築50年の実家はいくらで売れる?「建物価値ゼロ」と言われても諦める前に確認したい7つのこと
相続した実家を査定してもらったところ、
「この土地は再建築できない可能性があります」
「接道条件を満たしていません」
「建て替えが難しい土地です」
と言われることがあります。
築40年、50年と経過した古い住宅では、現在建物が建っているにもかかわらず、同じ場所に新しい住宅を建てられない、あるいは建て替えに一定の条件が付く場合があります。
このような話を聞くと、
「再建築できないなら売れないのでは?」
「土地の価値はゼロなのか?」
「建物を解体してはいけないのか?」
と不安になる方も少なくありません。
しかし、
「再建築が難しい=売却できない」
とは限りません。
現在の建物を利用したい人、隣地所有者、投資家、事業者など、一般的な新築住宅とは異なる需要が見込める場合があります。
また、「再建築不可」と思っていたものの、道路の調査を進めることで建て替えの可能性が見つかることもあります。
今回は、古い実家について「再建築できない」と言われたときに確認したい7つのポイントを整理します。
1.まず本当に「再建築不可」なのか確認する
最初に確認したいのは、
「なぜ再建築できないと言われているのか」
です。
建築基準法では、都市計画区域や準都市計画区域などにおいて、建築物の敷地は原則として、建築基準法上の道路に2メートル以上接する必要があります。
国土交通省も、接道義務について、原則として幅員4メートル以上の道路に敷地が2メートル以上接することを基本として案内しています。
しかし、現地を見ただけでは、
・前面の道が建築基準法上の道路なのか
・接道している長さは何メートルなのか
・昔から存在する道に特別な扱いがあるのか
・建築基準法第43条第2項による認定や許可の可能性があるのか
まで判断できない場合があります。
そのため、不動産会社から、
「道路が狭いので再建築できません」
と言われただけで結論を出さず、
・道路の種類
・道路幅員
・接道長
・行政庁での道路情報
・過去の建築確認の資料
などを確認します。
必要に応じて、建築士や行政の建築担当窓口へ確認することも重要です。
参考:建築基準法第43条
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201
2.道路幅が4メートル未満でも、すぐに再建築不可とは限らない
実家の前の道路が狭く、
「4メートルないから建て替えできない」
と思われることがあります。
しかし、幅員4メートル未満でも、建築基準法第42条第2項の道路として扱われている場合があります。
一般に「2項道路」と呼ばれるものです。
この場合、道路の中心線から原則2メートル後退した位置などを道路境界線とみなし、建築時に敷地を後退させる、いわゆるセットバックが必要になることがあります。
例えば、
現在の道路幅 3メートル
だった場合、道路の中心線を基準として、将来4メートルの道路幅を確保するために敷地の一部を道路側へ提供するような形になります。
その結果、
・建て替え自体は可能
・ただし使える敷地面積が減る
というケースがあります。
つまり、
「道路が4メートルない」
ことと、
「絶対に再建築できない」
ことは同じではありません。
古い実家の場合は、まずその道路が建築基準法上どのように扱われているのかを確認しましょう。
参考:国土交通省「建築基準法上の道路情報の整備について」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk5_000001.html
3.接道している幅が2メートル未満ではないか確認する
道路そのものに問題がなくても、
「敷地が道路に接している長さ」
が問題になるケースがあります。
例えば、
道路
↓
|1.8m|
通路
↓
広い敷地
という旗竿状の土地です。
奥の敷地が十分広くても、道路へ接している部分が基準を満たさなければ、建て替えに影響する可能性があります。
特に古い住宅では、
「昔からここを通って家に入っていた」
という事実だけで、現在の建築基準を満たしているとは限りません。
また、
・通路の一部が隣地だった
・共有通路だった
・私道の持分がなかった
・登記図面と現況が違った
ということもあります。
前回のコラムで取り上げた境界や測量の問題と、接道の問題が同時に見つかるケースもあります。
そのため、
「道路まで普通に車で入れる」
という感覚だけではなく、登記や道路資料をもとに確認することが重要です。
4.再建築が難しくても、現在の建物を利用できる可能性がある
仮に新たな建物への建て替えが難しかったとしても、
「現在の建物を使ってはいけない」
という意味とは限りません。
建物の状態や工事内容にもよりますが、既存建物を修繕しながら使用できる可能性があります。
そのため、
「安く古い一戸建てを購入して、自分で直して住みたい」
という買主に需要があるケースがあります。
ほかにも、
・セカンドハウス
・アトリエ
・倉庫
・事務所
・趣味の拠点
など、買主が別の利用方法を考える可能性もあります。
ただし、大規模な増改築や用途変更などを行う場合は、建築基準法その他の法令上の確認が必要になります。
そのため販売時には、
「再建築できない可能性はあるが、今ある建物を利用できそうだから大丈夫」
