Mybestpro Members

伊藤友佑プロは河北新報社が厳正なる審査をした登録専門家です

空き家売却で測量は必要?境界が分からない古い実家を売る前に確認したい7つのこと

伊藤友佑

伊藤友佑

相続した実家を売却しようとしたとき、

「土地の境界がどこか分からない」
「昔からあるブロック塀が境界だと思っている」
「境界杭を見たことがない」
「測量しないと売却できないと言われた」

ということがあります。

特に築40年、50年と経過した実家では、親が土地を購入した当時の資料が残っていなかったり、隣地との境界について子ども世代が把握していなかったりすることも珍しくありません。

しかし、

「境界が分からない=売却できない」

と決まっているわけではありません。

一方で、境界が曖昧なまま売却を進めると、

・売買する土地の範囲が分からない
・ブロック塀や建物が越境している
・登記面積と実際の面積が違う
・隣地所有者との認識が違う

といった問題が後から判明することがあります。

今回は、古い実家や空き家を売却するときに確認したい「境界と測量」について、7つのポイントから整理します。

1.まず「境界杭」があるか確認する



最初に確認したいのは、敷地の周囲に境界を示す標識が残っているかどうかです。

境界を示すものには、

・コンクリート杭
・金属プレート
・金属鋲
・石杭

などがあります。

土地の四隅だけでなく、道路との境界や土地が折れ曲がっている場所に設置されていることもあります。

ただし、

「ブロック塀があるから、そこが境界」

と決めつけるのは避けましょう。

ブロック塀が、

境界線の上にあるのか
自分の土地側にあるのか
隣地側にあるのか

は、見ただけでは分からない場合があります。

また、昔設置された境界杭が、

・工事でなくなっている
・地中に埋まっている
・位置が動いている可能性がある

こともあります。

境界標を見つけた場合は、勝手に動かさず、位置が分かるように写真を撮っておきましょう。

2.法務局に測量図があるか確認する



土地の境界を確認するときは、実家に残っている書類だけではなく、法務局に備え付けられている資料も確認します。

代表的なものが、

・地図、公図
・地積測量図
・土地の登記事項証明書

です。

地積測量図には、作成された時期や登記内容によって、

・土地の形
・辺の長さ
・面積
・境界標
・測量に使用した基準点

などが記載されている場合があります。

ただし、

「地積測量図がある=現在の現地境界が完全に確定している」

とは限りません。

古い測量図では、現在の測量精度とは異なる方法で作成されている場合もあります。

また、土地によっては地積測量図そのものが法務局に備え付けられていないこともあります。

そのため、まず資料を取得し、その内容を現地と照らし合わせるところから始めます。

仙台法務局でも、土地の位置や区画を正確に特定することは土地取引の安全や境界トラブルの予防につながるとして、地域ごとに地図作成事業を進めています。

3.売却するからといって必ず確定測量が必要とは限らない



空き家を売却するとき、

「必ず確定測量をしなければ売れませんか?」

と聞かれることがあります。

結論から言えば、すべての不動産売買で売主が確定測量をしなければならないというわけではありません。

例えば、

・既存の測量資料が十分にある
・境界標が明確に残っている
・買主が現況での取引に合意している
・不動産会社による買取で条件が整理できている

などの場合には、新たな確定測量を行わず売買できるケースもあります。

一方、

・境界標がない
・測量図と現地が一致しない
・隣地との境界認識が違う
・土地を分筆して売却する
・面積を明確にしたうえで取引したい
・買主から境界確定を求められている

