お盆の帰省は空き家を見直す機会|実家で確認したい10のチェックポイント
お盆の帰省をきっかけに、親と実家の将来について話しておきたいと考える方は少なくありません。
一方で、
「実家を売ろうと言ったら、親に怒られそう」
「まだ元気なのに、縁起でもないと思われないか」
「兄弟の中でも意見がまとまっていない」
「何から話せばよいか分からない」
という不安から、話を切り出せないまま帰省を終えてしまうこともあります。
実家じまいの話は、親に「家を手放してほしい」と迫るためのものではありません。
親が将来どのように暮らしたいのか、実家を誰にどのような形で引き継いでほしいのかを、家族が確認するための話し合いです。
国土交通省も、親が元気なうちに、誰が住むのか、売るのか、貸すのか、解体するのかなどを家族で話し合い、登記の確認や家財の整理を進めておくことを案内しています。
今回は、お盆の帰省時に「実家じまい」の話を親へ切り出すときの進め方を解説します。
1.最初から「売る」「解体する」と言わない
実家じまいの話を切り出す際、最初から、
「この家は将来売った方がよい」
「誰も住まないから解体しよう」
「今のうちに家を処分してほしい」
と結論を伝えるのは避けた方がよいでしょう。
親にとって実家は、単なる不動産ではありません。
長年暮らしてきた場所であり、家族との思い出や、これまでの人生が詰まった場所です。
子ども側が合理的な提案をしたつもりでも、親には、
「自分の家を取り上げられる」
「早く出ていってほしいと言われている」
「家族にとって、この家は必要ないと思われている」
と受け取られる可能性があります。
最初の会話では、売却や解体という結論ではなく、現在の管理状況から話し始めます。
例えば、
「最近、庭の手入れは大変じゃない?」
「台風の後、屋根や外壁は大丈夫だった?」
「入院したときは、誰が家を見に来ればいい?」
「今後、家の管理が難しくなったらどうしたい?」
といった聞き方です。
まずは、親が現在どのようなことに負担や不安を感じているのかを確認します。
2.子どもの希望より、親の考えを先に聞く
実家じまいでは、子ども側が先に答えを決めないことが重要です。
子どもたちが、
「誰も住まないので売却する」
「維持費がかかるので解体する」
と決めてから親に説明すると、話し合いではなく、決定事項の通知になってしまいます。
まずは、親が実家についてどのように考えているのかを聞きます。
例えば、次のような質問があります。
* できる限り、この家で暮らしたいか
* 将来、子どもの近くへ移る考えはあるか
* 施設への入居を考えたことがあるか
* 子どもの誰かに住んでほしいか
* 家を売却することに抵抗があるか
* 知人や地域の人に使ってほしいか
* 家の中で残してほしいものは何か
* 仏壇やお墓を今後どうしたいか
一度の会話ですべてを聞く必要はありません。
親の話を否定したり、すぐに現実性を判断したりせず、最初は希望を聞くことに集中します。
例えば、親が「できれば家を残してほしい」と話した場合も、
「維持できないから無理だよ」
とすぐに否定するのではなく、
「どのような形で残したいと思っているのか」
を確認します。
自宅として残したいのか、家族の集まる場所にしたいのか、誰かに使ってほしいのかによって、検討する方法が変わるためです。
3.相続の話より「今の困りごと」から始める
「相続」「終活」「実家じまい」といった言葉に、抵抗を感じる親もいます。
その場合は、将来の相続からではなく、現在の生活や管理の話から始めます。
例えば、
* 庭木や雑草の手入れ
* 雪かきや台風後の確認
* 雨漏りや設備の故障
* 固定資産税や保険料
* 使用していない部屋の管理
* 郵便物や重要書類の保管
* 家の鍵を誰が持っているか
* 緊急時の連絡先
などです。
「この家をどうするか」という大きな質問だけでは、親も答えを出しにくくなります。
一方で、