と安易に説明するのではなく、
どの程度まで利用・改修できるのかは買主側でも専門家へ確認してもらうことが重要です。
5.再建築不可の場合は、通常の住宅より価格が下がる可能性があ
再建築できない土地では、一般的に購入できる人が限定されやすくなります。
通常の中古住宅であれば、
購入
↓
しばらく居住
↓
古くなったら建て替え
という選択肢があります。
再建築が難しい場合は、この最後の選択肢が制限されます。
そのため買主は、
「建物が使えなくなったらどうするのか」
というリスクを考えます。
また、物件の条件によっては住宅ローンの利用が難しくなり、現金で購入できる人などに買主が限られることもあります。
結果として、
・通常の住宅より販売価格を下げる
・売却まで時間がかかる
・不動産会社の買取を利用する
といったことがあります。
ただし、価格が低くなることと、
「価値がない」
ことは違います。
例えば、
通常なら1,500万円程度の地域
↓
接道問題があるため800万円
だったとしても、800万円で購入したい人がいれば売却は成立します。
重要なのは、
「通常の土地ならいくらか」
ではなく、
「この条件を考慮した市場ではいくらか」
を把握することです。
6.隣地所有者にとって価値が高い場合がある
一般の住宅購入者には使いにくい土地でも、
隣地所有者にとっては非常に価値がある場合があります。
例えば、隣の土地の所有者が購入することで、
・敷地が広くなる
・駐車場を増やせる
・庭として利用できる
・建物配置の自由度が上がる
・将来的に土地を一体利用できる
といったメリットがあります。
さらに、接道に問題のある土地同士でも、隣接地と組み合わせることで土地利用の可能性が変わる場合があります。
そのため、再建築が難しい空き家では、
「不動産ポータルサイトへ掲載して一般の買主を探す」
だけではなく、
「隣地所有者へ購入意向を確認する」
という方法も選択肢になります。
もちろん、隣だから必ず買ってくれるわけではありません。
また、
「隣の人しか買えないから安くても仕方ない」
と決めつける必要もありません。
一般市場での価格、買取価格、隣地所有者への売却可能性などを比較して判断します。
7.再建築不可だからといって先に解体しない
特に注意したいのが、古い実家だからといって建物を先に解体してしまうことです。
通常の土地であれば、
「古い建物を解体して更地にした方が売りやすい」
というケースがあります。
しかし、再建築ができない土地の場合、
現在ある建物そのものが、その土地を利用する大きな理由になっている可能性があります。
例えば、
古いが居住可能な住宅
↓
購入して修繕しながら使用できる
という状態だったものを解体すると、
更地
↓
新しい建物を建てられない
となり、購入者がさらに限定される可能性があります。
つまり、
「古いから解体する」
という判断が、逆に土地の商品価値を下げてしまうことがあります。
再建築に問題がある可能性がある土地ほど、
査定
↓
道路・接道調査
↓
建築可能性の確認
↓
現状売却と解体後売却を比較
↓
必要なら解体
という順番が重要です。
「再建築不可」と広告に書いてある物件は絶対に建て替えできない
中古不動産の広告を見ると、
「再建築不可」
と記載された物件があります。
しかし、自分の実家について売却を考える場合は、広告表記だけで判断するのではなく、その根拠まで確認することをおすすめします。
例えば、
・接道長が不足している
・前面道路が建築基準法上の道路ではない
・無接道になっている
など、原因によって状況が違います。
また建築基準法第43条第2項では、一定の要件を満たし、特定行政庁による認定または許可を受けることで、接道義務の例外として扱われる場合があります。
ただし、
「申請すれば必ず許可される」
という制度ではありません。
建物の用途、規模、周辺の道路・空地の状況、安全性などによって個別に判断されます。
そのため、
「43条の許可を取れば建築できます」
と売主側だけで断定するのではなく、行政や建築士などへ具体的な確認を行う必要があります。
再建築不可の空き家を売る主な4つの方法
接道などを確認した結果、本当に再建築が難しいことが分かった場合でも、売却方法はいくつか考えられます。
1.現状のまま仲介で売る
再建築できないことを買主へ説明したうえで、
・既存建物を利用したい人
・低価格の住宅を探している人
・DIYやリノベーションを考えている人
などを探します。
2.不動産会社などに買い取ってもらう
一般市場で買主を探しにくい物件でも、買取業者が検討する場合があります。
価格は低くなる可能性がありますが、売却期間や手間を減らせることがあります。
3.隣地所有者へ相談する
隣地と一体利用することで価値が生まれる場合があります。
一般市場より隣地所有者の方が高く評価するケースも考えられます。
4.接道問題を解消できないか確認する
状況によっては、
・隣地の一部を取得する
・通路部分を整理する
・土地を組み替える
などによって接道条件を改善できる可能性があります。
ただし、費用や相手方との交渉が必要となるため、
「問題を解消した場合に売却価格がどの程度上がるか」
まで確認してから進めることが重要です。
接道問題を直すために高額な費用をかけるべき?
