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実家じまいで家の中は全部片付けるべき?空き家を残置物付きで売却する場合の考え方

伊藤友佑

伊藤友佑

相続した実家を売却しようと考えたとき、

「家の中を全部片付けないと査定を依頼できない」
「家具や家電が残ったままでは売却できない」
「先に遺品整理業者へ依頼するべきだ」

と思っている方は少なくありません。

しかし、実家じまいを始める際に、必ずしも家財をすべて処分してから不動産会社へ相談する必要はありません。

物件の状態や売却方法、家財の量によっては、必要な物だけを取り出し、残った家具や家電などの処分を買主側に引き継ぐ条件で売却できる場合もあります。

反対に、先に多額の費用をかけて片付けたものの、売却価格や成約までの期間がほとんど変わらなかったということもあります。

今回は、実家の家財を片付けてから売る場合と、残置物を残したまま売る場合の違いを解説します。

結論は「片付ける前に一度査定を受ける」



実家を売却する可能性がある場合は、家の中をすべて片付ける前に、不動産会社へ現地を確認してもらうことをおすすめします。

先に確認したいのは、次の点です。

* 建物を中古住宅として売却できるか
* 古家付き土地として売る方がよいか
* 建物を解体する可能性があるか
* 家財を残した状態でも購入する買主がいるか
* 片付けによって売却条件が改善するか
* 家財処分にどの程度の費用がかかるか

建物を解体する前提の買主であれば、高額な費用をかけて室内を完全に整える必要性は低くなります。

一方、住宅として内覧してもらう場合は、家財を整理して室内を見やすくした方が、建物の広さや状態を伝えやすくなります。

最適な片付け方は、売却方法によって異なります。

「残置物」とは何か



不動産取引でいう残置物とは、売主や以前の居住者が建物内や敷地内に残している家具、家電、日用品などを指します。

例えば、次のような物です。

* タンス、食器棚、ベッド
* 冷蔵庫、洗濯機、テレビ
* エアコン、照明器具
* 食器、衣類、布団
* 農機具、工具、タイヤ
* 物置内の荷物
* 庭石、植木鉢
* 仏壇や神棚

エアコンや照明器具のように、住宅設備として引き渡すのか、売主が撤去するのか分かりにくい物もあります。

何を建物の設備として残し、何を残置物として処分するのかは、売買契約前に整理しておく必要があります。

家財を片付けてから売るメリット



家財を処分し、室内を空にしてから売却することには、次のメリットがあります。

室内を確認しやすくなる



家具がなくなることで、部屋の広さ、床、壁、収納、水回りなどを確認しやすくなります。

荷物が多い状態では隠れていた雨漏り跡、床の傷み、カビなどが見つかることもあります。

購入後の生活を想像しやすくなる



中古住宅として販売する場合、室内が整理されている方が、購入希望者は自分たちが住んだ後の姿を想像しやすくなります。

写真も撮影しやすくなり、販売広告の印象を改善できる可能性があります。

買主の負担を減らせる



買主が家財処分業者を手配する必要がなくなるため、購入後すぐに改修や入居の準備へ進めます。

同じような条件の物件が複数ある場合、室内が整理されている物件の方が選ばれやすいことがあります。

先に片付ける場合のデメリット



家財処分には、費用と時間がかかります。

特に長年暮らした実家では、家具や日用品だけでなく、倉庫、物置、庭にも大量の荷物が残っていることがあります。

処分を進めた結果、

* 数十万円以上の費用がかかった
* 家族が何度も遠方から通うことになった
* 必要な書類や貴重品まで処分してしまった
* 兄弟が残したかった物を捨ててしまった
* 片付けても売却価格が上がらなかった

ということもあります。

片付け費用を売却価格へそのまま上乗せできるとは限りません。

処分費用に30万円をかけたからといって、物件が30万円高く売れるとは限らないため、費用対効果を確認する必要があります。

残置物を残したまま売却できる場合



次のようなケースでは、家財を残した状態で売却できる可能性があります。

* 買主が建物を解体する予定
* 不動産買取業者が現状のまま買い取る
* 買主が自分で家財を選別・処分する
* 再利用できる家具や設備がある
* 売買価格から処分費相当額を調整する
* 売主が遠方や高齢で片付けが難しい

ただし、残置物付きで売却する場合は、単に「荷物はそのままでよい」と口頭で決めるだけでは不十分です。

少なくとも、次の点を売買契約書や特約で明確にします。

* どの範囲の物を残すのか
* 処分費用を誰が負担するのか
* 引き渡し後、買主が自由に処分できるのか
* 売主が後から返還を求めないこと
* 危険物や処理困難物が含まれていないか
* 建物外や物置の荷物も対象になるか
* 仏壇、写真、書類などをどう扱うか

