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古い実家は「現状渡し」で売れる?雨漏り・シロアリ・残置物がある空き家を売る前に確認したい7つのこと

伊藤友佑

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築40年、50年と経過した実家を売却しようとすると、

「雨漏りがあるけれど、そのまま売れるのか」
「床が沈む場所がある」
「家財が大量に残っている」
「修理するお金をかけずに売却したい」

という相談があります。

そこでよく使われるのが、

「現状渡し」
「現況渡し」

という言葉です。

一般的には、売主側で大規模な修繕やリフォームを行わず、現在の状態を前提として不動産を引き渡す考え方として使われています。

しかし、ここで注意したいのが、

「現状渡しなら、何も説明しなくてもよい」
「現状渡しなら、売却後は一切責任を負わない」

という意味ではないことです。

現在の民法では、引き渡された不動産が契約で定めた内容に適合していない場合、契約不適合責任が問題になることがあります。責任の範囲について当事者間の契約で定めることができる場合もありますが、重要なのは「どの状態を前提に売買したのか」を契約前に整理しておくことです。

今回は、古い実家や空き家を「現状のまま売りたい」と考えたときに確認したい7つのポイントを解説します。

1.「現状渡し=何でもそのままでよい」ではない



まず理解しておきたいのが、現状渡しという言葉だけでは、具体的な売買条件が決まらないということです。

例えば、

・雨漏りがある
・給湯器が故障している
・床が一部沈んでいる
・エアコンが動かない
・庭木が伸びている
・物置に大量の荷物がある

という住宅があったとします。

売主と買主が、

「これらの状態を確認したうえで、この条件で購入する」

と認識しているのであれば、現在の状態を価格や契約条件へ反映して売却を進めることができます。

問題になるのは、

売主は知っていた

買主には説明されていなかった

引渡し後に問題が発覚した

というケースです。

そのため、

「直さない」

ことと、

「説明しない」

ことは分けて考える必要があります。

古い実家だからといって、すべての不具合を修理してから売却する必要があるとは限りません。

一方で、把握している不具合は不動産会社へ伝え、どのように買主へ説明し、契約内容へ反映するかを整理することが重要です。

2.雨漏りやシロアリは分かる範囲で伝える



古い住宅で特に確認しておきたいのが、

・雨漏り
・シロアリ被害
・建物の傾き
・腐食
・給排水管の漏水
・設備の故障

などです。

国土交通省が示している物件状況等報告書の例でも、雨漏り、白蟻被害、建物の不具合、給排水設備、境界・越境、浸水被害など、売主が把握している物件の状況を買主へ伝えるための項目が設けられています。

例えば、

「10年前に雨漏りがあり、屋根を修理した」
「現在も大雨の際に天井にシミが出る」
「過去にシロアリ駆除をした」
「洗面所付近の床が少し沈む」

といった情報です。

修理したから伝えなくてもよい、と自己判断するのではなく、不動産会社へ事実を伝えておきます。

また、

・修繕見積書
・工事契約書
・領収書
・施工写真
・シロアリ防除保証書

などが残っていれば保管しておきましょう。

「いつ、何があり、どのように対応したか」が分かることで、買主も建物の状態を判断しやすくなります。

3.売却前にすべて修理する必要はない



雨漏りや設備故障があると、

「売る前に全部直した方がよいのではないか」

と考える方もいます。

しかし、先に高額な修繕をする必要があるとは限りません。

例えば、

屋根修理 150万円
水回り修繕 100万円
内装工事 100万円

合計350万円をかけたとしても、売却価格が350万円以上高くなる保証はありません。

買主が購入後に全面的なリノベーションを予定しているのであれば、売主が行った工事を撤去する可能性もあります。

また、土地として購入し、建物を解体する買主であれば、内装リフォームを行っても評価されにくいでしょう。

そのため、

修理する

査定する

ではなく、

現状で査定する

そのまま売った場合の価格を確認する

必要であれば修繕費を見積もる

修繕後の想定価格と比較する

という順番がおすすめです。

4.建物状況調査(インスペクション)を検討する方法もある



古い実家の場合、

「家族も建物の状態をよく分かっていない」

というケースがあります。

例えば、相続した子どもが実家を離れて20年以上経っており、

「親がどこを修理していたのか分からない」
「雨漏りしているのかも分からない」

ということも珍しくありません。

その場合、建物状況調査(インスペクション)を利用する方法があります。

国土交通省では、既存住宅の建物状況調査について、目視や計測などを中心に、構造上問題となる可能性がある劣化や雨漏り、給排水管などの状況を確認する仕組みを案内しています。