「庭の管理ができなくなったら、誰に頼むか」
「長期間入院したときは、誰が家に入るか」
「重要な書類はどこに置いているか」
という具体的な質問であれば、現在必要な準備として話しやすくなります。
こうした小さな確認を積み重ねることで、実家の将来についても自然に話しやすくなります。
4.兄弟全員で親を囲まない
兄弟姉妹がいる場合、事前にある程度の考えを共有しておくことは大切です。
しかし、兄弟全員で親を囲み、一斉に売却や片付けを勧めると、親が責められているように感じる可能性があります。
特に、
「みんな売った方がよいと言っている」
「誰もこの家には住まない」
「今決めてもらわないと困る」
という伝え方は、親を追い詰めやすくなります。
最初は、親と普段から話しやすい一人が、日常会話の中で考えを聞く方法が現実的です。
その後、親の意向を兄弟で共有し、必要に応じて家族全体で話し合います。
兄弟間でも、最初から意見が一致しているとは限りません。
* 売却したい人
* 思い出があるので残したい人
* 賃貸や活用を検討したい人
* 費用を負担したくない人
* 親の希望を優先したい人
それぞれの考えがあります。
親に話す前に結論まで決める必要はありませんが、「誰が話を進めるか」「親の意向をどのように共有するか」は整理しておいた方がよいでしょう。
5.決定を求めず「仮の話」として選択肢を示す
親へ実家の将来を尋ねても、
「まだ元気だから考えたくない」
「そのときになったら考えればよい」
「子どもたちで好きにすればよい」
と言われることがあります。
この場合、無理にその場で結論を求める必要はありません。
「今すぐ売る話ではない」と伝えたうえで、仮の話として選択肢を示します。
例えば、
「将来住まなくなったら、売る、貸す、誰かに使ってもらう、管理しながら残すという方法があるみたいだよ」
「売ると決めていなくても、今の価値だけ確認できるそうだよ」
「家を残す場合も、管理費がどれくらいかかるか調べておこうか」
という伝え方です。
実家じまいは、売却だけを意味するものではありません。
主な選択肢には、
* 親が住み続ける
* 子どもや親族が住む
* 住宅として貸す
* 店舗や宿泊施設などに活用する
* 活用したい事業者へ貸す
* 現状のまま売却する
* 建物を解体して土地を売却する
* 管理しながら一定期間保有する
などがあります。
最初から一つに決めず、複数の方法があることを伝えると、親も話を聞きやすくなります。
6.片付けを求める前に「残したいもの」を聞く
実家じまいの話をするとき、
「荷物を減らしてほしい」
「使わないものは捨ててほしい」
「今のうちに片付けておいて」
と伝えたくなることがあります。
しかし、親にとっては、子どもには不要に見えるものでも、大切な思い出の品である場合があります。
最初に捨てるものを決めるのではなく、
「誰かに引き継いでほしいものはある?」
「捨てずに残してほしいものは何?」
「大切な書類はどこに置いてある?」
「写真やアルバムは誰に渡したい?」
と尋ねます。
確認しておきたいものには、次のようなものがあります。
* 登記済権利証や登記識別情報
* 固定資産税の納税通知書
* 建築確認書類や建物図面
* 測量図や境界確認書
* 火災保険などの契約書類
* 預金通帳、印鑑、保険証券
* 仏壇、位牌、神棚
* 写真やアルバム
* 貴金属や骨董品
* 親族や知人から預かっているもの
国土交通省は、住まいに関する情報や、将来住まいをどうしてほしいかを書き残せる「住まいのエンディングノート」を公開しています。親が元気なうちに家族で住まいの将来を話し合うきっかけとして作成されたものです。
口頭で話しにくい場合は、こうしたノートを使い、親に少しずつ書いてもらう方法もあります。
7.その日のゴールを「結論」ではなく「次の一歩」にする
お盆に家族が集まったからといって、その日のうちに実家の売却や解体を決める必要はありません。
