「空気感最優先」
30年以上前の大昔の話ですが、
予備校に通いながら新聞配達をしていました。
今もあるのかどうかわかりませんが、
当時はいくつかの新聞社に「新聞奨学制度」があり、
大学・予備校・専門学校の授業料を貸与してもらう代わりに、
新聞販売店の一員として働くという制度を利用していました。
新聞社や販売店によって違いはあったようですが、
基本的に配達アルバイトではないので、
折込作業やその他の作業も含まれるため、
学校に通いながらだとけっこうハードです。
大学入学時には公的な奨学金制度の利用に切り替えたので、
結局、予備校時代の1年間しか経験していませんが、
とても貴重な経験だったと思っています。
ある意味、単純なお仕事ではありますが、実はけっこう奥が深くて、
そもそも、決められた時間内に担当部数を配りきるだけでも大変で、
無駄な動きをしていたら、終わりません。
各家庭でポストの形状が違うので、それぞれ折り方を工夫しないと、
スムーズに投函できない。
また、時間指定のお宅もあったりするので、
もたもたしていたらどんどん時間がなくなります。
なかでも大変だったのが、雨、台風、雪。
そもそも、どんな天気だろうと、
休刊日以外に新聞配達に休みはありません。
どんなに大雨でも、どんなに雪が降ってバイクや自転車に乗れなくても、
配達しないといけない。
そのせいで新聞が濡れてしまうと、
苦情の電話がかかってきて、再配達になります。
なので、体や手が濡れていても、新聞を濡らさずに投函する。
これがけっこう苦労しました。
今では、ナイロン袋に入れるのが一般的ですが、
当時はナイロンを使うのはごく一部で、
個人の工夫で濡らさないようにするしかない。
そんな経験をしたので、今でも新聞配達というお仕事をされている人を
リスペクトしています。
社会に出てからは、高齢者施設、病院などでしか働いていないですが、
あの経験しているからこそ、世の中に楽な仕事なんてない、
と思っています。
私たちは、つい、自分の大変さにだけ意識が向きがちですが、
みんな大変なんです。
当然と言えば当然な話ですが、本当に互いにリスペクトし合えたら、
職場でもめたり、いがみあったりすることもなくなる思いませんか?



