労働時間「週44時間制」の特例を適用している場合、パートタイマーの年休基準をどうする?
休暇期間である数週間だけ、学生をアルバイトとして採用しました。本人は勤務期間終了後、すぐに賃金を受け取れると思っていたようです。会社としては、その他の従業員と同様に、賃金締切日後の翌月に支払うつもりでいたのですが、要求に応えない場合、何か問題があるのでしょうか?
<請求あれば7日以内に。「金品の返還規定」あり>
労働基準法24条では、賃金を毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならないとしています。
「毎月」とは、暦に従うものと解されていますが、賃金締切期間や支払期限についての定めは設けられておらず、「必ずしもある月の労働に対する賃金をその月に支払うことは要せず、不当に長い期間でない限り、締切後ある程度の期間を経てから支払う定めをすることも差し支えない」(労基法コンメンタール)と解されています。
多くの会社で採用されているように、当月締めの翌月払いであれば問題はありません。
正社員、アルバイトを問わず、賃金締切日後の賃金支払日に支給したとしても問題はありませんが、支払日が到来する前に賃金の支払いが必要になることがないわけではありません。
労働基準法25条では、非常時として、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合において、既往の労働に対する賃金を支払わなければならないとしています。
非常の場合とは、以下になります(労基則9条)。
1.労働者の収入によって生計を維持する者が出産し、疾病にかかり、または災害を受けた場合
2.労働者またはその収入によって生計を維持する者が結婚し、または死亡した場合、またはやむを得ない事由により1週間以上にわたって帰郷する場合
もうひとつ、労働者の請求に応じて賃金を支払わなければならないものとして、金品の返還に関する規定(労働基準法23条)があります。
使用者は、労働者の「死亡または退職」の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払わなければならないとしています。
ここでいう賃金ですが、一般には既往の労働に対する賃金をいいます。賃金の支払いは法24条により、支払日が到来するまではこれを支払わなくても、通常の場合には使用者は責に問われません。
しかし、労働基準法23条は、労働者の足止め策防止と労働者等の生活確保の見地から、特例として定められたものと解されています。
ご質問のケースですが、非常時に限らず退職の場合でも請求があれば、7日以内に賃金を支払う必要があるということになります。就業規則の規定も合わせて確認が必要でしょう。
本条に違反した場合、30万円以下の罰金(労働基準法120条)としています。