ただし、インスペクションを行ったからといって、

「建物に問題がないことを保証する」

ものではありません。

国土交通省も、建物状況調査には確認できる範囲に限界があり、瑕疵の有無そのものや現行法令への適合性を判定するものではないことを示しています。

そのため、

「問題がない証明」

として使うのではなく、

「現在確認できる範囲の状態を整理する材料」

として考えるのがよいでしょう。

5.家財が残ったままでも売却できる場合がある



相続した実家では、建物以上に問題になるのが家財です。

例えば、

・家具
・家電
・衣類
・布団
・食器
・本
・仏壇
・物置の荷物
・農機具

などが大量に残っていることがあります。

「全部片付けないと査定を頼めない」

と思われることがありますが、必ずしもそうではありません。

まずは家財がある状態で不動産会社へ相談し、

・売却前に撤去する
・売買契約後に撤去する
・買主側で処分する条件にする
・買取業者へ残置物込みで相談する

などを比較します。

例えば、

家財処分後の売却価格 1,000万円
家財処分費 70万円

と、

家財を残した状態での売却価格 950万円

であれば、後者の方が売主の手取りや作業負担を考えると有利になる可能性があります。

ただし、家財を残す場合は、

「何を残し、誰が処分するのか」

を曖昧にせず、契約時に整理する必要があります。

また、査定前に家財を処分する場合でも、

・権利証
・登記識別情報
・通帳
・印鑑
・保険証券
・契約書
・写真
・貴金属

などが紛れていないか確認してから進めましょう。

6.「契約不適合責任なし」と書けば何でも解決するわけではない



古い不動産の売買では、

「契約不適合責任を免責にして売却する」

という話を聞くことがあります。

個人間の既存住宅売買では、契約不適合責任について、契約によって責任の範囲や期間などを調整することがあります。国土交通省の既存住宅流通に関する資料でも、民法上の契約不適合責任について、契約による変更が可能であることが示されています。