残す設備や家財について、売主と買主の認識を一致させておくことが重要です。

最初に持ち出すべき物



不動産会社や処分業者へ依頼する前に、次の物は家族で確認します。

貴重品



* 現金
* 通帳
* 印鑑
* 貴金属
* 有価証券
* 骨董品

不動産や相続に関する書類



* 登記済権利証、登記識別情報
* 固定資産税の納税通知書
* 建築確認書類
* 測量図、境界確認書
* 売買契約書
* 住宅ローン関係書類

個人情報を含む物



* 健康保険証
* マイナンバー関係書類
* 医療記録
* 手紙、住所録
* パソコン、スマートフォン
* 写真やデータ記録媒体

家族で判断が必要な物



* 仏壇、位牌、神棚
* アルバム
* 手紙
* 形見
* 親族から預かっている物

査定前に必要なのは、家を空にすることではありません。

まずは、第三者に処分されたら困る物を取り出すことです。

相続人が複数いる場合は勝手に処分しない



兄弟姉妹など複数の相続人がいる場合、一人の判断だけで家財を処分すると、家族間のトラブルになる可能性があります。

金銭的な価値が高くない物でも、他の相続人にとっては大切な形見かもしれません。

家財整理を始める前に、

* 誰が必要な物を確認するか
* いつまでに持ち出すか
* 売却できる物の代金をどう扱うか
* 処分費用を誰が負担するか
* 判断できない物を一時保管するか

を決めておきます。

写真や動画で室内の状態を記録してから作業を始める方法も有効です。

処分費用は複数の方法を比較する



家財の処分方法には、次のような選択肢があります。

* 自治体の家庭ごみとして少しずつ出す
* 粗大ごみとして申し込む
* 自治体の臨時ごみ収集を利用する
* 所有者や家族が処理施設へ持ち込む
* 一般廃棄物処理業の許可業者へ依頼する
* 再利用できる家具や家電を売却する
* 遺品整理事業者へ分別や搬出を依頼する

処分方法や料金は自治体によって異なるため、実家がある市町村のルールを確認してください。

無許可の不用品回収業者に注意する



「無料回収」や「何でも処分します」と宣伝する業者へ依頼する場合は、許可の有無を確認する必要があります。

家庭から出る廃棄物を収集するには、市区町村の一般廃棄物処理業の許可または委託が必要です。

産業廃棄物処理業や古物商の許可だけでは、家庭ごみを収集できません。

回収後に高額な料金を請求されたり、不法投棄されたりするリスクもあるため、次の点を確認します。

* 見積書が明確か
* 追加料金の条件が書かれているか
* 廃棄物を処理できる許可があるか
* 買取品と廃棄物を区別しているか
* 委託先が明確か

不動産会社が片付け業者を紹介する場合も、処分方法と費用の内訳を確認することが重要です。

片付け費用と売却条件を比較する



片付けを行うかどうかは、感覚ではなく金額で比較します。

例えば、次の3つの条件で査定や見積もりを取ります。

家財をすべて処分してから売却



* 想定売却価格
* 家財処分費
* 清掃費
* 売却までの期間

必要な物だけ持ち出して現状売却



* 想定売却価格
* 買主が見込む処分費
* 売却までの期間

買取業者へ現状のまま売却



* 買取価格
* 仲介による売却との差額
* 処分や修繕の負担
* 現金化までの期間

最も高い価格で売れる方法が、必ずしも最も多く手元に残る方法とは限りません。

売却価格から、処分費、交通費、管理費、時間的な負担を差し引いて比較する必要があります。

遠方の実家を片付ける場合の進め方



県外など遠方から実家じまいを進める場合は、次の順番が現実的です。

1. 家族で残す物を確認する
2. 現地の写真や動画を撮る
3. 不動産会社へ現状のまま査定を依頼する
4. 残置物付き売却が可能か確認する
5. 家財処分費の見積もりを取る
6. 片付けた場合と現状売却を比較する
7. 売却方針を決めてから処分を始める

売却方針が決まっていない段階で、すべてを処分する必要はありません。

先に不動産の価値と出口を確認した方が、不要な出費を避けやすくなります。

まとめ



実家じまいを進める際、家の中をすべて片付けてから不動産会社へ相談する必要はありません。

家財を片付けた方が売却しやすい物件もあれば、残置物を残したまま現状で売却できる物件もあります。

判断する際は、次の順番が重要です。

1. 貴重品や重要書類を取り出す
2. 相続人間で家財の扱いを確認する
3. 現状のまま不動産査定を受ける
4. 家財処分費の見積もりを取る
5. 片付け後と現状売却の手取り額を比較する
6. 残置物を残す場合は契約条件を明確にする
7. 許可を持つ適切な処分業者を利用する

片付けること自体を目的にするのではなく、実家の売却、活用、解体など、今後の方針に合った整理方法を選ぶことが重要です。

株式会社Blue Keyでは、宮城県内の空き家・相続不動産について、売却・賃貸・管理・解体・活用を比較しながら、今後の方針を整理しています。
売却を決めていない段階でもご相談いただけます。

空き家相談専用ページはこちら
https://www.bluekey-sendai.com/akiya/

※本コラムは、実家の家財整理や空き家売却に関する一般的な情報をまとめたものです。残置物の処分条件、相続財産の取り扱い、廃棄物の処理方法などは個別の状況や自治体によって異なります。具体的な判断については、不動産会社、弁護士、司法書士、自治体、許可を受けた廃棄物処理事業者などへご確認ください。

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伊藤友佑
専門家

伊藤友佑(不動産業)

株式会社Blue Key

空き家や相続不動産の相談窓口として、売却や賃貸、活用など幅広い選択肢を提案。大手企業での実務経験や商工会議所での創業支援経験を生かし、地域の専門家と連携しながら依頼者を多角的にサポートします。

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