築40年・50年の古い実家でも売れる?空き家売却で買主が見る7つのポイント
築40年、50年と経過した実家を相続すると、
「こんなに古い家でも値段が付くのか」
「建物の価値はゼロと言われた」
「土地代から解体費を引いた金額しか残らないのか」
「査定会社によって金額が違うのはなぜか」
と疑問に感じる方は少なくありません。
前回のコラムでは、築年数が古くても、立地や土地の条件、建物の状態などによって売却できる可能性があることを解説しました。
では、実際に築50年前後の実家は、どのように査定されるのでしょうか。
古い住宅の場合、
「築50年だから一律○○万円」
という決まりはありません。
同じ築50年でも、
・土地の場所
・敷地面積
・道路条件
・建物の状態
・駐車場
・解体費
・周辺の需要
によって、査定価格は大きく変わります。
今回は、築50年前後の古い実家の査定価格がどのように決まるのか、7つのポイントから整理します。
1.まず「土地」と「建物」を分けて考える
古い実家を査定するときに大切なのは、土地と建物を一緒に考えないことです。
例えば、
土地としての評価 1,500万円
建物としての評価 100万円
というケースもあれば、
土地としての評価 800万円
建物としての評価 ほぼなし
というケースもあります。
築年数が古くなると、建物の査定上の評価が低くなる傾向があります。
しかし、
「建物の評価が低い」
ことと、
「不動産全体に価値がない」
ことは同じではありません。
建物の価格がほとんど付かなくても、土地に需要があれば、不動産全体として価格が付く可能性があります。
そのため、
「建物価値はゼロです」
と言われた場合は、
「土地としてはいくらくらいの評価になりますか?」
まで確認することが重要です。
2.土地の価格は「坪単価×面積」だけでは決まらない
土地の価格を考えるとき、
「この辺は坪30万円だから、50坪なら1,500万円」
という計算をしたくなります。
しかし、実際の査定はそれほど単純ではありません。
同じ地域、同じ50坪でも、
・道路に広く接している土地
・細い通路の奥にある土地
・正方形に近い土地
・細長い土地
・平坦な土地
・高低差のある土地
では評価が変わることがあります。
特に確認されるのが、
・前面道路の幅
・道路との接し方
・土地の形状
・高低差
・方角
・間口
・上下水道
・境界
・越境
・擁壁
などです。
そのため、近所の土地が1,500万円で売れたからといって、自分の実家も同じ程度になるとは限りません。
逆に、古い建物が残っていても、土地条件が良ければ一定の需要が見込めることがあります。
3.「建物価値ゼロ」でも古家として利用できることがある
査定時に、
「建物の評価はほぼゼロです」
と言われると、
「それなら解体するしかない」
と思うかもしれません。
しかし、不動産会社の査定上、建物価格がほとんど付かないことと、建物が使用できないことは別の話です。
例えば築50年でも、
・雨漏りがない
・基礎や構造に大きな問題がない
・定期的に修繕している
・水回りを交換している
・リフォームしやすい間取り
・古民家として特徴がある
場合には、購入者が建物を利用する可能性があります。
最近では、古い住宅を購入し、自分たちでリノベーションして住みたいという方もいます。
また、
・店舗
・事務所
・アトリエ
・地域交流拠点
・宿泊施設
など、住宅以外の用途を検討するケースもあります。
そのため、
「建物価格が付かないから解体する」
ではなく、
「この建物を利用したい買主がいる可能性はあるか」
も確認してみることが大切です。
4.解体費が査定に影響することがある
買主が建物を利用せず、購入後に解体する場合、当然ながら解体費用が発生します。
そのため、
土地として1,500万円の価値がある
としても、
建物解体費 250万円
が必要であれば、買主側はその費用も考慮して購入価格を判断します。
例えば、
更地なら1,500万円程度
古家付きなら1,250万円程度
という評価になることがあります。
ただし、
「それなら売主が先に250万円かけて解体すればよい」
とは限りません。
実際には、
古家付きでも1,350万円で売れる
のであれば、
250万円かけて解体して1,500万円で売るよりも、
そのまま1,350万円で売った方が手取りが多くなる可能性があります。
比較すべきなのは、
売却価格
ではなく、
売却価格 - 解体費などの必要経費
です。
5.建物の修繕履歴で評価が変わることがある
同じ築50年でも、
「50年間ほぼ何もしていない家」
と、
「必要な修繕を続けてきた家」
では状態が違います。
例えば、
・屋根の葺き替え
・外壁塗装
・給湯器交換
・キッチン交換
・浴室改修
・トイレ交換
・シロアリ防除
・耐震改修
などを行っている場合は、不動産会社へ伝えましょう。
工事の、
・契約書
・見積書
・領収書
・保証書
・施工写真
などが残っていれば、あわせて保管します。
ただし、
「300万円リフォームしたから、査定価格も300万円高くなる」
とは限りません。
リフォーム費用と不動産価格は別物です。
重要なのは、
「この建物をあと何年、どの程度の修繕で利用できそうか」
という買主側の判断です。
6.査定額だけでなく「売れそうな価格」を聞く
空き家の査定を受けると、
A社 1,500万円
B社 1,300万円
C社 1,650万円
といった違いが出ることがあります。
このとき、
「一番高いC社へ頼もう」
と考えるのは慎重にした方がよいでしょう。
査定額と実際の成約価格は同じではありません。
不動産会社へは、
「査定価格はいくらですか?」
だけでなく、
「実際には、どのくらいで成約する可能性が高いですか?」
と聞いてみましょう。
さらに、
・最初はいくらで売り出すのか
・どのような買主を想定しているのか
・どの程度の期間で売る想定か
・売れなかった場合、いつ価格を見直すのか
まで確認します。
査定価格の高さではなく、
「その数字をどのように実現するのか」
まで説明できるかが重要です。
7.最終的には「手取り額」で比較する
築50年の実家を売却するとき、最も重要なのは、最終的に手元へいくら残るのかです。
例えば、
パターンA|現状のまま売却
売却価格 1,200万円
家財処分 30万円
その他費用 70万円
手取りイメージ 1,100万円
パターンB|解体して売却
売却価格 1,450万円
解体費 250万円
家財処分 30万円
その他費用 70万円
手取りイメージ 1,100万円
この場合、売却価格は250万円違いますが、最終的な手取りはほぼ同じです。
さらに解体には、
・業者選定
・見積もり
・近隣対応
・工事期間
・資金の先払い
などの負担もあります。
そのため、
「いくらで売れるか」
だけではなく、
「何もしない場合、最終的にいくら残るか」
「工事をした場合、最終的にいくら残るか」
を比較することが大切です。
築50年の実家はリフォームしてから売るべき?
