指導する側、される側

太田英樹

太田英樹

テーマ:組織改革

「グダグダ考えるよりも先に行動しろ!」

という人もいれば、

「もう少し考えて行動しろ!」

という人もいます。

なんなら、同じ人が両方とも言うこともあります。

と思えば、それを言っている人が、変に考え過ぎていたり、考えずに行動したりしています。

はたまた、

「歴史、先人に学べ」と言う人もいれば、

「既成概念に囚われるな」と言う人もいる。

世の中、真逆のことが、それぞれいかにも正解かのごとく指導に使われます。

「逆もまた真なり」

という言葉もあるくらいですから、何が正解で、何が不正解かなんてわからないですよね。

私も若い頃は、よくそんな矛盾に悩みました。

「結局、どうしたらいいの?」

一つは、「要するに、バランス」

どっちも大事であって、うまく使い分けたほうがいいよ、ってことなんですが、
その使い分けは経験でしか学べないので、考え過ぎて機会を失ったり、行動して失敗しないと、そのバランスはわからない。

これは、まさに「暗黙知」なので、いくら叱責や説教をしたところで、相手は理解できない。

暗黙知とは、言葉や図で表現が難しい知識や教養のことです。

逆の意味で、「形式知」というものがあります。

これは、言葉や図で伝えらえるもの。

例えば、ホームセンターなどで、組み立て式の収納ボックスなどを購入すると、
組み立て説明書が入っていて、そのとおりに組み立てれば完成するようになっています。

この「説明書」は、形式知。

また、自転車を購入した時に、「自転車の乗り方」の説明書なんてないですよね。

自転車の乗り方を、言葉や図で書いたとしても、そのとおりにやって乗れるかどうか、
難しいですよね。

こういう、感覚的なものが「暗黙知」だということ。

暗黙知をどう形式知に変換してあげられるか、指導者の技量によるものなので、
指導を受ける側の責任ではない。

もう一つは、「指導する側の価値観」

指導している人自身が、考えが足りずに失敗したり、よく考えて行動した結果うまくいった経験があれば、
「考えて行動する」が正解として指導するし、逆の経験をしていたら、逆の指導をする。

この指導方法だと、指導される人は、指導者を越えることはない。

自身が経験したことしか指導できないので、必然的にそうなります。

指導を生業にしている身としては、指導者を越えていってほしい。

ならば、指導者が自分のモノサシでジャッジ(評価判断分析)するのを手放したほうがいい。

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太田英樹
専門家

太田英樹(コーチングコミュニケーション講師)

株式会社インサイトハウス

介護・福祉業界を中心に人材育成と事業支援で多くの実績あり。アドラー心理学ベースのコーチング研修により、社内コミュニケーションを円滑化のみならず、人材定着率や利用者満足度を高め、事業の成長につなげます。

太田英樹プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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