お盆の帰省は空き家を見直す機会|実家で確認したい10のチェックポイント
お盆に家族が集まった際、実家の将来について話すのであれば、土地や建物に関する書類も一度確認しておくことをおすすめします。
実家の場所や築年数は分かっていても、
「土地と建物が誰の名義なのか分からない」
「権利証を見たことがない」
「固定資産税を誰がいくら払っているのか知らない」
「増築やリフォームの記録が残っていない」
というご家庭は少なくありません。
親が元気なうちであれば、書類の保管場所や建物の経緯を本人へ確認できます。
一方、相続が発生した後では、どこに何があるのか分からず、家族が実家を何度も探すことになる場合があります。
国土交通省が作成した「住まいのエンディングノート」も、住まいに関する情報や将来の希望を書き残し、親が元気なうちから家族で話し合うことを目的としています。
今回は、実家じまい、相続、売却、賃貸、活用に備えて、帰省中に確認しておきたい重要書類を整理します。
1.登記済権利証・登記識別情報通知
最初に探しておきたいのが、不動産の権利に関する書類です。
取得した時期によって、書類の名称や形式が異なります。
以前の制度では、一般に「権利証」と呼ばれる登記済証が交付されていました。
現在は、英数字を組み合わせた情報が記載された「登記識別情報通知」が交付されています。
書類には、土地や建物の情報、取得した人の氏名などが記載されています。
権利証や登記識別情報は、売却などで所有権移転登記を行う際に重要な書類です。
ただし、見つからないからといって、直ちに実家を売却できなくなるわけではありません。
登記識別情報を提供できない場合でも、法務局から本人へ通知する事前通知や、司法書士などが本人確認情報を作成する方法など、別の本人確認手続があります。
一方で、紛失した権利証や登記識別情報を、同じ形で簡単に再発行してもらうことはできません。
見つけた場合は、第三者へ写真を送ったり、番号部分を無防備に共有したりせず、安全な場所で保管しましょう。
2.固定資産税・都市計画税の納税通知書と課税明細書
毎年、市町村から送付される固定資産税・都市計画税の納税通知書も、実家の状況を確認するために役立ちます。
特に確認したいのが、納税通知書に同封される課税明細書です。
仙台市の課税明細書には、土地については所在地・地番・地目・面積・評価額、家屋については所在地・家屋番号・用途・構造・築年・床面積・評価額などが記載されます。
課税明細書を見ることで、
* どの土地や建物に課税されているか
* 土地が何筆に分かれているか
* 登記されている建物があるか
* 年間の税負担はいくらか
* 実家以外の土地が含まれていないか
を確認できます。
実家じまいを考える際は、売却価格だけでなく、今後何年間保有した場合に固定資産税がいくらかかるのかも確認する必要があります。
ただし、納税通知書だけで現在の登記名義や権利関係を確定するのではなく、登記事項証明書と照らし合わせて確認することが重要です。
3.土地・建物の登記事項証明書
実家に古い登記簿謄本が残っていても、現在の権利関係と同じとは限りません。
最新の内容は、法務局で土地と建物の登記事項証明書を取得して確認します。
主に確認するのは、次の事項です。
* 土地と建物の所在
* 地番や家屋番号
* 土地の面積
* 建物の構造や床面積
* 現在の所有者
* 所有者の住所
* 共有者や持分
* 抵当権などの登記
親が自分の家だと思っていても、登記上は祖父母や曾祖父母の名義のままというケースがあります。
相続登記は2024年4月1日から義務化されており、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が原則です。
2024年4月1日より前に発生した相続で、登記が済んでいない不動産についても義務化の対象となり、原則として2027年3月31日までの対応が必要です。
実家の名義が亡くなった家族のままになっている場合は、そのままにせず、相続関係を確認しましょう。
4.購入時の売買契約書・重要事項説明書
親が実家や土地を購入した際の売買契約書と重要事項説明書も、残っていれば確認します。
これらの書類には、購入当時の次のような情報が記載されていることがあります。
* 売買価格
* 土地と建物の表示
* 接道状況
* 私道の負担
* 境界に関する説明
* 越境物の有無
* 給排水設備
* 法令上の制限
* 契約当時に確認された不具合
* 売主と買主の合意事項
現在の状況と異なる部分もあるため、古い契約書だけで判断することはできません。
それでも、土地を取得した経緯や、当時から存在していた問題を確認する手掛かりになります。
相続した不動産を将来売却した場合、購入時の売買代金や諸費用に関する資料が税務上必要になることもあります。
契約書、領収書、仲介手数料、登記費用などの資料は、古いからといってすぐに処分しない方がよいでしょう。