例えば、
現在のまま売却 500万円
接道問題を解消後 900万円
だったとします。
一見すると、問題を解消した方が400万円高く売れます。
しかし、
隣地取得費 200万円
測量・登記等 100万円
その他費用 50万円
が必要なら、実際の差は小さくなります。
さらに交渉や手続きに半年、1年とかかる可能性もあります。
そのため、
「再建築できる土地にすれば高く売れる」
ではなく、
問題解消後の売却価格
- 問題解消に必要な費用
- 時間と管理負担
まで比較します。
ここでも重要なのは、
「価格」ではなく「最終的な手取り」です。
査定時に確認したい10の質問
再建築が難しい可能性のある実家を査定する場合は、不動産会社へ次の質問をしてみてください。
1.前面道路は建築基準法上の道路ですか
2.道路幅は何メートルありますか
3.敷地は道路へ何メートル接していますか
4.2項道路の場合、セットバックは必要ですか
5.本当に再建築できない土地ですか
6.行政や建築士への確認が必要ですか
7.現在の建物を利用する前提なら、どの程度の需要がありますか
8.再建築不可として売る場合の想定価格はいくらですか
9.隣地所有者への売却は検討できますか
10.買取の場合はいくらくらいになりますか
こんな場合は解体前に必ず確認する
次のような実家は、特に建物を壊す前の確認が重要です。
・前面道路が非常に狭い
・家まで細い通路を通る
・道路に直接接していないように見える
・私道を通っている
・昔からある住宅密集地
・山間部や古い集落にある
・建築当時の資料がない
・不動産会社から接道に問題があると言われた
解体業者へ依頼する前に、
「解体後、この土地に新しい建物を建てられるのか」
を確認してください。
壊してから元に戻すことはできません。
まとめ
「再建築不可」と言われた実家でも、売却できないとは限りません。
まず確認したいのは次の7つです。
1.本当に再建築できないのか
2.前面道路が建築基準法上どのように扱われているか
3.敷地が道路へ必要な長さ接しているか
4.現在の建物を利用する需要があるか
5.再建築の制限を考慮した適正価格はいくらか
6.隣地所有者など別の購入需要がないか
7.確認前に建物を解体しない
特に重要なのは、
「再建築不可らしいから安く売る」
と、所有者だけで決めないことです。
道路・接道条件を調査した結果、
建て替えできる可能性が確認できる場合もあれば、
再建築は難しくても、現在の建物や土地に一定の需要がある場合もあります。
一方で、問題解消のために高額な費用をかけても、それ以上に売却価格が上がるとは限りません。
まずは、
現状の価格
再建築に関する条件
問題を解消できる可能性
問題解消に必要な費用
買取価格
を整理し、自分たちにとって最も負担の少ない方法を比較してみましょう。
株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家・相続不動産について、売却・賃貸・管理・解体・活用を比較しながら、今後の方針を整理しています。
売却を決めていない段階でもご相談いただけます。
空き家相談専用ページはこちら
https://www.bluekey-sendai.com/akiya/
※本コラムは、空き家・相続不動産の接道や再建築に関する一般的な情報をまとめたものです。建築基準法上の道路の判定、接道義務、セットバック、建築基準法第43条第2項による認定・許可、再建築の可否などは、所在地や敷地・道路の状況、建築計画によって異なります。具体的な判断については、特定行政庁、建築士、不動産会社、土地家屋調査士などへご確認ください。


