます。

何十万円も費用をかけて登記や建物調査をした後に、

「実は買主側ではそこまで必要なかった」

となることは避けたいところです。

6.住宅ローンを利用する買主では整理を求められることがある



古い実家を仲介で売却する場合、買主が住宅ローンを利用することがあります。

金融機関は融資にあたり、購入する土地・建物を担保として確認します。

このとき、

登記上100㎡
現況120㎡

のように登記内容と実際の建物が大きく違うと、追加確認や是正を求められる場合があります。

そのため、

「売買契約自体はできそうだから、登記はそのままでよい」

とは限りません。

特に一般の住宅購入者を対象として販売する場合は、

・表題部変更登記
・建築関係資料の確認
・増築部分の調査

などを行った方が、購入できる人の範囲が広がる可能性があります。

一方、不動産会社による買取などでは、現況を理解したうえで購入条件を提示できる場合もあります。

つまり、

誰に売るかによって、未登記部分への対応方法が変わることがあります。


7.先に増築部分を解体しない



未登記の増築が見つかると、

「面倒だから、その部分を壊してしまおう」

と考えることがあります。

しかし、売却前に自己判断で解体するのは慎重にしてください。

例えば、

増築された部分が、

・現在のLDK
・浴室
・寝室
・玄関
・駐車スペースに関連する部分

など、住宅としての使いやすさに大きく影響している場合があります。

そこを撤去すると、

120㎡の使いやすい住宅

90㎡で間取りの悪い住宅

となり、かえって売却しにくくなる可能性があります。

また、

増築部分だけを撤去したつもりでも、

・建物の構造
・外壁
・屋根
・給排水設備

などに追加工事が必要になることもあります。

まず、

現状のまま売る場合
登記を整理して売る場合
一部を解体して売る場合
建物全体を解体して土地として売る場合
買取を利用する場合

を比較してから判断しましょう。

増築部分がいつ造られたか分からない場合は?



相続した子ども世代では、

「物心ついたときには既にこの形だった」

ということもあります。

その場合は、分からないことを無理に推測する必要はありません。

まず、

・古い建築図面
・固定資産税の課税明細書
・工事契約書
・リフォームの領収書
・昔の写真
・住宅地図
・親族の記憶

などを確認します。

例えば、

1985年の写真では増築部分がない
1995年の写真では増築されている

のであれば、おおよその時期を推測する材料になります。

ただし、契約時に推測を事実のように説明することは避けます。

分からない場合は、

「相続したため、増築時期については把握していない」

と伝え、そのうえで必要な調査を行います。

「課税明細書には載っているから大丈夫」とも限らない



固定資産税の課税明細書に増築後の面積が記載されていると、

「市役所が把握しているなら、登記も問題ないだろう」

と思うことがあります。

しかし、

固定資産税上の家屋情報

と、

法務局の不動産登記

は別の制度です。

課税されているから、自動的に登記内容も変更されるわけではありません。

反対に、登記資料だけを見て固定資産税の課税状況を判断することもできません。

売却前には、

法務局の登記と市町村の課税資料の両方を見る


ことが重要です。

査定時に確認したい8つの質問



実家に未登記の増築部分がある可能性がある場合は、不動産会社へ次の質問をしてみてください。

1.登記上の床面積と現況は一致していますか

2.固定資産税の課税面積とは一致していますか

3.どの部分が未登記の可能性がありますか

4.売却前に表題部変更登記が必要ですか

5.建築上の確認も必要ですか

6.現状のまま仲介で販売できますか

7.買取なら現状のまま対応できますか

8.登記を整理した場合としない場合で売却条件は変わりますか

この8つを整理したうえで、必要に応じて土地家屋調査士や建築士などへつなげてもらうと進めやすくなります。

売却前に確認する順番



未登記の増築が見つかった場合、いきなり登記や解体から始めるのではなく、次の順番で進めることをおすすめします。

1.登記事項証明書を確認する

現在登記されている建物の種類・構造・床面積を確認します。

2.固定資産税の課税明細書を確認する

市町村が把握している床面積などと比較します。

3.現地を確認する

実際の建物と図面・登記に違いがあるか確認します。

4.不動産会社へ査定を依頼する

現状のまま売却する場合の価格や問題点を確認します。

5.必要に応じて土地家屋調査士・建築士へ相談する

登記や建築上の確認が必要な部分を整理します。

6.必要な費用を確認する

登記、調査、修繕、解体などの費用を把握します。

7.最終的な手取りを比較する

費用をかけて問題を整理した方がよいのか、現状で売却した方がよいのかを判断します。

こんな状態でも、まずご相談いただけます



例えば、

・登記面積と実際の家の大きさが違う
・昔、親が増築したらしい
・増築時の図面がない
・離れや物置が登記されているか分からない
・課税明細書と登記の数字が違う
・売却前に登記すべきか分からない

という状態でも、最初から所有者自身ですべて調べる必要はありません。

まず現在分かっている資料と現地の状況を確認し、

「売却するために、本当に何を整理する必要があるのか」


を確認するところから始められます。

登記を直すこと自体を目的にするのではなく、

「売却するために必要だから直すのか」

まで考えることが重要です。

まとめ



相続した古い実家に未登記の増築部分が見つかっても、

「売れない家だ」

とすぐに判断する必要はありません。

まず確認したいのは次の7点です。

1.建物全部が未登記なのか、増築部分だけなのか
2.登記事項証明書の床面積と現況が一致しているか
3.固定資産税上はどのように把握されているか
4.登記の問題と建築上の問題を分けて考える
5.登記を直す前に現状で査定を受ける
6.想定する買主によって必要な対応を整理する
7.自己判断で増築部分を先に解体しない

古い実家の売却では、

「昔のことなので分からない」

という部分があるのは珍しくありません。

重要なのは、分からないまま売却することでも、すべてを所有者自身で調査することでもありません。

登記
課税資料
現況
建築関係資料

を比較し、

必要な部分だけ専門家へ確認していくことです。

「実家を売ろうとしたら、登記と実際の建物が違っていた」

という段階でも、まず現在の状況を整理するところから始めてみてください。

株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家・相続不動産について、売却・賃貸・管理・解体・活用を比較しながら、今後の方針を整理しています。
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※本コラムは、未登記建物、増築、空き家・相続不動産の売却について一般的な情報をまとめたものです。必要となる表題登記・変更登記、建築確認、法令適合性、融資条件、税務上の取扱いなどは物件ごとに異なります。表示に関する登記については土地家屋調査士、建築上の判断については建築士・行政機関、不動産取引については不動産会社などへご確認ください。

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伊藤友佑(不動産業)

株式会社Blue Key

空き家や相続不動産の相談窓口として、売却や賃貸、活用など幅広い選択肢を提案。大手企業での実務経験や商工会議所での創業支援経験を生かし、地域の専門家と連携しながら依頼者を多角的にサポートします。

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