古い家を査定してもらう前に、
「少しきれいにした方が高く売れるのではないか」
と考える方もいます。
しかし、大規模なリフォームを先に行うことはおすすめできません。
例えば、500万円かけてリフォームしても、売却価格が500万円以上高くなるとは限りません。
また購入者が、
「自分たちでリノベーションしたい」
と考えていれば、売主が行った工事が評価されないこともあります。
まずは現状のまま査定を受け、
・現状売却
・最低限の修繕
・リフォーム
・解体
それぞれの場合の価格を比較してから判断します。
築50年でも高く評価される可能性がある条件
築年数が古くても、次のような条件があれば評価されることがあります。
・住宅需要の高い地域
・駅や商業施設に近い
・土地の形がよい
・道路条件がよい
・駐車場がある
・土地面積に余裕がある
・定期的な修繕をしている
・建物に特徴がある
・リノベーションしやすい
・事業利用の可能性がある
特に古い家の場合、建物そのものだけではなく、
「土地+建物+利用方法」
をセットで考えることが重要です。
逆に価格が下がりやすい条件
次のような状況では、査定価格に影響する可能性があります。
・道路条件に問題がある
・再建築に制約がある
・土地の形が使いにくい
・大きな高低差がある
・擁壁が古い
・境界が不明
・越境がある
・建物の劣化が激しい
・大量の家財が残っている
・相続登記が整理されていない
・共有者が多数いる
ただし、一つ問題があるからといって売れないわけではありません。
重要なのは、
「何が価格を下げているのか」
を把握することです。
原因が分かれば、
・そのまま売る
・問題を解消して売る
・価格に反映して売る
・買取を利用する
という判断ができます。
「0円だと思っていた実家」に価格が付く可能性もある
古い実家の相談では、
「誰も住まないので、ほとんど価値はないと思います」
という話を聞くことがあります。
しかし、建物が古くても、
・土地に需要がある
・隣地所有者が購入を希望する
・駐車場として利用できる
・事業用地として使える
・リノベーションできる
可能性があります。
そのため、
「築50年だから価値はない」
と所有者だけで判断する必要はありません。
反対に、
「親が2,000万円で買った家だから、そのくらいで売れるはず」
という考え方も注意が必要です。
不動産価格は、購入時の金額ではなく、現在の市場や物件条件によって決まります。
査定時に確認したい7つの質問
築50年前後の実家を査定する際は、不動産会社へ次の質問をしてみてください。
1.土地だけで評価するといくらくらいですか
2.建物にはどの程度の評価がありますか
3.現状のまま売る場合はいくらくらいですか
4.建物を解体した場合はいくらくらいになりますか
5.解体費を考慮すると、どちらの手取りが多くなりますか
6.どのような買主を想定していますか
7.仲介と買取ではそれぞれいくらくらいになりますか
これらを確認すると、
「査定額1,500万円」
という一つの数字だけでは分からない、実際の売却方法が見えてきます。
まとめ
築50年の実家がいくらで売れるかは、築年数だけでは決まりません。
査定では主に次の7つを確認します。
1.土地そのものの価値
2.土地の形や道路条件
3.建物を利用できる可能性
4.解体に必要な費用
5.これまでの修繕状況
6.周辺の需要と想定する買主
7.売却後の最終的な手取り額
建物の査定上の評価がほとんどなくても、土地を含めた不動産全体に価値がある場合があります。
反対に、高い査定額が出ても、解体費や家財処分費などを差し引くと、想像より手元に残らないこともあります。
大切なのは、
「築50年だからいくら」
という数字を探すことではありません。
現状売却・解体後売却・仲介・買取などを比較し、
「自分たちの実家の場合、最終的にどの方法が最も適しているのか」
を確認することです。
古い実家だからと諦めたり、査定前に高額なリフォームや解体を行ったりせず、まずは現在の状態をそのまま確認してもらうことから始めてみてください。
株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家・相続不動産について、売却・賃貸・管理・解体・活用を比較しながら、今後の方針を整理しています。
売却を決めていない段階でもご相談いただけます。
空き家相談専用ページはこちら
https://www.bluekey-sendai.com/akiya/
※本コラムは、築年数の古い住宅や相続不動産の査定・売却について一般的な考え方をまとめたものです。実際の査定価格、建物評価、解体費用、売却方法、税務上の取扱いなどは物件や取引条件によって異なります。具体的な判断については、不動産会社、建築士、司法書士、土地家屋調査士、税理士などの専門家へご確認ください。