といった場合は、土地家屋調査士による測量を検討することになります。

重要なのは、

「売るならとりあえず測量する」

のではなく、

「この物件、この売却条件で測量が必要なのか」

を先に不動産会社や土地家屋調査士へ確認することです。

4.「登記面積」と「実際の面積」が違うことがある



土地の登記事項証明書には面積が記載されています。

しかし、特に古くから存在する土地では、新たに測量した結果、登記上の面積と実際に測った面積に差が出ることがあります。

例えば、

登記面積 200㎡
実測面積 210㎡

というケースもあれば、

登記面積 200㎡
実測面積 190㎡

となる場合もあります。

そのため土地売買では、

「登記簿の面積を基準に売買するのか」

「実際に測量した面積を基準に精算するのか」

を契約条件として整理することがあります。

土地が、

坪30万円だから60坪で1,800万円

と考えていても、測量の結果、実際の面積や有効利用できる部分が想定と異なれば、価格の考え方にも影響します。

空き家を査定するときは、

「登記面積はいくらか」

だけでなく、

「現在使われている土地の範囲と一致していそうか」

まで確認してもらうとよいでしょう。

5.境界だけでなく「越境」も確認する



古い実家の売却では、境界と一緒に確認したいのが越境です。

例えば、

・屋根や雨樋が隣地にはみ出している
・隣家の屋根がこちらへ出ている
・ブロック塀が境界を越えている
・庭木の枝が隣地へ伸びている
・給排水管が他人の土地を通っている
・物置や倉庫の一部が境界を越えている

といったケースがあります。

越境が見つかったからといって、必ず売却できないわけではありません。

状況によっては、

・売却前に撤去する
・将来建て替える際に解消する
・隣地所有者と確認書や覚書を交わす
・現状を買主へ説明したうえで売却する

などの方法を検討します。

大切なのは、

「長年問題になっていないから大丈夫」

とそのままにしないことです。

現在の所有者同士では問題になっていなくても、売却によって所有者が変われば、買主が同じ認識とは限りません。

査定時に、

「境界や越境について確認しておいた方がよい部分はありますか?」

と聞いておくことをおすすめします。

6.隣地所有者との認識が違う場合は勝手に決めない



現地を確認すると、

「親からはここまで自分の土地だと聞いていた」

という位置と、

隣地所有者が考えている境界が違う

というケースがあります。

この場合、どちらか一方の主張だけで境界を決めることはできません。

また、

昔からここを境界として使っている
ブロック塀がここにある
固定資産税を払っている

といった事情だけで、法的な土地の筆界が確定するとは限りません。

境界に疑問がある場合は、土地家屋調査士などの専門家へ相談します。

法務局には「筆界特定制度」もあります。

仙台法務局は、筆界特定制度について、登記された土地の区画の線が現地のどこにあるか分からない場合や、隣地所有者との認識が異なる場合などに利用される制度と案内しています。

ただし、境界に関する問題には、

登記上の土地の境を意味する「筆界」

と、

所有者同士が考える所有権の範囲

など、専門的な論点があります。

隣人と認識が違った場合に、その場で結論を出そうとせず、資料を整理して専門家へ相談しましょう。

7.測量費だけでなく「測量した結果、手取りが増えるか」を考え



売却前に測量を行う場合、当然ながら費用が発生します。

費用は、

・土地の広さ
・形状
・境界点の数
・隣接所有者の人数
・道路との関係
・既存資料の有無
・官有地との境界確認の必要性

などによって変わります。

そのため、

「測量はいくらですか?」

だけではなく、

「この物件は、売却前に費用をかけて測量するメリットがあるか」

を考えます。

例えば、

現況のまま買取 800万円

測量を行った場合の仲介想定価格 1,000万円
測量その他の費用 80万円

であれば、測量するメリットがある可能性があります。

一方、

現況売却 1,000万円
測量後 1,050万円
測量その他の費用 80万円

であれば、費用をかけても手取りが増えない可能性があります。

もちろん、境界トラブルを防ぐという価格以外のメリットもあります。

それでも、空き家売却では、

「必要そうだから先に支払う」

のではなく、

「売却条件を整理してから必要な費用をかける」

という順番が重要です。

境界が分からなくても査定は受けられる?