5.建築確認済証・検査済証・設計図面
建物について確認したいのが、建築時に作成された書類です。
主なものには、次の書類があります。
* 建築確認済証
* 検査済証
* 建築確認申請書の副本
* 設計図
* 平面図
* 立面図
* 配置図
* 構造に関する資料
* 工事請負契約書
* 住宅性能評価書
こうした資料が残っていれば、建物の構造、間取り、敷地内での配置、建築当初の状態を確認しやすくなります。
特に、増築や間取り変更を行っている実家では、現在の建物と図面が一致しているかを確認する必要があります。
建築関係書類が見つからないからといって、直ちに売却できないわけではありません。
ただし、住宅として再利用する場合や、店舗、福祉施設、宿泊施設などへ用途を変える場合には、建物の適法性や安全性について追加の調査が必要になることがあります。
6.測量図・境界確認書・越境に関する合意書
土地を売却したり活用したりする際、隣地との境界は重要な確認事項です。
実家に次の書類がないか探してみましょう。
* 確定測量図
* 現況測量図
* 地積測量図
* 境界確認書
* 隣地所有者との立会確認書
* 越境に関する覚書
* 私道の通行や掘削に関する承諾書
* 土地分筆時の書類
土地の角に境界標や境界杭があっても、どのような経緯で設置されたものか分からない場合があります。
境界標を見つけた場合は、勝手に動かしたり抜いたりせず、位置が分かるように写真を撮っておきます。
ブロック塀、屋根、雨樋、庭木などが隣地へ越境している、または隣地から越境されている場合は、その状況も写真に残しておくとよいでしょう。
7.修繕・リフォーム・点検の記録
建物を修繕したことがある場合は、工事に関する資料を探します。
例えば、次のような書類です。
* 工事の見積書
* 工事請負契約書
* 請求書や領収書
* 工事前後の写真
* 設備の保証書
* シロアリ防除の保証書
* 屋根や外壁の修繕記録
* 給湯器や水回り設備の交換記録
* 耐震診断や耐震改修の資料
* 建物状況調査の報告書
「数年前に屋根を直した」「水回りを新しくした」という話だけでは、工事の範囲や実施時期が分からない場合があります。
書類があれば、どの箇所を、いつ、どの業者が工事したのかを確認できます。
売却時には、建物を適切に管理してきたことを購入希望者へ説明する資料にもなります。
工事業者の名刺や連絡先も、書類と一緒に保管しておきましょう。
8.住宅ローン・抵当権に関する書類
住宅ローンを利用して実家を取得した場合は、次の資料を確認します。
* 金銭消費貸借契約書
* 返済予定表
* ローン残高証明書
* 完済に関する通知
* 抵当権設定契約書
* 金融機関の連絡先
* 団体信用生命保険の資料
ローンを完済していても、登記簿上の抵当権が自動的に消えているとは限りません。
登記事項証明書に抵当権が残っている場合は、金融機関から交付された書類を使い、抹消登記が必要になることがあります。
完済後に受け取った書類を長期間放置すると、金融機関の合併や相続などによって、後から手続が複雑になる可能性があります。
金融機関から受け取った封筒ごと残っている場合は、内容を確認せず処分しないようにしましょう。
9.火災保険・管理・賃貸借などの契約書
実家に関係する契約も整理しておきます。
例えば、次のような契約です。
* 火災保険、地震保険
* 警備会社との契約
* 浄化槽の保守点検
* 太陽光発電設備
* ケーブルテレビやインターネット
* 土地や駐車場の賃貸借契約
* 建物の賃貸借契約
* 使用貸借契約
* 空き家管理サービス
* 庭木や草刈りの契約
誰も住んでいない実家でも、保険料や基本料金、管理費が継続して発生していることがあります。
一方で、防犯や建物管理のために、電気や保険などを継続した方がよい場合もあります。
単にすべて解約するのではなく、今後も保有するのか、売却するのか、賃貸や活用を考えるのかによって整理しましょう。
また、親族や知人へ無償で土地や建物を貸している場合も、口約束だけなのか、書面があるのかを確認しておく必要があります。
10.遺言書・相続関係・緊急連絡先に関する資料
実家そのものの書類だけでなく、将来の相続や管理に関する情報も確認しておきます。
主なものには、次のような資料があります。
* 遺言書
* エンディングノート
* 家系図や親族一覧
* 戸籍に関する資料
* 過去の遺産分割協議書
* 成年後見や任意後見に関する契約
* 財産管理の委任状
* 税理士や司法書士の連絡先
* 実家の合鍵を持っている人の一覧
* 緊急時の連絡先
遺言書が見つかった場合は、保管方法や種類によって必要な手続が異なります。
勝手に開封、書き込み、廃棄などをせず、そのままの状態で弁護士や司法書士などへ確認してください。
親が元気な場合は、書類の内容を無理に見せてもらう必要はありません。