ただし、

「免責という一文があれば、売主は何をしても責任を負わない」

と考えるべきではありません。

重要なのは、

・どのような不具合があるか
・売主が何を把握しているか
・買主へ何を説明したか
・どの状態を前提に売買価格を決めたか
・契約書でどの範囲をどのように定めたか

を明確にすることです。

例えば、

「雨漏りについて責任を負わない」

という条件を検討するのであれば、そもそも現在把握している雨漏りの場所や状況を買主へ説明しておく方が、後の認識違いを防ぎやすくなります。

古い実家ほど、

「全部免責にすればよい」

ではなく、

「分かっていることを整理して契約する」

という考え方が重要です。

7.現状渡しと買取を比較する



建物の状態が悪い場合は、一般の購入希望者へ仲介で売る方法だけではなく、不動産会社などによる買取も比較してみましょう。

例えば、

・雨漏りがある
・シロアリ被害が疑われる
・家財が大量に残っている
・水回りが使えない
・長期間空き家になっている
・遠方に住んでいて対応できない

といった場合です。

買取業者は、購入後のリフォームや解体を前提としていることがあるため、現状のまま購入できるケースがあります。

ただし、その分、

「購入後に必要となる費用」

を見込んで買取価格を設定するため、仲介より価格が低くなる傾向があります。

比較する際は、

仲介で現状売却する場合



想定成約価格
- 仲介手数料
- 必要な家財処分費
- その他必要経費

修理して仲介する場合



想定成約価格
- 修理費
- 家財処分費
- 仲介手数料
- その他必要経費

現状のまま買い取ってもらう場合



買取価格
- 売主が負担する必要経費

という形で、最終的な手取り額を比較します。

売却価格だけを見ると仲介が高くても、工事費や処分費、売却までの管理負担を含めると差が小さくなることもあります。

「ボロボロだから売れない」と決める前に査定する



築50年を超え、

・壁が古い
・設備も古い
・庭も荒れている
・荷物も残っている

という実家を見ると、

「こんな状態では買う人はいない」

と思ってしまうことがあります。

しかし、不動産の価値は建物だけでは決まりません。

例えば、

建物は利用できない

土地として需要がある

という場合があります。

反対に、

建物は古い

購入者がリノベーションしたい

という場合もあります。

また、

住宅としての需要は少ない

事業用として活用できる

という可能性もあります。

所有者自身が、

「価値がない」

と判断してしまう前に、現在の状態でどのような売却方法があるのか確認することが重要です。

現状売却の前に確認したい10項目



古い実家を現状のまま売却したい場合は、分かる範囲で次の内容を確認しておきましょう。

1.現在または過去の雨漏り

2.シロアリ被害や防除履歴

3.床、柱、基礎などの異常

4.給排水設備の漏水や故障

5.給湯器、エアコンなど設備の状況

6.過去の増築やリフォーム

7.境界や越境に関する問題

8.過去の浸水などの被害

9.残す予定の家財や設備

10.修繕記録、図面、保証書などの資料

全部分からなくても構いません。

重要なのは、

「分からないことを分かったふりをしない」

ことです。

分からない部分は、

「所有者として把握していない」

と不動産会社へ伝え、そのうえで必要な調査を検討します。

現状渡しが向いている可能性があるケース



次のような場合は、先に大規模なリフォームをせず、現状売却を検討する価値があります。

・築年数がかなり古い
・買主がリノベーションする可能性が高い
・土地としての需要がある
・解体前提の買主が想定される
・修繕費を売却価格で回収しにくい
・遠方で工事管理が難しい
・家財処分を含めて早く整理したい
・不動産買取も比較したい

先に安全対策が必要になることもある



一方で、何でもそのままにしてよいわけではありません。

例えば、

・屋根材が落下しそう
・外壁が崩れそう
・床が抜ける危険がある
・庭木が道路や隣地へ大きく越境している
・破損した窓から誰でも侵入できる

といった状態では、売却までの管理中にも事故や近隣トラブルが起きる可能性があります。

売却価格を上げるためのリフォームと、危険を防ぐための最低限の措置は分けて考えます。

大規模工事をする前に、まず専門家へ状況を確認してもらいましょう。

まとめ



古い実家は、必ずしも修理やリフォームをしてから売却する必要はありません。

現状のまま売却できるケースもあります。

ただし、次の7つを意識することが重要です。

1.現状渡しでも物件の状態を整理する
2.把握している雨漏りやシロアリなどを伝える
3.査定前に高額な修理をしない
4.必要に応じてインスペクションを検討する
5.家財が残っている場合も先に相談する
6.現状渡しと契約上の責任を混同しない
7.仲介・修繕後売却・買取の手取り額を比較する

「古いから直してから売る」

のではなく、

「今の状態なら、どのような条件で売れるのか」

を最初に確認することがポイントです。

雨漏りがある。
家財が残っている。
築50年以上経っている。

そうした状態であっても、土地として売る方法、リノベーション前提で売る方法、買取を利用する方法など、検討できる可能性があります。

修繕や解体、家財処分に先に費用をかける前に、まず現状のまま査定を受け、

「そのまま売った場合」
「直して売った場合」
「買取を利用した場合」

の3つを比較してみてください。

株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家・相続不動産について、売却・賃貸・管理・解体・活用を比較しながら、今後の方針を整理しています。
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※本コラムは、古い空き家・相続不動産の現状売却や契約不適合責任について一般的な情報をまとめたものです。実際に売主が負う責任、免責条項の有効性、告知事項、必要な調査などは、売主・買主の属性や契約内容、物件の状況によって異なります。具体的な売買契約については、不動産会社、弁護士、司法書士などの専門家へご確認ください。

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伊藤友佑
専門家

伊藤友佑(不動産業)

株式会社Blue Key

空き家や相続不動産の相談窓口として、売却や賃貸、活用など幅広い選択肢を提案。大手企業での実務経験や商工会議所での創業支援経験を生かし、地域の専門家と連携しながら依頼者を多角的にサポートします。

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