「境界が分からない状態で不動産会社に相談してよいのか」

と心配する方もいます。

基本的には、まず相談して問題ありません。

境界が確定していなくても、

・所在地
・登記面積
・建物の状態
・道路条件
・周辺相場

などから、売却価格の目安を検討することはできます。

査定時に、

「境界杭が分かりません」

「測量図を持っていません」

と正直に伝えましょう。

そのうえで、

・法務局資料を確認する
・現地の境界標を探す
・土地家屋調査士へ相談する
・売却条件として測量する
・現況のまま購入する買主を探す

など、次の方法を検討します。

査定前に自分で確定測量まで済ませる必要があるとは限りません。

昔の測量図が見つかったら捨てない



実家を片付けていると、

・手書きの土地図面
・測量会社の図面
・隣人の署名がある書類
・境界確認書
・道路関係の書類
・分筆した際の資料

などが見つかることがあります。

古そうだからと処分せず、不動産会社や土地家屋調査士へ確認してもらいましょう。

現在そのまま使える資料とは限りませんが、

「当時どのように境界を確認したのか」

を調べる重要な手掛かりになる場合があります。

特に、

隣地所有者との境界確認書
確定測量図
越境に関する覚書

などは重要です。

実家じまいで書類を整理するときは、不動産関係の資料を一つのファイルにまとめて保管しておくことをおすすめします。

査定時に不動産会社へ聞きたい8つの質問



古い実家を査定する際は、境界について次の質問をしてみてください。

1.境界標は確認できますか

2.法務局に地積測量図はありますか

3.この物件は売却前に確定測量が必要ですか

4.登記面積と現地に違いがありそうですか

5.越境しているものはありますか

6.隣地から越境されているものはありますか

7.測量せず売却する方法はありますか

8.測量した場合としない場合で、売却条件はどう変わりますか

この8つを確認すると、

「測量をするか、しないか」

を費用だけではなく、売却方法まで含めて判断しやすくなります。

こんな場合は早めに専門家へ相談する



次のような場合は、査定と並行して土地家屋調査士などへ相談した方がよいケースがあります。

・境界杭が一つも見つからない
・隣地所有者と境界について意見が違う
・ブロック塀の位置に疑問がある
・登記面積と実際の土地が大きく違うように見える
・越境がある
・土地を一部だけ売却したい
・一つの土地を分けて相続、売却したい
・買主から確定測量を条件に求められている

境界問題は、売買契約の直前になって発覚すると、売却スケジュールに影響することがあります。

「まだ売るか決めていない」

という段階でも、問題がありそうかだけ確認しておくことには意味があります。

まとめ



古い実家や空き家を売却するとき、境界が分からないからといって、最初から売却を諦める必要はありません。

まず確認したいのは次の7点です。

1.境界杭が残っているか
2.法務局に地図や地積測量図があるか
3.売却に確定測量が必要なのか
4.登記面積と実際の土地に違いがないか
5.建物、塀、樹木などに越境がないか
6.隣地所有者との境界認識に違いがないか
7.測量費を負担するメリットがあるか

空き家売却で大切なのは、

「とりあえず測量する」

ことではありません。

まず現状を確認し、

現況のまま売却する
測量してから売却する
問題を整理してから売却する
買取を利用する

などを比較します。

特に築年数の古い実家では、親世代しか知らなかった土地の事情が、売却を始めてから分かることがあります。

境界杭が見つからない。
昔の測量図しかない。
隣地とのブロック塀がどちらのものか分からない。

そのような状態でも、まずは現在分かっている資料を持って相談し、

「売却するために何を確認する必要があるのか」

を一つずつ整理していきましょう。

株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家・相続不動産について、売却・賃貸・管理・解体・活用を比較しながら、今後の方針を整理しています。
売却を決めていない段階でもご相談いただけます。

空き家相談専用ページはこちら
https://www.bluekey-sendai.com/akiya/

※本コラムは、空き家・相続不動産の境界、測量、売却について一般的な情報をまとめたものです。測量の必要性、境界の判断、筆界、所有権、越境への対応などは、土地の状況や売買条件によって異なります。具体的な測量や境界の判断については土地家屋調査士、不動産取引については不動産会社、紛争がある場合は弁護士などの専門家へご確認ください。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

伊藤友佑
専門家

伊藤友佑(不動産業)

株式会社Blue Key

空き家や相続不動産の相談窓口として、売却や賃貸、活用など幅広い選択肢を提案。大手企業での実務経験や商工会議所での創業支援経験を生かし、地域の専門家と連携しながら依頼者を多角的にサポートします。

伊藤友佑プロは河北新報社が厳正なる審査をした登録専門家です

プロのおすすめするコラム

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

空き家や相続不動産の活用・売却を支援するプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ宮城
  3. 宮城の住宅・建物
  4. 宮城の不動産物件・売買
  5. 伊藤友佑
  6. コラム一覧
  7. 空き家売却で測量は必要?境界が分からない古い実家を売る前に確認したい7つのこと

伊藤友佑プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