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相続した実家を売ると手元にいくら残る?空き家売却で差し引いて考えたい7つの費用

伊藤友佑

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相続した実家や空き家の査定を受け、

「1,500万円くらいで売れそうです」

と言われたとします。

このとき、

「1,500万円がそのまま手元に残る」

と考えてしまう方もいるかもしれません。

しかし、実際の空き家売却では、

・仲介手数料
・家財処分費
・測量費
・解体費
・登記関係費用
・印紙税
・譲渡所得に対する税金

などが発生する可能性があります。

そのため、本当に確認したいのは、

「いくらで売れるか」

ではなく、

「売却後にいくら手元に残るか」

です。

特に築年数の古い実家では、売却価格を上げるために先に解体やリフォームを行った結果、かえって手取り額が減ってしまうこともあります。

今回は、相続した実家や空き家を売却するときに、売却価格から差し引いて考えたい7つの費用を整理します。

1.不動産会社へ支払う仲介手数料



不動産会社へ仲介を依頼し、買主が見つかって売買が成立した場合、仲介手数料が発生します。

仲介手数料には法律上の上限が定められています。

一般的な売買で、売買価格が400万円を超える場合、課税事業者である不動産会社への上限額を簡易計算すると、

売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税

となります。

例えば、1,500万円で売却した場合は、

1,500万円 × 3% + 6万円 = 51万円

消費税を含めると、

56万1,000円

が上限の目安となります。国土交通省は宅地建物取引業者が受け取れる媒介報酬の上限を定めています。

ただし、空き家では注意したい制度があります。

売買価格800万円以下の「低廉な空家等」の売買では、2024年7月から、一定の場合に依頼者一方から受け取れる仲介手数料の上限が33万円(税込)となる特例が設けられています。