「重要書類がどこに保管されているか」
「誰へ連絡すればよいか」
だけでも家族で共有しておくと、緊急時の負担を減らせます。
権利証や重要書類が見つからなくても、すぐに諦めない
実家じまいに必要な書類が、すべて家の中に残っているとは限りません。
書類が見つからない場合は、まず次のように整理します。
1. 見つかった書類を一覧にする
2. 見つからない書類を記録する
3. 土地と建物の登記事項証明書を取得する
4. 固定資産税の課税明細書を確認する
5. 過去に依頼した不動産会社や工事会社を確認する
6. 金融機関や保険会社へ契約状況を問い合わせる
7. 必要に応じて司法書士や土地家屋調査士へ相談する
書類が見つからないことと、売却、相続、活用ができないことは同じではありません。
再取得できる書類もあれば、別の手続で補える書類もあります。
一方で、家族の判断で似た書類を作ったり、署名を代筆したりすることは避けてください。
親が所有する不動産を把握できない場合の新しい制度
親が実家以外にも山林、農地、貸地などを所有している可能性があるものの、家族が全体を把握できていないケースがあります。
2026年2月2日からは「所有不動産記録証明制度」が始まりました。
不動産の登記名義人本人や、その相続人などが法務局へ請求することで、特定の人が登記上所有している不動産を一覧化した証明書の交付を受けられる制度です。
これまで把握できていなかった土地を見つけ、相続登記の漏れを防ぐ際に役立つ可能性があります。
ただし、請求時に指定した氏名や住所などの検索条件と登記記録が一致しない場合や、検索対象外となる登記がある場合など、すべての不動産を完全に把握できるとは限りません。
親が過去に住所を何度も変更している場合や、旧姓で不動産を所有している場合は、過去の氏名や住所も含めて確認する必要があります。
書類は写真に残すだけでなく、保管場所を決める
帰省中に書類を見つけたら、元の場所へ無造作に戻すのではなく、保管方法も整理します。
例えば、次のように分類します。
* 登記・権利関係
* 固定資産税
* 建築・図面
* 境界・測量
* 修繕・リフォーム
* 住宅ローン
* 保険・契約
* 相続・家族関係
書類の一覧表を作り、
* 書類名
* 原本の保管場所
* 保管している人
* 作成年月
* 関係する土地や建物
* 問い合わせ先
を記録しておくと分かりやすくなります。
家族のグループLINEなどで共有する場合も、登記識別情報、通帳、本人確認書類など、重要な情報が見える画像をそのまま送らないように注意しましょう。
原本は一か所にまとめ、家族には「どこに保管してあるか」を共有する方法が安全です。
帰省した日に売却を決める必要はない
重要書類を確認したからといって、その日のうちに実家の売却や解体を決める必要はありません。
まずは、次の内容を一枚に整理してみましょう。
* 土地と建物の名義
* 所有している不動産の数
* 年間の固定資産税
* 住宅ローンや抵当権の有無
* 境界や越境の問題
* 建物の修繕履歴
* 現在の管理担当者
* 家族が希望する今後の方針
* 見つからなかった書類
* 次に確認すること
書類を探すことは、実家を処分するためではありません。
売却、賃貸、管理、解体、活用のどの方法を選ぶ場合でも、家族が正しい情報をもとに判断できる状態を作るためです。
まとめ
お盆の帰省中に確認したい実家の重要書類は、次の10種類です。
1. 登記済権利証・登記識別情報通知
2. 固定資産税の納税通知書・課税明細書
3. 土地・建物の登記事項証明書
4. 購入時の売買契約書・重要事項説明書
5. 建築確認済証・検査済証・設計図面
6. 測量図・境界確認書・越境に関する合意書
7. 修繕・リフォーム・点検の記録
8. 住宅ローン・抵当権に関する書類
9. 火災保険・管理・賃貸借などの契約書
10. 遺言書・相続関係・緊急連絡先に関する資料
すべての書類が見つからなくても、実家じまいを進められないとは限りません。
大切なのは、何があり、何が不足しているのかを整理することです。
お盆に家族が集まる機会を利用して、まずは権利証と固定資産税の課税明細書がどこにあるのか、親へ確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家・相続不動産について、売却・賃貸・管理・解体・活用を比較しながら、今後の方針を整理しています。
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※本コラムは、実家じまい、不動産の売却、相続、重要書類の管理に関する一般的な情報をまとめたものです。必要書類や手続は、物件の権利関係、建築状況、契約内容、相続状況によって異なります。具体的な登記、相続、税務、境界などについては、司法書士、弁護士、税理士、土地家屋調査士などの専門家へご確認ください。