実家じまいの話し合いで最初に目指すべきなのは、家族全員の結論ではなく、次に何をするかを決めることです。
例えば、次のような小さな行動です。
* 土地と建物の名義を確認する
* 固定資産税の納税通知書を探す
* 建物の外観と各部屋を撮影する
* 親が残したい家財を聞く
* 実家の年間維持費を整理する
* 現状のまま査定を受ける
* 空き家になった場合の管理方法を調べる
* 次に家族で話す日を決める
「今回は書類だけ確認する」
「次の帰省までに査定を受ける」
「年末にもう一度話す」
という形でも構いません。
一度の話し合いで答えを出そうとすると、親も子どもも負担を感じます。
少しずつ情報を整理しながら、家族が納得できる方針を考えることが大切です。
避けたい言い方と言い換え例
「この家はどうせ誰も住まない」
次のように言い換えます。
「将来住まなくなったとき、家をどうしてほしいか希望を聞いておきたい」
「売った方が絶対によい」
次のように言い換えます。
「売る、貸す、残すなど、どの方法が合うか一度比べてみない?」
「今のうちに全部片付けて」
次のように言い換えます。
「まず、残してほしいものや大切な書類を教えてもらえる?」
「相続した後に困るから決めてほしい」
次のように言い換えます。
「親の希望が分からないまま、子どもたちだけで決めたくないので、考えを聞かせてほしい」
「兄弟全員、売却に賛成している」
次のように言い換えます。
「兄弟でもまだ結論は出していないので、まず親の希望から聞きたい」
言葉を少し変えるだけでも、「家を処分する話」ではなく、「親の希望を確認する話」として伝えやすくなります。
親が話したがらない場合はどうするか
親が実家じまいの話を避ける場合は、繰り返し結論を迫らないことが大切です。
まずは、
* 家の鍵の保管場所
* 緊急連絡先
* 重要書類の場所
* 修繕が必要な部分
* 管理を頼める人
* 入院時に家へ入ってよい人
など、現在の管理に必要なことだけを確認します。
また、家族から直接話すと感情的になる場合は、不動産会社、司法書士、税理士などの第三者から、選択肢や手続きの説明を受ける方法もあります。
ただし、専門家へ相談したからといって、売却しなければならないわけではありません。
現在の価値、維持費、管理方法、売却・賃貸・活用の可能性を知るだけでも、その後の家族会議を進めやすくなります。
まとめ
実家じまいの話を親へ切り出すときは、売却や解体という結論から入らないことが重要です。
次の7つを意識して進めましょう。
1. 最初から売却や解体を求めない
2. 子どもの希望より親の考えを先に聞く
3. 相続より現在の管理や困りごとから話す
4. 兄弟全員で親を囲まない
5. 決定を求めず、複数の選択肢を示す
6. 処分するものより、残したいものを確認する
7. その日の結論ではなく、次の一歩を決める
実家じまいは、家を早く手放すための作業ではありません。
親の希望を確認し、家族が将来困らないように、実家の管理や引き継ぎ方を整理していく取り組みです。
お盆の帰省中にすべてを決める必要はありません。
まずは「将来この家をどうしてほしいと思っているのか」を、親に聞くことから始めてみてはいかがでしょうか。
株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家・相続不動産について、売却・賃貸・管理・解体・活用を比較しながら、今後の方針を整理しています。
売却を決めていない段階でもご相談いただけます。
空き家相談専用ページはこちら
https://www.bluekey-sendai.com/akiya/
※本コラムは、実家じまいや家族間の話し合いに関する一般的な考え方をまとめたものです。家族関係、所有関係、本人の判断能力、相続状況などによって必要な対応は異なります。個別の登記、相続、代理、成年後見などについては、司法書士、弁護士、税理士などの専門家へご確認ください。