例えば、

「300万円で売れる土地だから、仲介手数料は十数万円程度だろう」

と思っていると、想定と違う場合があります。

低価格の空き家ほど、査定時に、

「仲介手数料はいくらになりますか」

と具体的に確認しておきましょう。

2.売買契約書の印紙税



紙の不動産売買契約書を作成する場合には、契約金額に応じて印紙税がかかります。

不動産の譲渡に関する契約書については、契約金額によって税額が異なります。

また、一定の不動産売買契約書については、現在、2027年3月31日まで印紙税の軽減措置があります。

売却価格全体から見れば大きな金額ではないことが多いものの、

「売却に必要な諸費用」

として事前に把握しておきたい費用です。

3.相続登記や抵当権抹消などの登記関係費用



相続した実家を売却するとき、登記を確認すると、

「まだ亡くなった親の名義になっている」

というケースがあります。

相続した不動産を売却するためには、通常、売主となる相続人への相続登記を済ませる必要があります。

また、

・住宅ローンを完済したのに抵当権が残っている
・登記上の住所が現在の住所と違う
・共有者がいる

などの場合には、売買前に別の登記手続きが必要になることがあります。

司法書士へ依頼する場合には、

・登録免許税
・証明書取得費用
・司法書士報酬

などが発生します。

相続人が多い場合や、何代も相続登記をしていない場合などは、通常より手続きが複雑になる可能性があります。

そのため査定時には、価格だけではなく、

「売却できる登記状態になっているか」

も確認しておくことが重要です。

4.家財や残置物の処分費



相続した実家では、家具や家電などがそのまま残っていることがあります。

例えば、

・タンス
・ベッド
・冷蔵庫
・テレビ
・食器
・衣類
・本
・布団
・物置の荷物
・農機具

などです。

一軒分をすべて処分するとなると、荷物の量や建物の大きさによっては、まとまった費用になる場合があります。

しかし、ここで重要なのが、

「売る前に全部捨てる必要があるとは限らない」

ということです。

例えば、

家財処分後の売却価格 1,000万円
家財処分費 80万円

だった場合、実質的には920万円です。

一方、

残置物を残した状態で買取 950万円

という条件が出れば、

価格は50万円安くても、処分費と作業負担を考えると後者の方が有利になる可能性があります。

そのため、

片付ける

査定する

ではなく、

現状のまま査定する

家財を残す場合と撤去する場合を比較する

という順番がおすすめです。

5.測量・境界確認にかかる費用



古い実家では、

「境界杭が見つからない」
「昔の測量図しかない」
「隣地との境界が分からない」

ということがあります。

この場合、売却条件によっては土地家屋調査士へ測量を依頼することがあります。

測量費用は、

・土地の広さ
・形状
・境界点の数
・隣接所有者の人数
・道路との関係
・既存資料の有無

などによって変わります。

ここでも重要なのは、

「売るなら必ず先に測量する」

と決めないことです。

現況のまま売却できるケースもあれば、買主から確定測量を条件として求められるケースもあります。

例えば、

現況売却 1,000万円

測量後の想定価格 1,050万円
測量関係費用 70万円

であれば、価格が50万円上がっても手取りは減る可能性があります。

一方、測量によって土地面積や境界が明確になり、買主が見つかりやすくなることもあります。

費用だけではなく、売却条件まで含めて判断します。

6.解体・修繕・リフォーム費用



築40年、50年の実家では、

「更地にした方が売りやすい」
「リフォームしてから売りましょう」

と提案される場合があります。

しかし、大きな費用をかける前に必ず手取り額を比較してください。

例えば、

現状のまま売却



売却価格 1,200万円
解体費 0円

解体して売却



売却価格 1,450万円
解体費 300万円

この場合、売却価格だけを見ると250万円高くなっています。

しかし、

1,450万円-300万円=1,150万円

なので、単純比較では現状のまま1,200万円で売った方が50万円多く残ります。

さらに解体には、

・家財処分
・業者選定
・近隣対応
・工事期間
・資金の先払い

なども必要です。

リフォームも同様です。

300万円のリフォームをしたからといって、売却価格が300万円以上高くなるとは限りません。

買主が自分でリノベーションする場合や、購入後に建物を解体する場合は、売主が行った工事が評価されないこともあります。

先に工事を行うのではなく、

現状売却
修繕後売却
解体後売却
買取

の4つを比較してみましょう。

7.利益が出た場合の譲渡所得税



空き家売却で最も分かりにくいのが税金です。

土地や建物を売却した場合の譲渡所得は、基本的に、

売却による収入
-取得費
-譲渡費用
-適用できる特別控除

によって計算します。

ここで注意したいのが、

「1,500万円で売却したから、1,500万円に税金がかかる」

わけではないということです。

例えば、親が1,200万円で購入した土地建物を1,500万円で売却した場合、取得費や売却費用などを考慮して譲渡所得を計算します。

相続した土地建物では、原則として、亡くなった方が購入した際の取得費や取得時期を相続人が引き継ぎます。

そのため、

「親がいくらで買ったのか」

を確認することが非常に重要です。

昔の売買契約書や領収書が残っている場合は、処分しないようにしましょう。

取得費が分からない場合には、一定の場合、売却金額の5%相当額を概算取得費として計算できる制度がありますが、実際の取得費が大きかった場合に比べて譲渡所得が大きく計算される可能性があります。

相続した空き家には3,000万円特別控除が使える場合もある



相続した実家を売却する場合、一定の要件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」を利用できる場合があります。

対象となれば、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます。

現在の制度では、一定の要件を満たした売却について2027年12月31日までが対象期間となっています。なお、2024年1月1日以降の譲渡で対象不動産を取得した相続人が3人以上の場合は、控除上限が1人あたり2,000万円となります。

