正解を決めつけないコミュニケーション

太田英樹

太田英樹

テーマ:コーチングコミュニケーション



相手によって“引き出しを変える”アドラー流アプローチ


この場でもよく書いている、アドラー心理学の目的論。
過去の出来事が原因となって現在を決めている(原因論)と考えると、現在の選択は過去の出来事が起こった時点で決まっていることになってしまい、変えることが難しくなる。
そして、現在の選択が決まっているということは、それを元にして起こる未来の選択も決まっていて、未来も変わらない、となってしまう。

目的論は、過去の出来事は変えられないけど、それをどう捉えるかは変えられるし、未来どうしたいか、未来の目的に向かって選択するという考え方。
日常の仕事で言うと、過去のミスやできていなかった点を指摘するのではなく、理想の未来像、できている状態を伝えましょう、になります。
という、目的論の話ですが、ダメなところを指摘しない、という点から、「優しい」と捉える人がいるんですが、優しく言うことが目的論ではありません。

理想の未来像、目的に近づけるために選択することが大事なので、厳しく叱責するほうが目的に近づくなら、厳しく言うを選択していい。
もともと、心理学は科学と同じように、仮説検証が基本です。
命題があり、それに対する仮説を立てて、検証する。
その結果、一定の証明ができたものが実証されたということになります。
ですが、心理学の仮説検証において、100%同じ結果が得られるということはありません。

100人で検証した結果、70人は同じ行動をとったが、30人は違う行動をとったというような形になります。
つまり、30人には別のロジックが当てはまるということ。
なので、心理学の実践においては、一つの正解に決め打ちするのではなく、引き出しを複数もつことが大事。
間違いを厳しく指摘するという引き出ししか持っていなくて、それがうまくいかないのであれば、目的論で伝えるという引き出しも持ちましょう、ということ。

私たちは人生経験を積む過程で、その経験をもとに物事の判断をするので、「こうすべきだ」という思い込みが発生します。
自分のアプローチを唯一の正解と思い込まずに、相手によって引き出しの開け方を変えたほうがいい。
その引き出しを増やすこと。
コミュニケーションを学ぶ意義はそういうところにあります。

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太田英樹
専門家

太田英樹(コーチングコミュニケーション講師)

株式会社インサイトハウス

介護福祉業界を中心に人材育成と事業支援で多くの実績あり。アドラー心理学ベースのコーチングコミュニケーション研修により、社内コミュニケーションの円滑化、人材定着率や顧客満足度向上、事業成長に繋げます。

太田英樹プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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