労働時間「週44時間制」の特例を適用している場合、パートタイマーの年休基準をどうする?
「昼休みには日替わりで数人の社員がオフィスに残り、電話当番を担当する」
こんなケースは中小企業なら珍しくありません。では、電話当番の時間は休憩時間、労働時間のどちらに該当するのでしょうか?
■昼休みの電話当番は労働時間に該当
結論からいうと、昼休みの電話当番は労働時間に該当し、休憩時間とはみなされません。労働基準法第34条3項で示しているように、使用者は「休憩時間を自由に利用させなければならない」と規定されているのです。
昼休みの電話当番を命じられた場合、オフィスでの場所的拘束を受けます。電話がかかってきたら即座に対応しなければならず、社員が労働から離れることが保障されていないので、休憩時間とはいえません。
「もし、昼休み中に電話がかかって来なかった場合は、休憩になるのでは?」と考えてしまいがちですが、これは違います。電話当番をしている以上、外出ができず、休憩時間を自由に利用させている状態とはならないからです。
■「実は労働時間に該当する」事例
ほかにも以下のようなケースなどが労働時間とみなされています。実際の裁判例を挙げておきます。
・飲食店の店員が休憩時間中でも来客時には対応することを義務付けられた
・ビル内巡回監視員が休憩時間と仮眠時間に、電話応対や警報に対応した必要な措置を義務付けられた
・ホテル従業員が休み時間にフロントで食事をすると決められ、モニターのチェックや電話対応が求められた
・観光バス運転手が目的地到着後の休憩時間中でも、利用客との打ち合わせや車両点検等を義務付けられた
■休憩時間には賃金が発生しないが、業務から完全に離れていないと賃金が発生する
基本的には休憩時間中には賃金は発生しません。それゆえ、休憩時間を自由に利用させなければなりません。
休憩の合間に電話を取るなど、業務から完全に離れていない行為は労働時間とみなされ、賃金発生の対象となるので、気をつけてください。
経営者なら知っておきたい労働法