ただし、すべての相続空き家が対象になるわけではありません。

例えば対象となる家屋には、

・1981年5月31日以前に建築されたこと
・区分所有建物ではないこと
・相続開始直前に原則として被相続人以外が住んでいなかったこと

などの条件があります。さらに、売却時期や売却金額、耐震・解体などについても要件があります。

そのため、

「3,000万円控除があるから税金はかからない」

と自己判断するのではなく、売却を決める前に税理士や税務署へ確認することをおすすめします。

1,500万円で売れても手取りは1,500万円ではない



例えば、相続した実家を1,500万円で売却したとします。

仮に、

売却価格 1,500万円

仲介手数料 約56万円
家財処分費 50万円
測量費 60万円
登記関連費用 10万円
その他契約関係費用 数万円

だった場合、

税金を考慮する前でも、手元に残る金額は1,300万円台になります。

さらに譲渡所得が発生すれば、所得税・住民税等を考慮する必要があります。

逆に、

・家財を残した状態で売却する
・測量が不要
・解体しない
・税制上の特例を利用できる

といった場合は、手取り額が大きく変わります。

だからこそ、

「査定1,500万円」

という数字だけでは、売るべきかどうかを判断できません。

査定時に「手取り試算」を出してもらう



空き家の査定を受けた際は、

「いくらで売れますか?」

だけではなく、

「売った場合、最終的にいくらくらい手元に残りそうですか?」

と聞いてみてください。

少なくとも、

・想定成約価格
・仲介手数料
・家財処分費
・測量費
・解体や修繕費
・登記関係費用

については概算を整理できます。

税金については、不動産会社だけで確定的な判断をせず、必要に応じて税理士へ確認します。

この手取り試算を、

現状のまま売った場合

解体して売った場合

修繕して売った場合

買取を利用した場合

で比較すると、どの方法が自分たちに合っているか分かりやすくなります。

「高く売れる方法」と「多く残る方法」は違う



空き家売却で特に覚えておきたいのが、

「最も高く売れる方法が、最もお金が残る方法とは限らない」

ということです。

例えば、

解体後 1,600万円
現状売却 1,350万円

だけを見ると、解体した方が250万円高く売れます。

しかし、

解体費 300万円

が必要なら、

解体後の実質 1,300万円
現状売却 1,350万円

となります。

さらに売却まで3か月余計にかかれば、その間の管理費なども発生します。

つまり、比較すべきなのは、

売却価格

ではなく、

売却価格
-売却するために必要な費用
-税金
=最終的な手取り

です。

売却前に勝手に処分しない方がよい書類



手取り額を計算するとき、昔の資料が重要になる場合があります。

実家を片付ける際は、特に次の書類をすぐに捨てないようにしましょう。

・購入時の売買契約書
・土地購入時の領収書
・仲介手数料の領収書
・建築工事の契約書
・増改築に関する資料
・測量費用の領収書
・過去の相続関係書類
・リフォームや修繕の契約書

特に取得費を確認する資料は、譲渡所得の計算に影響する可能性があります。

「30年以上前の書類だから不要」

と決めず、一度確認してから処分しましょう。

まとめ



相続した実家や空き家を売却するときは、査定価格だけを見て判断しないことが重要です。

特に確認したい費用は、次の7つです。

1.仲介手数料
2.売買契約書の印紙税
3.相続登記や抵当権抹消などの登記関係費用
4.家財・残置物の処分費
5.測量・境界確認費用
6.解体・修繕・リフォーム費用
7.譲渡所得に対する税金

大切なのは、

「1,500万円で売れる」

という査定結果ではなく、

「最終的に自分たちにはいくら残るのか」

です。

さらに、

現状のまま売る
解体して売る
修繕して売る
買取を利用する

それぞれの手取り額を比較すると、費用をかけるべきかどうかも判断しやすくなります。

空き家の売却を考え始めたら、査定価格だけではなく、

「この状態のまま売った場合の手取りはいくらですか?」

と聞いてみてください。

売るかどうかを決めるのは、その数字を確認してからでも遅くありません。

株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家・相続不動産について、売却・賃貸・管理・解体・活用を比較しながら、今後の方針を整理しています。
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※本コラムは、空き家・相続不動産の売却費用や税金について一般的な情報をまとめたものです。実際に必要となる費用、仲介手数料、測量・解体費、譲渡所得税、各種特例の適用可否などは、物件や所有関係、取得経緯、契約内容によって異なります。具体的な税務については税務署・税理士、登記については司法書士などの専門家へご確認ください。

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伊藤友佑
専門家

伊藤友佑(不動産業)

株式会社Blue Key

空き家や相続不動産の相談窓口として、売却や賃貸、活用など幅広い選択肢を提案。大手企業での実務経験や商工会議所での創業支援経験を生かし、地域の専門家と連携しながら依頼者を多角的にサポートします。

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